第45回協議委員会

産別意見・要望

第1号議案の2003年闘争方針である「2003年闘争の推進」について團野事務局長が提案した。これに対して、加盟組織7産別代表から、以下の通り原案賛成の立場で、意見・要望が出された。

JAM
電機連合
自動車総連
鉄鋼労連
全電線
造船重機労連
非鉄連合
本部答弁
発言する産別代表

賃金デフレを阻止するために雇用と労働条件を維持

中野協議員(JAM)
 JAMは、公称単位で1,800を超える組合で構成をされていますが、そのうち約1,100の組合は100人未満というまさに中小労組の結集体です。また、比較的規模の大きい単組においても、部品メーカーが多いという構成になっています。したがって、労働組合のない企業が業界の中に多く存在をしていますので、勢い過当競争下に置かれる現状になっています。したがって、価格交渉力は従前から非常に低く、日本経済の二重構造と言われる大もとになっているのではないかと思っています。
 しかも、バブル経済の崩壊以降、資産デフレが始まり、海外企業との競争が始まるとともに、取引先企業の業界再編の中で価格交渉力はさらに大きく低下しています。確かに独自技術を持ちながら一定の価格形成力を保持している企業もないことはありませんが、残念ながらその数は少数にとどまっています。
 さらに、古くからの中小企業では、官公需の対売り上げ比率も大きい企業がありまして、官公需の削減と価格低下によって大きなダメージを受けているところです。このような事態を克服するためには、まず、自分たちの企業の力を強くして、業界としてのまとまりをつくり上げていくことが重要であるとの認識を持って日々努力していますが、私たちの努力のスピードよりも価格低下のスピードのほうが速く、現状ではとても追いつかない状況です。
 今日の日本の現状を考えてみますと、資産デフレから輸入デフレによる価格破壊、そして、昨年来の状況は雇用の削減を伴った賃金デフレに陥りつつあるのではないかと考えています。今後、この賃金デフレがこのまま持続すれば、さらなる雇用の削減と賃金削減が連鎖的に拡大をしていくことが懸念されていると思います。事実、今年の4月から9月までに私どもJAMの中で労働条件の切り下げを行った単組は218に上っています。また、倒産企業、閉鎖も18単組に上っています。2003年闘争は、この賃金デフレに入りかかった状況を阻止することが重要な取り組みになると考えています。
 この取り組みの中で一番大事なことは、賃金デフレを阻止するために雇用と労働条件を維持することだと考えます。特に雇用の確保こそが最重点の課題だと思います。JCは今年、JCミニマムという新しい考え方を打ち出しました。その意味するところや考え方の基本については賛成であります。しかし、JAMの中では雇用を守るだけで精いっぱいの単組も多いのが実情です。したがって、方針を実現する上での取り組みに当たっては、各産別の実情を十分に勘案していただき、そしてJCとしても雇用を守り、失業者の生活を保障する雇用保険制度の抜本拡充などの取り組みを強化するよう要望したい。
 これらの点については既に議長あいさつの中でも触れられていますが、雇用不安がなくなるまで持続的な取り組みをお願いしたい。これまで述べたように、JAM加盟単組の実情は、雇用をいかにして守るかという点に集約されています。また、賃金底支えの意味で産業別の法定最賃へ連動させるために、全従業員対象の最低賃金の取り組みなども非常に重要だと思っています。これらの取り組みにJAMとしては注力をするとともに、賃金構造維持分の確保にこだわる取り組みを2003年闘争においては行う決意です。

