2002年2月20日
全日本金属産業労働組合協議会
(IMF−JC)
金属労協は、本日午前10時より第3回戦術委員会を開催し、2002年闘争第1次統一交渉ゾーン(2月18日〜3月1日)後半の交渉に臨む基本姿勢を、以下のとおり確認した。
1.JC共闘は、大きな時代潮流の変化のなかで今次闘争の基本的な役割を、金属産業「勤労者の雇用を維持・確保し、生活の安定を確立する」ことにおき、厳しい産業・企業の実態を踏まえつつも、共闘の推進によって成果の獲得につなげるべく、各産別の指導のもと強力に団体交渉を展開している。
2月初旬以降、各産別は順次、要求を提出し、すでに第1次交渉ゾーンにおいて1〜2回の団体交渉を展開している。本日までに、金属労協集計対象A組合では、77組合のうち56組合が要求提出を完了した。雇用維持・確保に向けた取り組みは、産別および個別労使交渉に至るまで、幅広く取り組みを展開している。また、要求提出したすべての組合が賃金構造維持分確保のための対応を進めており、賃金引き上げは自動車総連・造船重機労連を中心とした26組合で、平均賃上げ・純ベア957円(9組合の加重平均)、定昇込み6,951円(16組合の加重平均)となっている。
2.組合の要求に対して、経営側は、各産業・企業の環境の違いを反映して、
@日本経済は、過去に例をみないような厳しい状況にある。日本の製造業は生産拠点としての存続の危機に立たされている。収益悪化が著しく未曾有の危機的状況にある。
A雇用を維持していくために、あらゆる面での競争力を再生していくことが労使の最大の課題である。会社施策の制約につながる協定締結には、慎重にならざるを得ない。
B賃金を引き上げる理由は見当たらない。これ以上のベアは競争力の喪失を招くものであり、実施できる状況にない。消費者物価が下落する中、生活維持の視点ではむしろ実質賃金は上昇している。現行の賃金水準確保すら困難な状況にある。
C一時金は、過去からの連続性よりも、現時点の会社実態での適正水準を根元から検討したい。安定部分の確保など到底応えられる状況にない。企業存続のためには、厳しい対応を考えざるを得ない。
D60歳以降の就労確保については、60歳までの雇用を守ることが精一杯であり、雇用量を増やすことは極めて難しい問題である
というように、組合要求のほとんどに対して否定的な見解を示しており、交渉序盤から労使がこれまで積み上げてきた制度や考え方についても変更を主張するなど、これまでにない極めて厳しい態度で臨んでいる。
3.一方、産別は、「雇用の維持・確保」を中心に産業別経営者団体と「産別労使会議」等を開催するなど、交渉の進捗にあわせ幅広く取り組みを展開している。このなかで一部の経営者団体からは、
「雇用の確保に向けて努力していくことが経営の基本である。今後もこの考え方を維持していく。」
「雇用の維持・確保は、経営の最大の目標として、今後とも最大限努力を払っていきたい。」
といった見解を示している。金属労協は、こうした見解を「雇用の維持・確保」に向けた協定締結を含め、JC共闘全体の成果に結びつけていく。
4.金属労協は、日本経済が極めてデフレスパイラルに近い状況にあり、こうしたことが産業・企業経営に大きな影響を及ぼしているものと、厳しく受け止める。
しかし、一方、勤労者の「雇用と生活」が危機的な状態におかれていることを見過ごすことはできない。2001年12月の完全失業率は5.56%、完全失業者数は337万人にまで悪化している。なかでも金属産業の雇用者数は、昨年同時期に比較して20〜30万人減少しており、全産業の中でも最も大きな影響を受けている。
今まさに政労使は総力を挙げてデフレスパイラルからの脱却を図らなければならない。そのためには、雇用安定に向けた労使の役割の発揮が求められている。金属労協は、今次闘争の基本スタンスとして、金属産業に従事する「勤労者の雇用を確保し、生活の安定を確立する」ことを確認している。これ以上のデフレを阻止するために「雇用不安の払拭と同時に、賃金構造維持分の確保をした上で、さらにベアを実施し、将来生活の不安を払拭していく」ことも、労使の責務である。
わたしたちは、こうした観点から「JC共闘」の総力を結集し、この基本スタンスを最後まで堅持し、確かな成果獲得に向けて全力を傾注し交渉を展開していくこととする。
5.JC共闘は、共闘全体の交渉状況の掌握に努めると共に、3月1日(金)の「頑張ろう ものづくり・製造業『2002年闘争推進集会』」を開催し、山場にむけた意思結集を行い、第2次統一交渉ゾーン(3月4日〜12日)における交渉の一層の追い上げを図っていく。
次回第4回戦術委員会は、2002年闘争推進集会を前にした3月1日(金)13時より開催する。
以 上
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