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第72号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2017年10月31日)

インダストリオール、インダストリー4.0戦略を設定

2017-10-31

10月26~27日にスイス・ジュネーブで開かれたインダストリー4.0世界会議に加盟組織60団体以上から100人超が参加

 10月26~27日にスイス・ジュネーブで「インダストリー4.0:労働組合と持続可能な産業政策に与える影響」に関するインダストリオール・グローバルユニオン世界会議が開かれ、40カ国の加盟全国組合60団体以上から100人を超える参加者が集まった。

 この会議では、インダストリー4.0とデジタル化がさまざまな国や部門の加盟組織にどのような影響を与えているかについて幅広いインダストリオール加盟組織から話を聞き、今後の課題に取り組むためのアクション・プランを設定した。

 「産業変化は新しい現象ではないが、インダストリー4.0に伴う変化の速さは前例がない」とヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は開会の辞で述べた。「関連部門が変化していく。私たちも適応しなければならない」

 会議の重要な議題は、生産と仕事の未来、そしてインダストリー4.0が社会全体に及ぼす影響である。

 「最富裕層がインダストリー4.0の恩恵を享受するままにしておくことはできない」とインダストリオールのブライアン・コーラー安全衛生・持続可能性担当部長は述べた。「インダストリー4.0の原動力はコスト削減であり、それは雇用が危機にさらされることを意味する。テーブルに自分の席を確保しなければメニューに載せられてしまう」とコーラーは語り、持続可能な産業政策を設定するための意思決定に労働組合がかかわることの必要性を強調した。
 「最も搾取された労働者でさえロボットとは競争できない」とコーラーは警告し、女性が大多数を占める多くの雇用が不安定かつ低賃金であるため、女性は特に攻撃されやすいと付け加えた。

 世界経済フォーラムのフランシスコ・ベッティが、全世界8億5,000万人の生産部門の雇用を守る必要があると述べ、労働者が初期段階でかかわっていないため、ほとんどの企業はデジタル化をうまく実施できていないと付け加えた。

 国際労働組合総連合のシャラン・バロウ書記長が、インダストリー4.0に立ち向かうために産業部門の垣根を越えて連帯する必要があると強調した。同書記長は労働者にとって公正な移行も要求、企業は労働者に責任を負い、自社が社会全体に及ぼす影響に責任を負う必要があると述べた。「企業は社会的営業免許を必要とする――企業に税金を払わせ、安定した雇用を提供させ、社会的保護制度に貢献させなければならない」

 会議では、国際労働機関(ILO)のデボラ・グリーンフィールド副事務局長が基調演説を行った。「私たちに仕事の未来に関する方針を策定する能力があるということについては楽観視してよい」と彼女は主張し、ここ数十年の前向きな動きについて概説した。例えば、極貧率の低下、働く女性の増加、ILO条約の批准改善などである。しかし同時に彼女は、生産性の上昇が利益と短期投資(すなわち投機)に振り向けられ、労働者に利益を与えておらず、賃金上昇にもつながっていないと強調した。

 インダストリー4.0は教育と生涯学習を受ける権利に基づくレイバー4.0を必要としている、とドイツの加盟組織IGメタルのウォルフガング・レムが述べた。有資格労働者でなければ変化する市場に対応できないとレムは指摘し、組合員数の増加が将来の課題に立ち向かうカギだと付け加えた。

 2日間の有益な議論を経て、参加者はインダストリオールのアクション・プランを承認した。この計画が求めている「仕事の未来は、インダストリー4.0が社会のすべての層にもたらすであろうプラスの効果を受け入れつつ、政府がこの移行を社会的責任のあるものにしようとしていない中で、労働者が企業の社会的債務を払わされないようにすることである」。

計画の骨子は以下のとおり。

  • 加盟組織がインダストリオールの持続可能な産業政策目標を促進するための意識向上と能力強化
  • 若年労働者、女性および不安定労働者の組織化
  • グローバル枠組み協定によるインダストリー4.0の機会と課題への取り組みの確保
  • 政府・企業との協議で取り上げるべき公正な移行プログラムの立案・実施
  • 情報・協議、訓練および職場と家庭における一定水準のプライバシーに対する労働者の権利
  • インダストリー4.0方針の策定に関するジェンダーの視点
  • インダストリー4.0をめぐる世界・地域・国家・企業レベルの議論における労働者の意見の主張

アクション・プラン全文(英文)を読むにはここをクリック

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