インダストリオール機械エンジニアリング世界会議で組合の力を強化
2015-11-24
多様な産業の主要労働組合がインダストリオール・グローバルユニオン機械エンジニアリング部門世界会議を開催し、共通の課題に取り組んで力を強化するために集団行動計画を立案した。
2015年11月23~24日にスイス・ベルンでスイスの加盟組織UNIAの主催により、21カ国の労働組合代表が参加し、経験と戦略を共有した。この会議では、4年前に米国シンシナティで開かれた前回の世界会議以降、この機械エンジニアリング産業で起こった変化に対して労働組合の立場から検討を加えた。
今回の世界会議では、向こう4年間の部門活動に関する意欲的なアクション・プランを採択した。このアクション・プランはインダストリオールの5つの戦略目標に沿って、機械エンジニアリング部門に、不安定雇用との闘い、サプライチェーンも対象とする企業別労働組合ネットワークの創出・構築、生産のデジタル化に対応する新しい産業政策の促進を義務づけている。
インダストリオールは、この会議で包括的な産業報告書を発表した。報告書のコピーを希望するインダストリオール加盟組織は書記局まで問い合わせのこと。
この部門の大企業が労働力の外注によって労働組合を弱体化させているため、すべての参加組合が不安定雇用の問題を強調した。
外注労働者は使用者から「二流の労働者」とみなされ、正規労働者より賃金が低く、労働条件も悪い。多くの場合、契約労働者は安全面でより高いリスクにさらされているが、経営側の報復を恐れて、遠慮なく意見を主張しないことが多い。
組合代表によると、外注の増加傾向を受けて製品の品質も低下している。
この会議では、インダストリー4.0を取り上げ、インダストリオール・グローバルユニオンの産業政策、持続可能な産業への公正な移行に対する要求を討議した。
オーストリアの加盟組織ProGeの会長を務めるライナー・ウィンマー部会長は、会議冒頭に次のように述べた。
「真の行動は草の根レベルで起こる。職場での連帯がなければ何も起こらない。生産チェーンに沿って組織化し、ネットワーク構造を確立し、労働者の力を強化しなければならない」
インダストリオール・グローバルユニオンのケマル・ウズカン書記次長はこう語った。
「不平等の拡大は世界最大の問題の1つであり、持続可能性をますます脅かすようになっている。この不平等と闘おう」「IGメタルによるティッセン・クルップ・グローバル枠組み協定(GFA)の締結を祝福する。今後、この協約がベンチマークになるだろう。同時に私たちは、キャタピラーによる100億米ドルのコスト削減が労働者にどのような影響を与えるか大変懸念している」「もう1つの世界は可能だ。全世界700団体のインダストリオール加盟組合が、連帯を構築するために一致協力している。国境を越えた組織化と共同行動によって、私たちの発言力が強くなる」
マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング部門担当部長が、キャタピラー、ジョン・ディア、SKFの活発な労働組合ネットワークについて報告した。SKFネットワークは、このスウェーデン企業が大量解雇を実施する中で苦闘している。
「この部門は多岐にわたっている。サブセクターの多くが急激な変化に見舞われており、デジタル化が労働者全員に影響を与えている。オフショアリング(委託)や、労働者が絶えず技能・知識の改善を要求される状況といった従来からの問題に加えて、インダストリー4.0が新たに出現している。不安定雇用の問題もある。この部門では直接雇用労働者がますます減っており、請負業者を通して外注労働者と入れ替えられている。」
IGメタルのジュリアス・クリスチャンが企業別ネットワークにおける団結を求めた。「ティッセンクルップは労働者を分裂させたがっている。団結して共同で交渉し、ネットワークを通して組織化しなければならない。それがここで私が伝えたい重要なメッセージだ」
北米の組合IBBのジョディー・モーラーが、ヨーロッパで経営側が組合権を攻撃しているという厳しい報告を受けてこう意見を述べた。「使用者がアメリカ型モデルに従い始めているヨーロッパの同志に私が伝えたいのは、反撃に転じようということだ」
バニア・アレバUNIA会長は以下の通り述べた。「現在の環境では――世界中で、そして、ここスイスでも――活動的な労働組合員の存在が特に重要だ。多くの同僚が献身的かつ勤勉に取り組んでいる姿にいつも感心している。団結すれば物事を達成できるという私の信念を強めてくれる。団結すれば、目の前の途方もなく大きな課題を克服することができる」
この会議は全会一致で、IGメタルのクリスティアンネ・ベンナーとProGe会長のライナー・ウィンマーを共同部会長に選出した。