インダストリオール、国際労働総会で労働者・労働組合の権利を主張
2017-06-22
国際労働総会は、2週間に及ぶ連日の集中的な活動や会合を終え、6月17日にジュネーブで閉会した。
インダストリオール・グローバルユニオンと加盟組織は、いくつかのサイド・ミーティングに積極的に参加。例えば、食料への権利に関する元国連特別報告官で国連経済的、社会的および文化的権利に関する委員会メンバーであるオリビエ・デシューター教授と、新しい「多国籍企業に関する国連条約」をめぐり討議した。国連人権理事会が政府間作業部会を設置し、多国籍企業その他の企業の活動を規制する法的拘束力のある国際文書を作成しようとしているので、ITUCは労働組合に対し、このプロセスに関与して企業に国際的責務を守らせるようにすることを求めた。
国際労働組合権センターの会合では、イランのインダストリオール加盟組織が、組合として機能することが困難な状況にあると訴えた。インダストリオールのフェルナンド・ロペス担当部長が、国際労働機関の文書にアクセスし、イランで活動する多国籍企業と締結されたグローバル枠組み協定を利用できるよう、インダストリオールとして支援すると述べた。韓国民主労総のリュ・ミュクンが、韓国の労働者と国民が実施した闘争が勝利を収めたことついて、参加者に最新情報を提供した。労働組合運動は、新たに選出された大統領との実りの多い対話に期待を寄せている。
移住と労働に関する総会委員会では議論が白熱し、使用者グループは現行条約を弱体化させ、内容を薄めた勧告を要求しようと躍起になった。最終的に重要な闘いに勝利を収め、ILOが2本の条約(移民労働者に関する第97号条約と第143号条約)の批准を促進しなければならないことが承認された。労働者代表団は数カ国政府の支援によって、非常に強力な追加勧告に合意した。
インダストリオールと加盟組織は、加盟国によるILO基準の適用状況を監視する三者構成ILO機関、基準適用委員会に積極的に参加した。鉱山における安全および健康に関するILO第176号条約の総合調査について発言したのを皮切りに、本会議では組合員の結社の自由の重大な侵害を強調した。労働者グループは、使用者グループと取り決めた24の事例リストに、ILO第87号条約および第98号条約の違反の蔓延がよく知られているブラジルとコロンビアが含まれていないことに強く抗議した。
インダストリオールは7カ国の深刻な事例を報告、これらの事例は、カザフスタンにおける組合の強制的解散、独断的な逮捕、抗議行動の非合法化という最近の事件から、バングラデシュにおける暴力や労働者の弾圧、組合登録の拒否、ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長が非難した、カンボジアおける労働組合の法的保護の欠如や独立労働組合員の復職の遅れまで、多岐にわたっていた。
トルコの事例では、ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が以下のとおり要求した。
「結社の自由、スト権、団体交渉権など、トルコにおける労働組合権の尊重と完全な実施に特に注意を傾けなければならない」
ウズカン書記次長はさらに、すべてのグローバル・ユニオンが団結して拘留中の労働者・公務員全員の釈放を求め、トルコ政府当局に以下を要求すべきだと述べた。
「証拠に基づいておらず、法の支配に従っていない集団解雇・停職、威嚇および逮捕をやめ、非常事態措置に関する調査委員会を設置し、この委員会の決定を妥当な時間内に司法審査ならびに独立した透明かつ効果的な上訴手続きに付し、欧州レベルでの最後の手段にもなるよう確保する」
インダストリオールとアルジェリアの加盟組織SNATEGSは、大きな汚職事件を明るみに出したことを理由に、同労組の書記長が反組合的な迫害を受けている状況を強く非難した。これは国有エネルギー会社ソネルガスが10年にわたって不法に電気代を値上げし、800万を超える顧客に影響を及ぼしたという事件である。インダストリオールは以下のとおり要求している。
「ラウーフ・メラルらSNATEGS組合員に対する告発をすべて取り下げ、93人の組合員を復職させ、政府が直ちにSNATEGSの登録抹消決定を取り消すこと」
インダストリオールのフェルナンド・ロペス担当部長は、グアテマラ政府が攻撃や嫌がらせを繰り返し、5年前に組合登録したテナリスの加盟組織(SINTRATERNUIM)の団体交渉権の承認義務を果たすよう企業に要求しなかったことを糾弾した。
ウクライナのケースでは、インダストリオールは他のグローバル・ユニオンとともに、ILO第81号条約(労働監督)がまったく遵守されていない結果、ウクライナの鉱山では2016年だけで485件の事故が発生し、鉱山労働者12人が死亡したこと、安全衛生保護対策への政府資金の供給が不足していることを非難した。
すべてのプレゼンテーションとCASで討議した事例の結論は下記サイト参照:
http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/ed_norm/relconf/documents/meetingdocument/wcms_558659.pdf
そして最後に、ILO総会の目的は会合だけではなく、インダストリオールはブラジルのナショナルセンターが呼びかけたデモ(ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が演説)、アルジェリアの弾圧を非難する動員、すでに伝統となった国際公務労連主催の自転車によるキャンペーン「Route of Shame」など、多くの動員に参加した。