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第60号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2016年12月12日)

鉄鋼危機の中、組合が「雇用を求めて闘う」と宣言

2016-11-24

 

世界100人の代表が集い素材金属産業の危機に対するアクションプログラムを立案

世界100人の代表が集い素材金属産業の危機に対するアクションプログラムを立案

素材金属産業で組織化している24カ国32組合から約100人の代議員がドイツのデュースブルクに集まり、この産業の危機に取り組むためのアクション・プランを立案した。

   ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長が、産業上重要なルール地域にあるデュースブルクが開催地に選ばれたことは重要であり、象徴的だと強調した。この鉄鋼中心地では鉄鋼業が衰退しており、公正な移行の途上にある。

   ソーレン・リンク市長が代議員を歓迎した。「鉄鋼業の火が消えることは決してないだろうと思っていたが、いま下火になっており、何千人もの雇用が失われた。私たちは革新と専心によって、この都市を転換することができた」

   2つの問題が会議に影を落した。ドナルド・トランプの米大統領選出と、中国のダンピングによる鉄鋼市場の過剰設備である。

   ヴァルター・サンチェスは次のように語った。「政治的な分裂とポピュリスト右派の台頭が見られる。トランプ勝利とブレグジットに、ブラジルではクーデターが起こり、フランスの次期選挙についても憂慮すべき兆候がある」「この脅威に立ち向かうために組合の力と団結を強化する必要がある」

   会議ではグローバルな鉄鋼危機に関する力強い宣言について議論した。鉄鋼業は世界第2位の産業であり、100年にわたって産業開発の原動力となってきた。その他多くの産業が鉄鋼業に依存しており、鉄鋼消費は増加すると予測される。

   それにもかかわらず、鉄鋼業は過去1世代で最悪の危機に陥っている。中国の鉄鋼生産は国家の支援を受けて15年間で5倍に増えた。中国経済が減速して内需が伸び悩んでいるため、余剰鉄鋼が世界市場でダンピングされ、市場を著しく歪めて鉄鋼業で持続可能性の危機を招いている。

   この宣言は世界機関と各国政府にダンピング防止戦略の策定を求めている。グローバルなルールに従って活動することを拒否している限り、中国に市場経済地位を与えてはならない。

   宣言は中国の労働者が景気後退の被害を受けていることにも留意し、中国に自由な労働組合を許可するよう求めている。不公正競争の下方スパイラルに巻き込まれるのではなく、インフラや訓練への大規模投資を行い、この産業が未来の需要を満たせるようにすることを求めている。

   全米鉄鋼労組のトーマス・コンウェイ共同部会長は次のように明言した。「中国系メーカーは国の支援を受けているので、原価より安く鉄鋼を販売することができる。これは市場を歪めている。根本的な過剰設備があり、その結果、数千人の雇用が失われている」

   どうすれば強力な組合が変化をもたらすことができるかをめぐる説得力のあるセッションの中で、イェルク・ホフマン・インダストリオール/IGメタル会長は、IGメタルがどのように素材金属部門の雇用を守っているかについて話した。

  会長は、よく組織化された強力な組合が有利な交渉上の立場を確保し、使用者と協力しながら部門の変化を管理できるようにすることの重要性を強調した。

   解決策は、革新とそれがもたらす生産性上昇を支持することである。組合は高度熟練労働者に新規雇用を提供するために、産業投資と職業訓練を求めて闘わなければならない。「強力な組合は政策に影響を及ぼし、この部門の未来を共同決定することができる」「革新が鍵だ。革新はまたとないチャンスであり、革新のためには有資格労働者が必要になる。職業訓練が非常に重要だ」「安定した堅実な組合組織が必要だ。前途に課題が待ち受けている」

   ケマル・ウズカン書記次長が導入したグローバル枠組み協定に関するセッションでも、国際レベルで強力な交渉上の立場を確保することの重要性が強調された。「これらの協定は単なる協定書ではない。労働者の権利は越えてはならない一線だ。そして労働組合ネットワークの構築は、その力を国際レベルで確立する鍵になる」

   この会議では、行く手に待ち受ける課題に対応して団結を求めるアクション・プランと、不安定雇用と闘って公正な移行を求めるという約束が採択された。アクション・プランは労働組合ネットワークの強化にも触れており、素材金属部門に対し、鉱業部門とより緊密に協力して適用対象となるサプライチェーンを広げていくよう求めている。

   組合は、市場の歪みを招かない鉄鋼メーカーに関する公正なグローバル枠組みを求めて、国際機関に働きかけていく。

 インドSMEFIのトーマス・コンウェイとサンジョット・バダブカールが、今後4年間の共同部会長に選出された。

 会議の写真を見るにはフリッカー・ページを参照。

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