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第44号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2015年11月))

インダストリオール造船・船舶解撤アクション・グループ、チッタゴンでグローバル・キャンペーンへの取り組みを再確認

2015-11-04

 

チッタゴン解撤場の船舶解撤労働者にグローバル・キャンペーンについて説明するインダストリオール代表団

チッタゴン解撤場の船舶解撤労働者にグローバル・キャンペーンについて説明するインダストリオール代表団

造船・船舶解撤産業の主要労働組合が、毎年開かれるインダストリオール造船・船舶解撤産業部会アクション・グループ会合で調整を図った。2015年11月1~2日にバングラデシュのチッタゴンで会合を開いたアクション・グループは、世界で最も危険な仕事である船舶解撤産業の安全面・環境面での改善のためのグローバル・キャンペーンに焦点を合わせ論議した。
 工藤智司共同部会長(JCM副議長/基幹労連委員長)が開会を宣言し、昨年の世界会議で採択された決議を取り上げた。この決議によって部門のすべての組合が、それぞれの国の政府に対し、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准を求めて働きかけることを約束した。この条約は船舶解撤労働者の生活を劇的に改善することになる。
 バングラディシュのチッタゴンは、インドのアランに次いで世界で2番目に大きい船舶解撤地域であり、約2万人の船舶解撤労働者がいる。アクション・グループ参加メンバーは、バングラデシュの194カ所にある船舶解撤場の1つ、シタクンダのフォースター船舶解撤場を訪れ、実態を視察した。
 バングラデシュの船舶解撤労組幹部ナジム・ウディンは、その懇談の場で次のように語った。
「我が国では、使用者は利益のことしか頭になく、安全規定の遵守はまったく考えていない」「労働者は請負業者によってバングラデシュ北部の農村から解撤場に連れて来られ、チッタゴンの町を見ることさえなく送り返される」「政府は頻繁に組合登録を遅らせている」「船舶解撤労働者は悲惨な状況にあり、賃金は日払いで、仕事がなければ収入もない。有給休暇はまったくなく、ボーナスも給与金も雇用保障もない。ここでは過去2カ月に8人の労働者が死亡した。使用者は亡くなった労働者の遺族にいっさい補償金を支払わない。最高裁は亡くなった労働者それぞれの遺族に50万タカ(6,400米ドル)の補償金を支払うよう命じたが、使用者はこの判決を尊重していない」と。
 アクション・グループ会合では、日本、オーストラリア、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、インドの組合が香港条約の批准を求めて活動していることが報告された。これらの報告についてはキャンペーン・ウェブページを参照。強力な造船労組は、連帯の精神に則って、また持続可能な造船業には持続可能な船舶解撤が必要であることから、船舶解撤労働者を支持している。
 2014年の船舶解撤の全体的統計は以下のとおりである。
インド29.8%
バングラデシュ24.2%
中国21.9%
パキスタン18%
 ムンバイとアラン(インド)の世界最大の船舶解撤労組の指導者であるV・V・ラネー造船部会副部会長は、次のように述べた。「私たちがここチッタゴンにいることが重要だ。解撤場訪問によってバングラデシュの船舶解撤労働者にメッセージを送った――私たちがついている、と」
 中国の景気後退で低価格の中国製鉄鋼が大量に市場に出回り、鉄鋼価格が暴落して船舶解撤の利益が得られなくなっているため、船舶解撤産業は現在不況に陥っている。この不況は5年続くと予想されるが、現在これまで以上に多くの船舶が使われているため、その後この産業は間違いなく成長に転じるだろう。
 オーストラリアAMWUのグレン・トンプソン書記次長が、オーストラリアの造船業を守るために同労組が展開しているキャンペーンについて報告した。クラウドファンディングにより、アデレード市に「Subs = Jobs(潜水艦=雇用)」広告板が掲示されている。
 松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤部門担当部長はこうコメントしている。
「香港条約を推進するために強力な世界的行動に取り組んでいる。その国際基準を南アジアに導入すれば生活が変わるだろう。インダストリオールは、船舶解撤場でより強力な組合を組織化するために、南アジアの加盟組織とも協力している。インドでも、加盟組織が労働者を組織化する前は、ここチッタゴンと同じ容認できない労働条件が見られた」
 アクション・グループ会合の代議員は、この部門のアクション・プラン2015-2016に沿って、香港条約の批准に関する世界的な行動、労働安全衛生活動や訓練の強化、持続可能な産業政策の促進に取り組む方針を再確認した。
 代議員は、2016年11月にウェスタン・オーストラリア州で次のアクション・グループ会合を開くことについても合意した。

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