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第48号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年2月18~25日)

ヨーロッパの組合、スト権求めて闘争

2016-02-23

 ILOで何とか使用者によるスト権攻撃をかわした直後に、イギリスとスペインの労働組合は闘争開始を余儀なくされている。そして、この闘いは他国にも広まる可能性がある。

 スト権は数十年前から政労使三者に広く受け入れられてきた。それにもかかわらず使用者グループは、この権利は国際法で定められていないと主張し、3年間にわたって国際労働機関(ILO)の活動を停滞させた。労働組合のグローバル・キャンペーン実施後、使用者側は2015年2月、ついに譲歩した。

 しかし、闘いは終わっていない。イギリスの保守政権は2015年11月、スト権を著しく弱体化させる労働組合法案を提出した。この法案はピケと抗議を制限するだけでなく、スト中に正社員の代わりに派遣労働者を利用できるようにする。公共部門では、組合員の50%が投票し、全組合員の40%が賛成票を投じなければならない。最低承認基準は80%ということになる。

 イギリスの労働組合は、2月に革新的な#heartunionsキャンペーンで数百万人と接触し、労働組合と組合員が職場や社会で実施した積極的な活動を称賛するとともに、労働組合や組合員にダメージを与えようとする政府の試みをはねつけた。

 スペインでも、当局がフランコ独裁時代の旧法を利用してスト参加労働者を起訴したため、労働組合は行動を起こさなければならなかった。スペインの裁判所は2月16日、2010年に平和的なストに参加したことを理由に、それぞれ禁固8年3カ月を求刑されていたエアバス労働者8人に無罪判決を言い渡した。しかし、スペインの刑法第315.3条を廃止し、他の同様の訴訟を取り下げさせるために闘いが続いている。

 スト権に対する攻撃は他国に広まる可能性があるため、引き続き警戒しなければならない。

 すでにいくつかの右翼政権が、世界経済危機を口実に労働者の権利や社会的保護を削減している。ルーマニアでは、2011年に国際通貨基金(IMF)が同国政府に対し、議会を通さずに不安定雇用を拡大するとともに、団体交渉を廃止し、スト権を制限するよう圧力をかけ、かつてない規模で権利が大幅に削減された。

 アイルランド、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、キプロスでも、最悪の危機を受けて団体交渉が禁止された。アイルランド政府とスペイン政府は現在、交渉制度の再建に同意している。

 これらの例は、労働組合運動発祥の地であるヨーロッパにおいてさえ、労働組合権が自明の権利ではないことを示している。労働者の権利に対する攻撃は明らかにイデオロギー的なものであり、国民よりもビジネス・アドバイザーの声に耳を傾ける政府が実施している。そして企業は往々にして、厄介な交渉に入ろうとせず、黙って言われたとおりにする従順な労働者を確保しようとしている。

 労働組合権の保障は常に、民主主義と社会的公正に基づく社会を構築するための価値観と政治的意思をめぐる闘いになる。その闘いのために、組合の力の強化に向けて引き続き労働者を組織化し、動員する必要がある。

インダストリオール・グローバルユニオン書記長  ユルキ・ライナ

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