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賃金の低下傾向に歯止めを

加藤協議員(電機連合)
 経済のグローバル化が進展する中で国際競争が激化しており、私たち金属産業はそれぞれ生産拠点の海外移転、あるいは産業・企業再編などの構造的課題を抱え、各企業は国内外における競争力の維持を図るための事業構造改革を推進しています。一方、マクロ経済はデフレが進行する中で長期不況からの回復の道筋がいまだに見えない大変厳しい状況となっています。雇用環境についても依然として過去最悪の5%台後半の高失業状態が続き、こうした中で労働力の移動や雇用形態の多様化など、雇用構造が大きな変化を見せています。
 このように春闘を取り巻く環境が様変わりしている中で、本日提起された闘争方針案は経済・社会構造の変化をしっかりと受けとめ、中長期の視点でJC共闘の取り組み方向を示して、そうした時代認識のもとに2003年闘争を改革に向けた第1ステップの取り組みとして位置づけており、的確な方針であると考えています。
 なお、今後の基本方向として提起されているミニマム運動の強化、大くくり職種別の社会的賃金水準の形成、あるいは公正処遇の確立などの課題についても、いずれも大変重要かつ喫緊のテーマだと受けとめています。電機連合としても共通の認識に立っており、JC共闘の推進の中でともにその実現を目指して精一杯の取り組みをしていく決意です。
 さて、当面する2003年闘争の取り組みについて、電機連合は来年1月開催の中央委員会で方針決定をする予定であり、現在、議案審議段階であります。産業全体としては昨年来の著しい業績悪化から脱し切れない状態が続いており、かつ業種、業態によっては業績悪化の中で雇用問題を抱える厳しい経営環境に置かれている企業も多く存在する。そういう実情を踏まえ、昨年同様、雇用の維持、安定を最優先課題としつつ、デフレ・スパイラルの阻止と組合員のモラル向上の観点から、現行個別賃金水準の維持を図るべく賃金体系の維持を基本とした取り組みとする方向で現在論議を進めています。
 なお、JC方針であるJCミニマムなどによるミニマム運動の推進についてですが、鈴木議長の挨拶の中で具体的な考え方が提起されました。電機連合としては、従来どおりの取り組みになりますが、年齢別最賃の取り組みと企業内最賃協定の締結、35歳基幹労働者賃金の最低到達指標の設定、公正処遇確立に向けた取り組みの推進、そして法定産業別最低賃金の改正の取り組みなどの取り組みを具体的に展開する中でJC共闘に参加していきたいと考えています。
 いずれにしましても、賃金の低下傾向に歯止めをかけ、賃金の底支えを図り、名目賃金水準の維持を図る取り組みは決して容易なことではなく、大変重い課題だと受けとめていますが、精一杯の取り組みをしたいと考えています。

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自動車産業の労働の質にふさわしい賃金水準の確保を

小鍛冶協議員(自動車総連)
 自動車総連においても、1月15日の中央委員会に向けて2003年総合生活改善の取り組み方針について組織の議論を進めています。その方針を決めるに当たり、賃金面では大きく2つの課題があると考えています。1つは賃金水準、もう一つは賃金制度の整備・確立です。
賃金水準の観点では、自動車産業の付加価値生産性の高さからすると、つまりは我々自動車産業の労働の質の高さからすると、賃金水準はふさわしいものにはなっていません。また、国際競争力を高めるためにも人への投資が必要といった観点から、基本的にはベースアップに取り組んでいくべきとの考え方をスタートに議論を進めてきました。ただし、それぞれの企業、労使の置かれた環境には大きなばらつきもありまして、組織内にはさまざまな意見があります。現在、12月中旬をめどに詰めの議論を行っている最中であります。
もう一つの課題である賃金制度の整備・確立は自動車総連全体としてもまだまだ個別年齢別のポイント賃金だとか、賃金カーブ維持分が把握できていないために、早期に議論を開始しまして、この点については把握するように既に展開をしています。こういった観点では、賃金構造維持分の確保と賃金制度整備による賃金水準の維持・確保や金属産業にふさわしい賃金水準を目指す取り組みは産別としても賛同できる内容だと考えています。
 一方、今回、新たに提起されています「JCミニマム(35歳)」については、その意味合いも含めまして、もう少し議論が必要であるとは考えております。とは言いましても、自動車総連としましても、賃金を絶対額で見ていくことは大変重要であると認識しています。残念ながら、自動車総連加盟の約40%で個別ポイントの賃金水準が現在つかめていない状況であります。自動車総連としては、「JCミニマム(35歳)」について、2003年の取り組みにおいて、まずは全年齢の実在者賃金や、年齢別最低保障賃金の実態との比較を行いながら、現在、どのような位置づけにあるかを把握したいと考えています。
 いずれにしましても、自動車総連としては、2003年生活闘争において、それぞれが目標をもって経営側ととことん交渉、議論していくという姿勢を最後まで貫いていく強い意思をもって臨んでいく決意です。

