ガダニ船舶解撤場で労働者5人が焼死
2017-01-10
1月9日にパキスタンのガダニ船舶解撤場でまたしても死亡事故が発生し、LPGコンテナ船の火災で少なくとも5人の労働者が亡くなった。ガダニでは過去数カ月間に数十人が死亡しているにもかかわらず、何の安全向上策も講じられていない。
およそ100人の労働者が第60区画で船を解体していたときに火災が発生し、救命ボートで救助された。わずか2週間前にも同じ船で火事があったが、そのときは死傷者が出なかった。
この船の所有者でガダニ船舶解撤場所有者協会の元会長であるデワン・リズワンは、火災が発生すると現場から逃走、その後、ハブ市近郊で警察に拘留された。
亡くなった労働者はムハンマド・サイード、サイード・カーン、アリフ・カーン、ナイマット・シャー、サビルで、全員がスワート地区とテシルカラット地区の出身である。もう1人の労働者も負傷した。
インダストリオール加盟組織パキスタン全国労働組合連盟(NTUF)のナシル・マンスールは次のように述べた。
「ガダニ船舶解撤場では労働安全衛生措置が改善していると主張されているにもかかわらず、絶え間なく事故が発生し、死傷者が出ている。安全は船舶解撤で最も軽視されている分野の1つだ」
環境省当局者によると、船内の化学泡剤が火災の原因だという。事故を防止するために、作業開始前に船から可燃物をすべて除去しなければならない。
この事故のちょうど前日の1月8日には、ディルシャッドという若い労働者が第69区画で船の上から落ちて死亡した。11月1日にも、ガダニ船舶解撤場で過去最悪と言える労働災害が発生し、石油タンカー火災で少なくとも26人の労働者が死亡、40人が負傷している。4人の労働者が今も行方不明である。
政府と使用者は労働安全衛生が改善したと主張しているが、ガダニ船舶解撤場では絶えず事故が発生し、死傷者が出ている。
松崎寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。
「労働者はもう一瞬たりとも安全衛生改革を待つことができない。政府・使用者は今すぐ行動しなければならない。同じ致命的な誤りが何度も繰り返され、労働者が船舶解撤場で虐殺されている」
インダストリオールは11月にパキスタンのムハンマド・ナワツ・シャリフ首相に書簡を送り、同国政府に対し、船舶解撤場における安全な労働条件の確保と船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准を求めた。
NTUFは11月1日の事故の負傷者と遺族への補償を確保することに成功した。しかし、ガダニ船舶解撤場で安全衛生を改善するという政府の約束は果たされていない。