機械工労組、米南部のボーイングで重要な投票へ
2017-02-09
アメリカ南部で予定されている組合承認選挙は、トランプ政権下における労働組合の組織化能力を判断するテストケースと見られている。
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の全米機械工・航空宇宙労組(IAM)は、サウスカロライナ州チャールストンで極めて重要な投票を迎えようとしている。ほぼ3,000人のボーイング労働者が2月15日、組合承認について採決を行う予定である。
この選挙は、トランプ時代における組合運動の組織化能力を決定づけるテストケースとみなされている。選挙に勝利すればトランプの反組合的政策への非難となり、あつれきを招く人種差別に対する勝利になるだろう。工場労働者の約3分の1がアフリカ系アメリカ人である。
米国南部は組織化が難しいことで有名である。賃金と組合組織率が低く、団体交渉の対象となる労働者が少なく、政治家は偏った立場から組合と敵対することが多い。
サウスカロライナ州は「労働権」州であり、労働組合に加入していない労働者が組合費を払わずに労働協約の恩恵にあずかれるようにする法律を採択している。同州の組合組織率は全米で最も低い。
IAMをはじめとするアメリカの組合の主張によると、労働権の裏にある動機は、組合を破壊し、「企業エリートにさらに多くの資金と権力を移す」ことである。ドナルド・トランプ米大統領は労働権を連邦レベルに広げる意向を示しており、これは組合に対する根本的な攻撃であると見る向きが多い。
ここ数年、低賃金と弱小組合に付け込もうと、多くの企業が南部に生産拠点を移している。ボーイングはワシントン州の工場を閉鎖したあと、2011年にサウスカロライナ工場を開設した。それ以来、10万787機以上のドリームライナーを生産している。
IAMは主にワシントン州で約3万5,000人のボーイング労働者を代表している。同労組は2015年、政治的干渉と会社側による大規模な情報工作を受けて、チャールストン工場での承認選挙から撤退した。
ブライアン・コーラー・インダストリオール航空宇宙担当部長は次のように語った。
「ドナルド・トランプの当選は全米の労働者への挑戦であり脅威だ。サウスカロライナで組合が勝利すれば、私たちに抵抗する力があるという力強いシグナルになるだろう」
「インダストリオールは国際連帯を表明し、ボーイング労働者に組合に賛成票を投じるよう勧める」