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発言する産別代表

個別労働条件改定年度の位置付けで一時金中心に取り組む

近藤協議員(鉄鋼労連) 
 1点目は、ものづくり産業についての要請です。我が国ものづくり産業の基盤は、今、雇用と生活不安に脅かされ大きく揺らいでいます。アジア諸国への生産拠点の移転が進み、ものづくり産業の空洞化は失業率の高どまりの大きな要因となっています。特に中国の「世界の工場化」に対する我が国産業の将来に向けた国家戦略の構築は極めて重要な課題であります。にもかかわらず、それに対する政府の戦略が明らかでないことは大きな問題であり、これらの課題に関する国家戦略を早急に構築させるべく、金属産業労使会議の拡充と機能強化に向けJCとしてのリーダーシップの発揮を強く要請しておきます。
 次に、鉄鋼労連としては、今次春季闘争は、個別労働条件改定年度等の位置づけのもと、一時金を中心とした取り組みとなります。鉄鋼産業を取り巻く情勢の基調については、昨年と大きな変化はありませんが、輸出を中心とした生産量の回復などがあり、幾分かではありますが、環境条件が改善しています。こうした中で昨年の春季闘争において業績悪化の影響が集中する形で大幅な切り下げを余儀なくされた一時金の水準回復を強力に進めていかなければならないと考えています。
 また、今次闘争の特徴点としては、総合2組合で業績連動型一時金決定方式の導入があり、現段階の業績見通しから一時金水準の回復が想定されていることです。これをどう効果的に波及させていくかが大きなポイントであると考えているところです。一方で業種別関連組合については、雇用安定、60歳以降の就労確保、企業内最低賃金協定などを中心に格差改善も含めて要求していくことで組織内の検討を進めているところです。
 また、「JCミニマム(35歳)」の取り組みについては、鉄鋼労連としては複数年協定での取り組みであり、2004年春季闘争に向け、2003年春季闘争においては所定内賃金での実在者のチェックをしていきたいと考えています。鉄鋼労連では調査活動として2年ごとに個別賃金実態調査を全組合員対象に行っていますが、そこから得られるデータの分析も含めて的確な対応を図っていきたいと考えています。
 また、労働時間管理の取り組みについては、春季闘争とは切り離した上で労働界のみならず世間の注目が集まっているこの時期をとらえ、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」という長い言い方の基準ではありますが、これをもとに労働時間、ワークルールの総点検を実施する方向で検討を進めているところです。
 いずれにしましても、2003年の闘争を取り組むに当たり、鉄鋼労連としてはJCとしての共闘軸を一時金、JCミニマムに設定することとなります。議長あいさつにもありましたように、賃上げに取り組む組合に対してはJC全体として支えていくことが大切であると考えており、JC共闘の役割を十分認識し、大切にしながら組合員の生活と雇用の安定に向け精一杯の取り組みを展開する決意です。

