クラウン・ホールディングスにOECD指針の遵守を要求
2016-01-18
OECD多国籍企業行動指針の米国ナショナル・コンタクト・ポイント(USNCP)は最終声明で、クラウン・ホールディングスは労働者の権利の尊重を確保するために「指針の実施に明確に取り組む」べきだと勧告した。
USNCPは、米国系多国籍製缶会社クラウンが、カナダとトルコで問題になっているクラウン子会社の行為に関する調停に参加しようとしないことにも遺憾の意を示した。
この声明は、それぞれカナダとトルコでクラウン労働者を代表しているインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織、全米鉄鋼労組(USW)とビルレシク・メタル・イスによる申し立てを1年以上かけて検討した結果、2015年12月24日に発表された。
USNCPは声明で「クラウン・ホールディングスはOECD指針を実施し、労働者の権利が尊重されるよう確保すべきである。この権利には、自ら選んだ労働組合を設立し、そのような労働組合に加入する労働者の権利や、同社の事業活動の影響を受けるその他の個人の権利が含まれる」と勧告している。
声明によると、「会社側は回答の中で、すべての問題は各国の司法・行政制度によって取り組まれている」と述べている。「多くの場合、OECD指針は現地法の尊重だけを要求しているわけではない」、とUSNCPは指摘した。したがって、企業は国内法に従うだけでは、必ずしも指針を遵守していることにならない。
USW(全米鉄鋼労組)はカナダでオンタリオ州労働関係委員会にもクラウンを提訴した。両当事者は2015年7月8日に何とか合意に達し、8月10日に職場復帰の実現を報告、カナダの労働者とその家族に打撃を与えた22カ月に及ぶストが終結した。
トルコのクラウン子会社ベブキャンでは2012年2月、組織化に関与した労働者が初めて解雇されたが、この問題もまだ解決していない。USWとビルレシク・メタル・イスからの報告によると、クラウンはオスマニエとイズミットの2工場で労働者を威嚇し、組合加入を阻止しようとしている。
クラウン・ベブキャンは法的障壁も利用して、ビルレシク・メタル・イスを労働者の合法的な代表として承認する手続きを遅らせた。
その後、クラウン・ベブキャンは団体交渉に参加したが、組合との公正な協約の締結に興味を示さなかった。組合が合法的なストを組織すると、同社は労働者に圧力をかけ、ストを支援する労働者33人の署名を強制的に撤回させてストを妨害し、このストを違法と宣言した。
ビルレシク・メタル・イスの報告によれば、同社は組合組織化活動への関与を理由に26人の労働者を解雇した。会社側は、この解雇が組合差別の結果であることを否定している。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、「アメリカのナショナル・コンタクト・ポイントによる本件の検討プロセス全体を通じて、クラウン・ホールディングスは組合と交渉する意思を示さなかった。それどころか、有意義な対話を行おうとする加盟組織のあらゆる取り組みを妨害しようとした。同社は調停に入ることを拒否し、多国籍企業の行動を規制するOECDガイドラインを尊重する意思を示していない。これは責任ある企業の行動ではない。クラウンがすべての労働者の権利を尊重するまで、同社との闘いは終わらない」とコメントした。
この指針は、OECD諸国の領土で、またはOECD諸国の領土を拠点に活動する企業を対象とする、国際投資と多国籍企業に関するOECD宣言の一部である。
最終声明全文は下記リンクで閲覧可能
http://www.state.gov/e/eb/oecd/usncp/specificinstance/finalstatements/250856.htm