広報ニュース

第45号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2015年12月)

インダストリオール・グローバルユニオン、プノンペン執行委員会でカンボジアの労働者を支持

2015-12-10

12月10日の国際人権デーに生活賃金を求めて示威運動を行うインダストリオール加盟組織

12月10日の国際人権デーに生活賃金を求めて示威運動を行うインダストリオール加盟組織

 2015年12月9~10日にカンボジア・プノンペンでインダストリオール執行委員会が開催され、約200人の代議員が参加した。この会合は、カンボジアの衣料労働者60万人への支持を表明して同国で開かれた。

 ベルトホルト・フーバー・インダストリオール会長が開会を宣言、現在の難民危機について話し、難民との連帯を求めた。「私たちならびに同志のために、保護を求めている人々に連帯を表明すべきだ。すべての人々に未来に対する権利がある。それこそ労働組合員が求めて闘わなければならない権利だ。有志連合も結成しなければならない」

 フーバー会長は、カンボジア労働・職業訓練省のサット・サモス国務次官や、インダストリオールが先ごろグローバル枠組み協定を締結したH&Mの代表をはじめとする来賓を歓迎した。

インダストリオール執行委員会で演説するカンボジア労働・職業訓練省のサット・サモス国務次官

インダストリオール執行委員会で演説するカンボジア労働・職業訓練省のサット・サモス国務次官

 サット・サモス国務次官は開会の辞で次のように述べた。「私たちの主な関心事には雇用だけでなく、労働条件とカンボジアへの投資も含まれる。この会合がカンボジアの労使関係調和に効果を上げてくれるよう願っている」

カンボジアの衣料労働者に生活賃金を インダストリオールは、カンボジアその他のアジア諸国における生活賃金を求める行動、団体交渉および組織化に関するパネル・ディスカッションを行い、これには、ヘン・スー労働省官房長官、ケン・ルーGMAC書記長、ヨナ・ウィガーホールH&M持続可能性カントリー・マネージャーをはじめ、カンボジア、ミャンマー、インドネシアの労働組合代表が参加した。

 ユルキ・ライナ書記長は、「インダストリオールは組合加入権と団体交渉権を求めてグローバルな闘いを敢行している」と述べた。さらに、「この闘いは必ずしも簡単ではないが、カンボジアの労働組合は組織化に活発に取り組んでいる。聞くところによれば、衣料部門の組合組織率は60%にも達している」「しかし、カンボジアの最低賃金はまだ生活賃金に届いておらず、バングラデシュ、ミャンマー、ベトナムなど他の域内各国でも状況は同じだ。そして、このような状況にある限り、私たちの闘いは続く」と述べた。

 ヘン・スー労働省官房長官は、労働者の賃上げ要求を支持しながらも、次のように語った。「カンボジア政府は単独では行動できない。アジアのすべての国々で低賃金労働力の搾取をなくすために、ブランドや投資家と協力する必要がある」

 H&M持続可能性カントリーマネージャーのヨナ・ウィガーホール氏は「新しいアプローチを支持し、H&Mは全世界で賃金改善に取り組んでいる」と述べた。

 カンボジアのインダストリオール加盟組合8団体は政府に対し、労働組合側の要求を検討して対話を行うよう促している。

「最低賃金を引き上げる必要がある。インダストリオールの調査によると、140米ドルは生活賃金ではない」とインダストリオール加盟組織NIFTUCのラス・ミネア書記長は指摘した。ラス・ミネア書記長はカンボジアの衣料労働者の生活条件にも触れ、「ひしめき合って極貧生活を送っていることが多く、嫌がらせが横行している」と説明し、「カンボジアの労働者がいずれ生活賃金と人並みの生活を手に入れることを願っている」と述べた。

 ユルキ・ライナ書記長は、カンボジアの加盟組織に対してインダストリオール全体としての支持を表明した。「カンボジアの衣料労働者は要求を掲げ、その実現を目指して結集している。インダストリオールは生活賃金を求める闘いを支援しており、新しい産業レベル交渉メカニズムに向けて引き続きブランドと協力していく。政府、ブランドおよびサプライヤーすべてが責任を分担する必要がある」と述べた。

キャンペーンの組織化
 インダストリオールは、いくつかのキャンペーンを実施している。リオ・ティント・キャンペーンは、これまで世界中で労使紛争を引き起こしてきた、この大手採鉱会社に焦点を合わせている。このキャンペーンの目的は、リオ・ティントを中心に強力な組合ネットワークを構築し、組合による労働者の組織化を支援し、組合員数を増やすことである。