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賃金構造維持分を確保する取り組みに向け論議

後藤協議員(全電線)
 まず、全電線として経済情勢の認識についてですが、現在の日本経済はバブル崩壊後の長期不況の中において最も厳しい局面の中、危機的と言ってもよいほどの状況にあると言えます。雇用環境一つとっても、課題も山積していますし、経済のグローバル化、市場経済化が一層進展する中、日本経済の再生と新たな発展のためには構造課題の克服、日本型システムの改編が不可欠であると考えます。しかし、こうした変化には我々勤労者の雇用と生活への圧迫要因となり得る側面も否めず、労働組合として的確な対応が必要であると認識しています。
 電線産業については、成熟分野である銅電線部門は需要の低迷が続く中、年々厳しさを増していく状況にあり、出荷量では前年度比マイナス4.1%と、1976年度以来の低水準になる見通しとなっています。このような需要の縮小、低収益性の顕在化など、構造的課題の克服に向け収益性の向上、事業の効率化、国際競争力強化など、産業・企業基盤の強化が急務であると認識しています。また、これまで収益面での貢献度が高かった光関連、電子関連製品についても、IT不況の影響を受け、需要低迷、操業低下と不振を極めている状況にあります。
 光ファイバーケーブルについても、各企業の設備投資に不透明感があり、前年度比ではマイナス15.4%と大幅な予想となっています。この結果、大手企業の中間決算は当初予想の大幅下方修正を余儀なくされ、各社が赤字に陥るという厳しい内容となっており、通期を見ても回復する要素がない状況となっています。
 これらの状況を踏まえた上で、春闘への取り組みについて述べたいと思います。組織論議としてはまだ決定していませんが、多面的な角度から日々状況変化を把握する中で検討を進めており、現時点での方向性としては、まず、雇用については、従来から最重要課題であるとの認識のもとに取り組んできており、基本的なスタンスは今後も変わりないと考えています。取り組みの具体的な対応は検討中ですが、昨年春闘時での労使確認も踏まえ、取り組んでいくことになると思います。
 次に、賃金についてですが、これまで申し上げてきた厳しい産業・企業実態等の状況を考慮すると、03年春闘においてはベースアップを要求する環境にはないとの判断で賃金構造維持分を確保する取り組みに向け論議、検討を進めている状況にあります。また、一時金については、全電線の基本政策を踏まえ、生活保障分について組合員の生活を守る観点から主張していきたいと考え、賃金同様に十分な組織論議を行い決定していきます。
 今後についても我々を取り巻く環境はさらに厳しい状況が続くものと考えられ、組合員の生活を守っていくためにも全電線として精いっぱい取り組んでまいりたく、JC共闘の一員として最大限努力することを申し上げ、方針に賛成の意見とします。

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改革にむけた第1ステップ−JC共闘の試金石

日比野協議員(造船重機労連)
 21世紀に入り、不況はとどまるところを知らず、一層深刻さの度合いを強めています。アメリカ経済の先行き不安、また、中国製造業の台頭などでグローバル経済化における国際競争がますます激化し、日本経済は深刻な打撃を受け、産業・企業の収益状況は大変厳しいものとなっています。この危機を乗り切るため、多くの産業・企業では事業の統廃合や再編、人員削減などが行われている状況であります。2002年闘争では闘争方針論議が始まるのを待たずに、幾つかの有力産別がベア要求断念を決めて、雇用確保のための取り組みを優先する方針を表明しました。
 こうした状況の中で、我々造船重機労連は自動車総連などの数少ない産別とともに、主体的な判断のもとでベアを要求しました。しかし、粘り強い交渉にもかかわらず、ベアゼロに終わったわけです。この2002年闘争は我々に対して2つの課題を突きつけたと整理しています。1つは、グローバル経済化、市場経済化の進展や国内外の競争激化の中で、産業・企業の生き延びるための生産拠点の海外移転、産業・企業の再編など、取り巻く環境が構造的に変化している中で国際競争と労働コストの関係をどう考えて対応すべきかという点です。もう一つは経済が停滞し、物価下落に歯止めがかからないデフレ経済下での賃金安定確保をどのようにしていくのかという点であります。
 そういう意味では、2003年闘争のJC方針は、この2つの課題に対して同様な課題認識としてとらえていると考えています。国内におけるものづくり産業の発展基盤をどのように維持・強化していくのかといった課題がそれであり、今後、中長期的に経済成長の制約が強まることが想定されることや、当面、デフレ経済下に置かれるものと考えられるなど、大きな環境変化のもとにあるという観点からの金属産業の賃金、労働条件のあり方といった点であります。金属労協として、こうした課題を極めて重要と位置づけ、整理した上で今後のJC共闘の基本的な取り組みの方向を示し、これら改革に向けた第1ステップとして2003年闘争を位置づけた点は十分に評価したいと思います。
 これまでの春の取り組みにおいて、JC共闘が中心的な役割を担ってきたことは、自他ともに認められるものであります。2003年の闘争方針は、これまでのJC共闘の果たしてきた成果と役割は大変難しい環境の中で将来にわたって継続できるかどうか。金属労協に集う7産別がそれぞれの事情の違いを乗り越えてJC共闘を大事にしていこうというしっかりした意思のもとでき上がったものであると理解しています。
 2003年闘争の最大の課題は、取り組み結果が改革に向けた第1ステップとしてJC共闘の将来にわたっての試金石となり得るかということです。そのためには各産別がそれぞれに掲げた方針に対してJC共闘を軸として目的を達成することにあると考えます。その目的を達成させる意味においても、JC共闘機能をますます強化させ、共闘体制を堅持させなければならないと考えます。

