瀬戸際の英国鉄鋼業
2016-03-30
タタ・スチールは水曜日、14現場で約1万5,000人を雇用する英国事業をすべて売却する意向を発表し、イギリスの鉄鋼業は壊滅的な打撃を被った。
英国最大の労働組合ユナイトは政府に対し、介入して危機に瀕している工場を再国有化するよう要求、別のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織であるコミュニティーは、責任を持って売却するという約束の遵守をタタに求めている。
レン・マクラスキー・ユナイト書記長は次のように述べた。「今こそ政府は、国がタタの資産を安全に管理することを躊躇せずに断言しなければならない。これらの工場なしで英国経済の繁栄はないからだ。タタの先行きが不透明であるため、すでにサプライチェーンで雇用が減っている――心配なのは、鉄鋼部門全体に不安が広がるままに任せれば、事態が雪だるま式に悪化していくことだ」「一時的な国有化が進むべき道であるという実業界から政府への統一見解を無視してはならない。この方法でスコットランドの工場は救われた。国有化はイタリアのイルバ工場の存続を確保した――残りのタタ事業にも適用しなければならない」
鉄鋼労組であるコミュニティーのロイ・リックス書記長は、インド・ムンバイの本社でタタ・スチールと協議したあと、イギリスに戻る予定である。同書記長は次のように述べた。「現在、イギリスは国家的危機に瀕している。タタ・スチールがイギリスから完全に撤退すれば、我が国の鉄鋼業全体が崩壊する恐れがある。そうなれば鉄鋼雇用に頼っている地域社会のみならず、イギリスの産業基盤全体が大損害を被るだろう」
リックス書記長はタタ・スチールへの書簡で次のように付け加えた。「十分に時間をかけて新たな投資家を見つけることが不可欠です。タタはイギリス全国の鉄鋼業界に対して道徳的・社会的責任を負っており、組合ならびに英国政府と協力しなければなりません」
ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は次のように述べた。「英国政府に対し、手遅れにならないうちにイギリスの鉄鋼業を支援するために全力を尽くすよう促す。後退してはならない。難局に立たされた鉄鋼労働者とその家族を支援すべきときだ。政府が現在取っている行動方針は、鉄鋼業界と英国経済の運命を永久的に決定づける」
ライナはこう付け加える。「タタ・スチールは以前、資産整理にあたっては責任を持って売却すると約束した。タタが約束を守るかどうかに、数千人の労働者とその家族の生活がかかっている」
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