 まだ、課題はあるが、このキャンペーンはオーストラリア、インドネシア、マダガスカルで組織化を成功させ、約1,000人の新規組合員を勧誘したことが報告されている。リオ・ティント・キャンペーンは不安定雇用と安全衛生に重点を置き、投資家との対話を続けている。少なくとも54カ国の組合が大々的に団結を表明し、10月7日にストップ不安定雇用を求めて行動を起こした。リオ・ティントとラファージュホルシムのグローバル組合ネットワークも世界的な行動を取った。

 フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長が、主要国であるメキシコとコロンビアのキャンペーンと行動について執行委員会に報告した。結社の自由と団体交渉の実施を求めてメキシコ政府に圧力をかけ、大きな政治的進展があった。

 ペーニャ・ニエト政権に圧力を加え、ILO第98号条約の批准を含む労働法改革を提案している。鉱山労組とSMEも、5年に及ぶ闘いを経て組合員のために勝利を収めた。ホンダやPKC、バータ・サンダックといった企業でもキャンペーンが続いている。

 「インダストリオールは気候変動に取り組む組合だ」とユルキ・ライナが述べ、ブライアン・コーラー・インダストリオール持続可能性担当部長がパリのCOP21から直接報告した。「今週末に合意に達すると確信している。執行委員会に対し、持続可能な世界に向かう動きを支援し、この合意がインダストリオール関連部門にどのような影響を与えるか検討する会合の開催を承認するよう求める」

 インダストリオール執行委員会は、47本の既存GFAと、新たにGFAを締結する見込みのある企業との間で進行中の交渉を評価した。グローバル・ユニオンは、中立性、組合の職場立ち入り権、拘束力のある紛争解決の3つの政治的テーマに基づき、GFAの実施とGFAを利用した組織化にさらに重点を絞っている。

 モニカ・ケンペール書記次長兼インダストリオール女性担当部長が、9月にオーストリア・ウィーンで開催された女性世界会議について報告した。この会議では、インダストリオールの組織機構と指導部で40%の女性代表割り当てを求める決議が全会一致で承認された。

グローバルな組合の連帯を求める緊急決議
 インダストリオールは、中東・北部アフリカ(MENA)地域をめぐる討議で、特に職場において、すべての難民に責任を持って取り組む方針を確認した。

 イラク電力労働者・専門技術者一般労組のハシュメヤ・アルサーダウィ会長が、イラクでは悲惨な治安状況から人々が逃れており、テロや若年失業、悪法、移住がかつてないほど悪化しているが、それでもインダストリオールはイラクで活動を拡大していると語った。これは社会的公正を目指す政策やプログラムの実施が有効であることを表しており、社会的公正なくして平和はあり得ない。

 アルサーダウィ会長は、インダストリオールがイラクを訪れ、新しい労働法に取り組み、イラクのインダストリオール協議会を通して組合の団結に努めていることを称賛した。

 トルコ・エネルギー水道ガス労組のムスタファ・シャヒンが、難民危機によって賃金に下方圧力が加わり、250万人の難民がいるトルコでは不安定雇用が増加していると説明した。シャヒンは、難民にもトルコの労働者と同じ権利を与えるべきだと訴え、インダストリオール代表団によるトルコの難民キャンプ訪問を求めた。

 イタリアの加盟組織FIM-CISLのジャンニ・アリオッティが、イタリアの製造業において奴隷のような条件で働いている難民の状況に注意を促し、搾取を防止するために関係者全員(裁判所、法執行機関、使用者、労働組合)が連携して取り組むよう求めた。

 インダストリオール執行委員会は、いくつかの国々で攻撃されている組合を支持した。例えば、フィンランドの組合は右翼政権の攻撃にさらされている。「これらの法律が発効すれば、契約制度と組合の交渉権が損なわれる」とヨルマ・マリネンPRO会長は述べた。

 韓国政府は組合権を攻撃し、組合事務所を弾圧して一斉捜査し、不届きにも平和的な集会を非難している。インダストリオールは、反撃している韓国の労働者との連帯を表明した。

 ユナイトとワーカーズ・ユナイティングのベン・リチャーズが、イギリスの退行的な労働組合法について報告した。「すでにどこの国よりも制限的なスト関連法がある。だが、サッチャー主義のネオリベラル現政権が提出した労働組合法案は、スト権を極端に制限し、スト参加者の代わりに派遣労働者を雇用することを認め、労働党への組合の資金援助を大幅に制限するといった措置を盛り込んでいる。対抗する方法は国際連帯しかない!」

 執行委員会はいくつかの緊急決議を採択した。

●フィンランドにおける政府の組合権攻撃に関する決議
●現在の形の環太平洋パートナーシップ協定(TPPA)に反対する決議
●政府の弾圧に抵抗する韓国の組合への支援要請
●テロに反対する声明
●カンボジアの衣料労働者との連帯決議
●オーストラリアの労働者の権利を弱体化させているアルコアに反対する決議

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