ICT電機・電子労組が組織化の強化を決議
2018-05-31
2018年5月28~29日にムンバイでインダストリオールICT電機・電子産業運営委員会が開かれた。世界中から集まった組合代表がグローバルな業界動向について議論し、組合の力を強化して労働組合運動が直面する課題に対応するために現在の活動と将来の戦略を評価した。
野中孝泰インダストリオールICT電機・電子部門共同部会長が次のように述べた。
「ICT電機・電子部門で働く世界中の労働者が不安定雇用の拡大にさらされており、今、急速な技術変化に起因する新たな問題に直面している。この変化は業界にプラス、マイナス両方の影響を与えるだろう。労働組合運動は能力を強化し、助け合うためにグローバルな連帯を戦略的に構築する必要がある」
運営委員会は一連の問題をめぐって率直に討議した。例えば、進行中の組合組織化イニシアティブ、事務技術職・女性・若年移民労働者の組織化、組合活動と不安定雇用反対キャンペーン、将来の組織化戦略、サプライチェーンにおける労働者の権利の擁護、労働安全衛生措置の改善戦略などである。
プリハナニ・ボエナディ・インダストリオールICT電機・電子部門共同部会長はこう語った。
「組合の組織機構や活動で男女平等と少なくとも40%の女性参画を達成することを、関連組合の主要な目標の1つにすべきだ。傘下組合は女性参画の向上によって徐々に前進しており、このプロセスを強化する必要がある。ICT電機・電子部門には大量の女性労働者がいるので、女性参画の拡大によって組合は労働者の権利を効果的に守れるようになる」
インドネシア、マレーシア、ベトナムおよびフィリピンの組合代表が、各組合の組織化努力、組合員数の増加、賃上げと労働条件改善、労働安全衛生措置を勝ち取るための闘いについて語った。
ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「最近、組合員数が非常に大きく伸びている。しかしICT電機・電子産業では、大規模で複雑なサプライチェーンを有する大手企業の一部が労働組合活動に敵対的であるため、相変わらず組織化が難しい。組合は、多国籍企業との対話の場を生み出すと同時に、サプライチェーン組織化の新生面を開拓するために、戦略的に活動する必要がある」
フランスとシンガポール、イギリスの組合代表は、インダストリー4.0の緩やかな拡大から生じる問題に関して組合が採択した戦略を共有。組合が政府の政策イニシアティブと使用者の将来計画に効果的に関与し、それらに影響を及ぼして労働者の利益を保護できるようにすることが重要だ、と強調した。同時に、組合は組合員に権限を与え、使用者と協力しながら仕事の未来の再創造、職務の再設計および労使の再教育に取り組む必要がある。
松﨑寛インダストリオール担当部長は述べた。
「インダストリオール加盟組織は新規組合員の組織化に大きな成果を上げており、これによって加盟費納入組合員を増やしながら労働者の権利を効果的に擁護できるようになる。加盟組織はICT電機・電子部門の新規組合員1万5,000人以上の目標達成に向けて順調に進んでいる」
「組合の力の強化を目指して、加盟組織はIBMやシーメンス、NXP、エリクソン、STマイクロエレクトロニクス、GEをはじめとする企業で労働組合ネットワークを構築・強化し、戦略的に前進している。そのようなネットワークを増やすためにも努力しており、新しいグローバル枠組み協定を締結している。さらに、他のグローバル・ユニオン・フェデレーションやグッドエレクトロニクスのような市民社会ネットワークとも新しい同盟を結成しており、有力な多国籍企業に対抗しつつ、組合組織率を高めて各社で交渉の余地を獲得しようとしている」
5月29日に参加者全員がムンバイにあるシーメンスのカルワ工場を訪問し、経営側ならびに組合代表と対話した。この工場見学で参加者は、インダストリオールとシーメンスのGFAに工場で進歩的な労使関係を確立する効果があることを理解することができた。
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