欧州議会議員、スリランカにおける労働権の尊重を要求
2017-04-19
欧州議会議員も参加したスリランカへの実情調査団は、同国が欧州連合から優遇貿易条件を供与されるには、労働者に団結権・団体交渉権を与えなければならないと結論づけた。
「私たちはスリランカに特恵待遇を与える意思があるが、そのためには労働者にも確実に利益が行き渡らなければならない」とローラ・サンチェス・カルデンティー欧州議会議員はミッション後の声明で述べた。
4月10~12日に実施されたミッションの参加者はインダストリオール・スリランカ協議会から、スリランカ政府によるEUの一般特恵関税制度プラス(GSP+)資格の再申請と関連して、人権・労働権遵守の進展を評価するよう勧められた。
GSP+は、人権・労働権、持続可能な開発および良い統治に関する中核的国際条約を実施する発展途上国に、貿易優遇措置を供与する。
しかしスリランカで10回を超える会合を重ねたあと、サンチェス・カルデンティーはこう語った。
「欧州連合の消費者は、自分たちが買っている服を女性労働者が虐待的な条件のもとで作っていることを知ったら、恥ずかしく思うだろう」
アン=マリー・ミナー欧州議会議員が付け加える。「政府は、これらの労働者が労働組合を通して団結できるようにしなければならない。そうしないと、労働者は利用され続けることになるからだ」
欧州連合は今後1カ月間にスリランカのGSP+資格申請を評価することになっている。
デンマークの労働組合3F、国際運輸労連(ITWF)、クリーン・クローズ・キャンペーン(CCC)の代表も参加した代表団は、スリランカの自由貿易地区で嫌がらせや違法解雇、セクシャル・ハラスメント、労働権侵害にさらされている労働者や組合指導者と会見した。
代表団は共同業務取り決めに人材派遣会社が幅広く利用されていることについて懸念を表明した。これはスリランカで結社の自由と団体交渉を弱体化させている。また、裁判所が次第に労働争議や団体交渉に干渉するようになり、労働組合に損害を与えていることにも懸念を示した。
実情調査団の声明に対応して、ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように語った。
「EU議員がスリランカを訪れ、労働者の現状を自分の目で確かめたのは素晴らしいことだ。これによってEUが適切な保護措置を導入し、貿易の利益がスリランカの労働者に行き渡るようにしてくれることを願っている。結社の自由の権利と団体交渉権の完全な尊重が欠かせない」