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社会的に共通化すべき新たな共闘軸を構築し、運動の発展

小峰協議員(非鉄連合)
 まず、経済分析については、量的金融緩和政策を再強化し、資産価値の上昇を図って不良債権を圧縮させるとともに、行革減税の実施など総合的なデフレ対策とあわせて、雇用を中心としたセーフティーネットを構築することによって対応を図ることが重要という金属労協の見解には全く同感です。
 私ども非鉄金属産業界においては、この激動する経済環境の中で産業・企業の存続をかけ、今までも幾度となく合理化を繰り返してきているわけですが、今また大きな構造変化の波にさらされているところです。企業は事業の集中と選択という大構造改革の波の中で猛スピードで改革を進めており、生き残りをかけた熾烈なグローバル競争が展開をされているところです。
 このような中でこれまでも私どもは日を追うごとに厳しさを増す雇用環境に対して、雇用確保を最重要課題としてJC共闘を進めてきているところです。しかし、足元の雇用状況はさらに悪化をしてきており、まさに一刻の猶予もできない状況にあります。JCの2003年闘争方針では、大きな環境変化のもと、金属産業労働者のあるべき賃金、労働条件を追求する観点から、賃金、一時金などを含む社会的に共通化すべき総合的な労働条件改善に向けて新たな共闘軸を構築し、運動の発展を目指していくとしております。
 具体的には、デフレ・スパイラルに飲み込まれた厳しい経済環境下における生活不安の払拭、雇用形態に対応した公正処遇を求める取り組みとして金属産業労働者全体の賃金水準の下支えを図るべく、JCミニマムが提起しています。また、デフレ阻止、勤労者の生活安定の観点から、賃金構造維持分確保に取り組み、その上でものづくり産業にふさわしい賃金水準追求を基本スタンスとしたその方針はまさに妥当なものと評価をしているところです。
 連合は、春闘改革の1つとして、産業別部門連絡会の機能強化を図り、部門連絡会の調整のもとで産別の自主決定にゆだねていくとの方針を打ち出しています。その観点から、JCが連合の金属部門を担う立場で連合運動を強化しようとするさまざまな取り組みを積極的に推進されるよう強く要望するものです。
 我々としては、雇用と暮らしを守る取り組みに全力を傾注しますが、一方でJCが提起をしている公正、有効に機能する市場経済と人間尊重の経済・社会システムづくりを目指す政策制度の取り組みは、今後より一層重要な課題になると考えています。労使合意による社会的合意形成を求める議論には、非鉄連合としても積極的に参画していきたいと考えています。
 また、ご案内のように、私どもは来年の9月に鉄鋼労連、造船重機労連との組織統一を行い、新たな産別として船出することを決定しています。非鉄連合として最後の春闘を闘うためにも、JCの一員としてその方針を支持し、精いっぱいの協力をしてく所存です。

