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第48号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年2月18~25日)

航空宇宙――MENA地域の好調部門

2016-02-25

 航空宇宙部門は中東・北部アフリカ(MENA)、特にチュニジアとモロッコで活況を呈している。比較的新しい部門だが、すでに両国で数千人の労働者を雇用している。両国の地理的な位置、労働供給、政府の投資誘致政策を考えると、航空宇宙産業は引き続き拡大すると予想される。

 ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長はこうコメントしている。「この拡大している新興部門の経済的重要性が高まっていることは明らかだ。したがって、チュニジア、モロッコ両国において産業レベルで労働者の発言権を強化し、その意見を主張することが絶対に欠かせない。インダストリオールは今後も両国の加盟組織と協力し、産業レベル交渉で加盟組織の立場を強化していく」

航空宇宙――モロッコの戦略的産業

 

モロッコでの航空宇宙産業部会ワークショップ

モロッコでの航空宇宙産業部会ワークショップ

 2015年11月18日、モロッコの両ナショナルセンターUMTとCDTの航空宇宙労働者を代表する約20人の組合幹部が各社から集まり、カサブランカでインダストリオールのワークショップを開いた。

 初めて会合を開いた組合幹部たちは、産業レベル交渉が実施されていない状況を踏まえて、この急成長を遂げる部門で組合の力を強化することの必要性に関する主な課題と見解を共有した。

 使用者がモロッコ航空宇宙産業協会(GIMAS)を結成しているのに対し、労働者は組合の部門別活動や訓練をほとんど実施していない。

 参加者とGIMASによると、航空宇宙部門は2000年に活動を開始し、当時からモロッコの新しい戦略的産業の1つとみなされていた。現在、モロッコにはEADS、サフラン、ボーイング、ラビナル、SNECMA、アルコル・マロック、ステリア・マロック、ボンバルディア、インタートロニック、ゾディアックなど、航空宇宙会社が100社以上あり、その多くがカサブランカに拠点を置いてい。 GIMASによると、この産業には8,000人の有資格作業者がいるが、実際の人数はそれよりもはるかに多いと組合幹部は言う。

 参加者は以下の主要課題を確認した。

●組合幹部の解雇
●組合に対する労働者の認識を高める必要性
●組合の要求をめぐる使用者による真剣な交渉の欠如
●労働者の組合設立を妨害しようとする使用者側の圧力
●派遣労働者と各種の不安定雇用の幅広い利用
●さまざまな企業における団体交渉の停止
●労働組合員に対する虚偽の告発
●賃金・昇進差別
●不十分な安全衛生措置
●労働者は、GIMASが組合活動家をブラックリストに載せ、活動家の評判を傷つけ、この部門で将来就職しにくくしていると考えている。

チュニジアにおける労働者の発言権の強化

 

チュニジアにおける航空宇宙産業ワークショップ

チュニジアにおける航空宇宙産業ワークショップ

チュニジアの航空宇宙産業は好調で、メカニー、ステリア、サベナ、テクニクス、ゾディアック・エアロスペース、エアロリアをはじめ約65社が活動している。これらの企業は合計約7,500人を雇用しているが、組合幹部によると、この部門にはもっと多くの労働者がいる。

   2015年11月30日、航空宇宙各社とインダストリオール加盟組織チュニジア金属一般労連(FGME-UGTT)指導部から約22人が集まり、チュニジアの航空宇宙部門における組合の力の強化に関するワークショップに参加した。

 参加者たちは、この産業の労働者が直面している課題に焦点を当てて主要企業を洗い出し、共同作業ガイドラインを作成した。モロッコの場合のように、さまざまな航空宇宙会社の労働組合員が初めての共同活動で顔を合わせた。多くの参加者にとって、これは新しい組合活動経験だった。

 労働者が直面している課題の多くはモロッコと同様である。しかしチュニジアでは、金属労組は産業レベルで産業別協約か枠組み協約を締結しているが、航空宇宙部門の組合は現在のところ使用者団体のチュニジア航空宇宙産業協会(GITAS)と直接交渉していない。

 チュニジア、モロッコ両国のワークショップ参加者は最後に、強力な労働側交渉パートナーを生み出して産業レベルで労働者の要求を協議し、政府や使用者団体と交渉できるようにするために主要優先課題を定めた。例えば、組織化や教育、部門別組合活動に関する航空宇宙労組の能力強化をめぐるインダストリオールとの共同作業である。

 行動計画に従って、インダストリオールとFGME-UGTTは2016年2月10~11日、航空宇宙労働者の組織化技能向上に関するワークショップを開いた。インダストリオール執行委員のタハール・ベルベリFGME-UGTT書記長は言う。「この部門の労働条件改善を目指す行動計画を是非とも実施したい。能力強化と組織化は、チュニジアの航空宇宙部門で組合活動を促進する大きな効果がある」

 ウサーン・アッバーシUGTT書記長はワークショップの開会の辞で次のように述べた。「今、チュニジアの航空宇宙部門で組合の能力を強化することが重要だ。この部門は若者と女性を大勢雇用しており、彼らの組合技能を開発する必要がある」

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