インダストリオール執行委員会がリオ大会の準備
2016-05-30
5月25~26日にフランクフルトで開かれた執行委員会に200人が参加し、ブラジルの第2回インダストリオール・グローバルユニオン世界大会の準備、組織化・キャンペーン、気候変動、インダストリー4.0を中心に討議した。
重要な議題には、10月にリオデジャネイロで開催される第2回インダストリオール大会の準備と、ブラジルにおける最近の劇的な政治情勢が含まれていた。
ベルトホルト・フーバー会長は、ブラジル上院が先ごろジルマ・ルセフ大統領に対する弾劾手続きの開始を票決したことは、民主主義を軽視する危険な先例を作ったと述べた。
執行委員会は、ブラジルで進行中のクーデターを強く拒否することによって、ブラジル国民との連帯を表明する決議を可決した。暫定政権はすでに、ここ数年実施された社会的に進歩的な政策の解体に着手している。この政策はブラジルで4,000万人を貧困から救い出す役目を果たした。
執行委員会は大会準備の一環として、3人の書記長候補、すなわちノルウェーのアトレ・ホイエ、トルコのケマル・ウズカン、ブラジルのバルター・サンチェスに話を聞いた。ユルキ・ライナ現書記長は、10月の大会でフーバー会長、トム・バッフェンバーガー副会長とともに辞任する。
インダストリオール・グローバルユニオン執行委員会はフォルクスワーゲンに対しても、米国テネシー州チャタヌーガ工場で労働組合権を尊重するよう求めた。このドイツ系自動車大手は国内・国際労働法に違反して、チャタヌーガ工場の熟練労働者との交渉を拒否している。労働者たちは、12月にインダストリオール加盟組織の全米自動車労組(UAW)を団体交渉の独占的代表に選んだ。
◆組織化・キャンペーン◆
インダストリオールの組織化プロジェクトは世界中で、過去2年間に直轄の新規組合員を25万人増やし、全体としてさらに印象的な成果を上げている組織化文化を創出するうえでも役立っている。
バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定は、同国の衣料労働者数百万人の安全衛生改善に役立っている。執行委員会は、現行協定が失効する2018年以降に向けて、ブランド各社との新しい協定案の立案を承認した。
インダストリオールは、ACTイニシアティブおよび衣料メーカー18社との了解覚書に関与し、産業別団体交渉を促進している。この交渉は、衣料労働者の賃金の平等な条件を生み出す初めての現実的なメカニズムとみなされている。
執行委員会は、リオ・ティントが地方レベルで労働慣行を改善するまで、この大手採鉱会社に圧力をかけ続けることを支持した。全世界で適用する労働原則や、対話してそのような基準を促進するための世界・地域レベル機構をめぐって、同社との協議が進んでいる。
インダストリオールは2つの大規模なキャンペーンも展開しており、トルコでヒューゴ・ボスに対抗してTeksifと、アメリカで日産に対抗してUAWと連携している。
◆組合、気候変動および持続可能性◆
地球温暖化ガス排出を削減して気候変動を抑えるために2015年12月に締結されたパリ協定は、インダストリオール関連部門に大きな影響を与えるだろう。組合は、全国レベルで公共政策を調査し、労働者にとって公正な移行を確保するための行動を策定する必要がある。
スマート技術とリアルタイム・データを利用して生産性を高め、コストを削減するインダストリー4.0は、労働者とインダストリオール関連部門に課題を突きつけている。労働組合は、労働者が新しい仕事の世界で公正な条件を達成できるように影響力を行使しなければならない。インダストリオールは、デジタル化とインダストリー4.0に関する方針を立案する予定である。
◆貿 易◆
国境を越えた貿易協定をめぐる議論では、イギリスとインドの組合が、中国の鉄鋼ダンピングが国内産業に及ぼす甚大な影響について報告した。
イラン金属・機械労組(UMMI)から来賓として参加したジャムシード・アフマディーが執行委員会に対し、イランの労働者をさらに支援するよう訴えた。アフマディーはインダストリオールに、プジョーやルノーなどイランで活動している多国籍企業に圧力をかけ、国内で労働組合・労働者の権利を尊重させるよう求めた。
ユルキ・ライナ書記長は次のように述べた。
「フランクフルトでの積極的な討議は、リオデジャネイロで開催される第2回インダストリオール世界大会の準備にあたって優れた指針になるだろう。大会では1,000人を優に超える代議員がインダストリオール創設後4年間の成果を評価し、今後の行動方針を決定する。団結の維持と具体的な連帯の推進によって私たちはさらに力をつけ、あまりに多くの政府と企業が労働者の基本的権利を否定しようとしている、グローバル化した複雑な世界の課題に取り組めるようになるだろう」
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