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JC本部答弁(團野事務局長)

 出されました意見に対して若干のコメントを申し上げたいと思います。大部分については、JCの闘争の推進について賛成の立場から補強意見をいただいたと受けとめさせていただきたいと思います。その中で、35歳のミニマム運動については、本年から新たな取り組みとしてスタートを切る内容であります。したがって、その内容について十分理解、認識が行き渡っていない部分があるかと思いますが、今後、その内容も含めてきちっと議論してまいりたいと思いますし、今後の課題についても十分に検討してまいりたいと考えているところです。
 ただ、中長期的な取り組み方向から言いましても、金属産業全体の賃金水準のきちっとした賃金水準の形成が必要なわけであります。これまでは上位平準化の取り組みを中心にやってきましたが、今年は新たに下支えをきちっと図る取り組みをつけ加えたわけでありまして、そうした両方の取り組みから中長期的に金属産業全体の賃金水準を一定のレベルに形成することを考えているわけです。そういう観点からしても、35歳ミニマム運動は極めて重要だと考えているところであります。
 それから、金属産業の労使会議の強化についてご意見をいただきました。この労使会議については、1994年に正式に金属8産業労使会議として発足、スタートをさせていただきました。これは産別トップ、委員長の相手方の労単重役に委員として出ていただきまして、金属産業労使会議ということで94年以降本年まで約10回開催をしてまいったところであります。特に昨年11月21日に開催した第9回金属産業労使会議において、トップ会議だけではなくて、その下にワーキングチームをつくり、特定のテーマをきちっと検討し、そのテーマに基づいてトップ会議を開く。そうしたあり方で今後やっていこうということで確認をいただきましたので、本年の4月以降、計6回のワーキングチーム会議を開き一定の整理をしたところであります。
 そして、昨日、10回目の労使会議を開きまして、その取りまとめた内容を報告すると同時に、内容についての労使会議としての意見交換をあわせて行ったところであります。今後の労使会議の持ち方につきまして、言われたご意見もありましたように、労使合意による社会的合意形成を図るという取り組み視点からしても、金属産業全体の労使関係の構築が不可欠だと考えております。
 94年から続けてきました金属産業労使会議もその1つでありますので、そうした観点から関係強化を図っていきたいという視点で昨日はワーキングチーム会議を事務レベル会議として常設化をして、同時にメンバーについても7企業の課長クラスではなく、さらにメンバーも拡充をしたいということで話し合いをして、この内容についてはおおよそ理解をいただきました。ただ、一方で具体的な今後のテーマなり進め方についてはワーキングチームのメンバーを再度招集してそこで具体的に相談するように指示をいただいたところであります。今後、事務会議の常設化に向けて具体的な内容の詰めを行っていきたいと考えているところです。
 もう1点は、金属産業労使会議トップ会議のメンバーの拡充についてもご相談申し上げたわけでありますが、この点についてはおおよそ基本的な方向については理解をいただいたところでありますが、すぐに拡充をするというのは若干無理があるということで、これは先送りになったところであります。こうした視点も含めまして、今後粘り強く金属産業を代表する労使関係の構築に向けて、あらゆるチャンネルを通して努力をしてまいりたいと考えているところです。
 それからもう一つ、ワーキングチームとして取りまとめた内容をベースにして、各産業別にこの考え方を踏まえて産別ごとに具体的な課題の掘り下げをお願いしたいと考えているところです。そして、一定の整理をいただきまして、その内容を産業別経営者団体との話し合いでも活用いただくということで、今後各産別にお願いをしてまいりたいと考えておりますし、過日の三役会議ではそういう方向でご理解をいただいたところであります。

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