2002年3月13日
全日本金属産業労働組合協議会
(IMF−JC)
金属労協は、集中回答日である本日午前11時30分より第7回戦術委員会を開催し、現時点での回答に対する見解、ならびにJC共闘の今後の進め方を次のとおり確認した。
1.2002年闘争は、失業率が高止まりし、デフレスパイラルぎりぎりの状況が続くなかで、個別企業においても業績の下方修正が相次ぎ、雇用問題が顕在化するもとでの交渉となった。
われわれは今次闘争を、「雇用の維持・確保」を第一義におきながら、デフレスパイラルを阻止し景気の底支えを果たす観点から、「勤労者の雇用を確保し、生活の安定を確立」するための取り組みと位置づけ、闘争を展開してきた。
しかしながら経営側は、「あらゆる面で競争力を再生することが最優先課題であり、総額人件費の適正化を果たすべきである」と主張し、労使がこれまで積み上げてきた制度や考え方についても変更を主張するなど、最後まで頑なな姿勢を崩さず、交渉は終盤まで難航した。
われわれは、こうした経営側の対応は、デフレスパイラルからの脱却というマクロの視点を全く欠いたものであるばかりか、日々企業の発展と生産性向上に協力・努力する組合員の気持ちを踏みにじるものであり、日本経済・社会を更に深刻な縮小の悪循環に追い込むものであるとして、3月8日の第5回戦術委員会の方針に基づいて、不退転の決意で団体交渉を展開してきた。
2.集中回答日である本日正午現在、金属労協集計対象A組合75組合中、40組合で回答を引き出した。
雇用の維持・確保のための取り組みにおいて、各産別、企業連・単組は、産業労使会議での確認、企業労使による雇用安定協定の締結・労使共同宣言・議事録確認・回答書といった対応の違いはあるものの、ほとんどの組合において、経営として雇用の維持・確保に最大限努力をしていくとの労使確認を行っている。これは組合員の切実な思いに応えたものであると共に、金属各産業の経営者としての決意と姿勢を社会的に示したものである。雇用軽視の流れが強まるなか、雇用の維持・確保の基本的な枠組みを強化することについては、今次闘争の目的を達成したものと判断する。
また、賃金構造維持分の確保についても、交渉の最終局面に至るまで定昇の凍結・見直しといった頑迷な経営側主張が続いたものの、回答を引き出した組合の大部分において定昇の実施等によって賃金構造維持分を確保し、現行賃金水準を維持している。賃金構造維持分を金属労協全体として確保したことは、デフレスパイラル阻止に向けた底支えの取り組みとして、一定の役割を遂行し得たものと考える。
しかし、賃金構造維持分に加えてベアを要求した自動車総連・造船重機労連では、賃金引き上げを実施すべきでないとする経営主張と、実現を求める組合主張が折り合わず、交渉の接点すら見出し得ない状態が回答日直前まで続いた。造船重機労連ではベア有額回答に至らず、自動車総連においては、ベア獲得1組合、賃金カーブ維持1組合の2組合が回答を引き出しているに止まり、その他の組合は今なお打開を目指した交渉が継続されるなど、まさに異例の展開となっている。職場組合員の懸命な協力・努力によって達成した生産性向上の成果配分をベアに反映するという基本原則に対し、経営側は今後どのようなスタンスで臨んでいくのか明確な判断を求めていかなければならない。
一時金についても、産業・企業による業況の違いを反映し、産別・企業連によって水準が大きく分かれる状況となっている。業績によって水準が大きく左右される傾向が強まることは、年間総賃金の変動にもつながるだけに、一時金水準の安定確保に向けて、従来以上の対応が必要となっている。
一方、60歳以降の就労問題については、鉄鋼労連の企業連・単組では、2003年4月からの実施を確認した。また造船重機労連では、基本合意に基づく具体的な条件整備に入っている。雇用問題が深刻化する状況のもとで、60歳以降の就労確保について前進回答を引き出したことの意義は大きく、今後さらに社会全体のセーフティーネット確立に向けて、取り組みを強化していくこととする。
3.JC共闘各産別は、JC共闘体制を堅持し、交渉を継続する産別ならびに企業連・単組を全面的に支えていく。特に中小組合については、金融不安や産業・企業間の取引関係の見直しなどにより、収益的に厳しく困難な交渉になるものと想定されるだけに、産別の強力な指導のもと、3月月内決着に向け交渉を強化していくこととする。
あわせて企業内の最低賃金についても、社会的な重要性が高まる中、枠組みの強化に向けて協定締結の一層の前進を図る。60歳以降の就労確保については、これまでの成果をもとにして、さらに定着・拡大をめざして前進を図っていく。
4.次回第8回戦術委員会は、4月4日(木)正午より開催する。
以 上
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