アップルのビジネスモデルを非難する報告書を発表
2015-11-04
アップルは、2015年度に2,340億米ドルという記録的利益を上げて過去最高の決算を発表したが、グッドエレクトロニクスと多国籍企業調査センター(SOMO)は、同社の商習慣を酷評する批判的な報告書を発表した。
報告書『豊かな会社、貧しい社会:アップルの金融化』は2015年10月27日、アップルの決算発表日に公表された。この報告書は同社を厳しく批判し、「生産に再投資せずに莫大な利益に対する財務リターンの最大化ばかり考えている」と強調している。
アップルは低賃金国と税金避難地への容赦のない生産オフショアリング(委託)によってコストを最小限に抑えている、と報告書は指摘している。また、アップルは機関投資家としての活動を拡大しており、利益の大半を金融市場に投入している。
報告書によると、アップルの企業戦略は珍しいものではない。同じモデルに従って行動する多国籍企業が増えているが、このモデルは限られた企業経営者と株主にしか利益を与えないと言っていい。このモデルはヨーロッパで失業の増加、債務の拡大、不平等と緊縮財政を悪化させており、南側諸国で低賃金の不安定雇用を助長している。
「アップルが公共投資から莫大な利益を得ている一方で、世界中の政府と納税者、労働者が公共投資(法人所得税が資金源)とアップルの資産から支払われる賃金の形で得ている利益は驚くほど少ない」と報告書は述べている。
この報告書によると、各国政府が多国籍企業による以下の行動を確保する規則を制定・実施すれば、ビジネスモデルを変更することができるとしている。
●支払うべき正当な税金を支払う。
●適正な賃金を支払う。
●金融資産ではなく生産用資産に現金準備を投資する。
これらの変更は強力で持続可能な社会に貢献し、この先ずっとアップル製品を製造する労働者と同社製品を購入する消費者を供給することによって、アップルのような多国籍企業とその株主にも利益を与える、と報告書は結論づけている。
この報告書はグッドエレクトロニクスのウェブサイトで入手可能:
http://goodelectronics.org/publications-en/Publication_4246/
下記サイトでも短い紹介ビデオを視聴可能:https://vimeo.com/143721806
SOMOはオランダの非営利調査・顧問団体で、多国籍企業の政策の調査を専門としている。グッドエレクトロニクスは、労働権を含む人権に関心を持つネットワーク、組織および個人をまとめている。どちらもインダストリオール・グローバルユニオンのパートナー組織である。