2003年4月22日
全日本金属産業労働組合協議会
(金属労協/IMF−JC)
第9回戦術委員会 |
金属労協がさる2月28日、日本経団連に対して回答を求めた「公開質問状」に関し、日本経団連は4月7日、「全日本金属産業労働組合協議会の質問状に関する見解」を発表した。
われわれは、この日本経団連の「見解」について以下の考えを明らかにし、日本経団連に対し、真摯かつ実効ある対応を求めるものである。
1.日本経団連が国際比較で使用する賃金データは、日本が「実労働時間あたり賃金」、米独が「支払い対象時間あたり賃金」であり、定義を揃えて「実労働時間あたり人件費」で比較すれば、日本は先進国の中位にすぎない、という金属労協の主張に対し、日本経団連は、「経営労働政策委員会報告で使用しているデータのとり方は、従来から一貫した考えのもとで行っている」と述べているのみである。旧日経連時代も含めて、一貫して日本と米独で定義の異なるデータを使用し、比較してきたことを改めて認めているにすぎない。
われわれの質問状に対して正面から回答していないことは、きわめて遺憾であるが、日本経団連には、次回「経営労働政策委員会報告」以降、正確なデータに基づく適正な国際比較を求めたい。
2.労働分配率のとり方について、日本経団連はもともと上昇傾向を持つデータを使用して、労働分配率の上昇を喧伝している、という金属労協の指摘に対し、日本経団連は何ら見解を示しておらず、きわめて残念である。
日本経団連は、企業が産み出した付加価値における勤労者への配分を示す指標について、真剣に再検討を行うべきである。
3.賃金制度改定は労働組合との十分な協議を尽くした上で合意を図るべきであり、賃金改訂交渉の場で取って付けたように制度改定を提案するのは労使の信頼関係を根本から損なう、という金属労協の指摘に対し、日本経団連は、「個別労使で十分に話し合っていただきたい」との見解を示している。
当然のことであり、日本経団連として個別企業経営者に誤解を与え、結果としてミスリードすることのなきよう、慎重のうえにも慎重な指導を期していただきたい。
4.日本経団連が提案している事務局レベルの意見交換については、「国際競争力の強化」をテーマとし、金属産業・ものづくり産業の基盤の一層の強化に向けた社会的合意の一環として、積極的に対応していく考えである。
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