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第80号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年6月30日)

インドとスリランカの組合、持続可能な産業政策を要求

2018-06-28

IA南アジア事務所はインド・デリーとスリランカ・コロンボで持続可能な産業政策についてのワークショップを開催した
政府に対して持続可能な政策を提案すると同時に、一般組合員にも認識を促すことを決めた

 インドとスリランカの労働組合は、全国レベルの社会的対話を強化し、産業政策の立案に労働者の意見を採り入れることが、持続可能な産業政策を策定するとともに、持続可能な産業で新しいディーセント・ワークを創出しつつ現在の労働者を保護する公正な移行を開発するために極めて重要だと強調した。

 インダストリオール南アジア地域事務所は、2018年6月18~19日にデリーで、6月21~22日にコロンボで、連続して2回の「持続可能な産業政策に向けた」ワークショップを開催した。デリーで開かれた「持続可能性への課題」に関するパネルディスカッションに参加したインドのナショナルセンターの指導者たちは、インド政府が最近労働組合の要求を一貫して無視していることに深刻な懸念を表明した。インドの労働組合はゼネストも含めて一連の全国レベル抗議を組織しているが、政府は社会的対話を徐々に弱め続けている。インド政府は危険なまでに労働法改革を推進しており、この改革は不安定雇用を急増させ、新規雇用と解雇を繰り返す使用者の方針を促進する。

 インダストリオールのブライアン・コーラー安全衛生・持続可能性担当部長は次のように述べた。
 「仕事の世界は、気候変動とインダストリー4.0の形での急速な技術的転換とに起因する、重大な持続可能性の課題に直面している。多国籍企業は躍起になって生産プロセスを転換しており、政府はそれを促進する政策枠組みを作り出している。そのような転換は持続可能でなければならず、人権・労働権、経済開発および環境保護を盛り込んでいることが不可欠だ。このプロセスにおいて、労働組合運動は重要な役割を担っている」

 インド全国労働組合会議(INTUC)議長およびインダストリオール加盟組織インド全国金属労連会長を務めるG・サンジーバ・レディー博士が次のように述べた。
 「インドの労働組合は歴史的に重要な全国同盟を結成しており、労働者の権利を守るために一致協力している。私たちは産業が急速な技術開発と気候変動に対処できるようにする産業政策を歓迎する。しかしながら、この過程で雇用創出と労働者の雇用保障・社会保障を十分に重視すべきだ。労働組合の見解に対するインド政府の無関心は依然、組合運動にとって大きな課題となっている」

 アマルジート・カウアー全インド労働組合会議(AITUC)書記長はこう語った。
 「インドの経済成長は最近、労働者階級に利益を与えていない。実質賃金が目減りし、組織部門においてさえ不安定雇用が増加している。労働組合権が一貫して攻撃され、雇用創出の課題が立ちはだかっている。廃貨やいわゆる物品・サービス税制改革(GST)をはじめ、インド政府の最近の政策は事実上、失業問題を悪化させている。我が国の経済・社会・環境ニーズを満たすように持続可能な産業政策を発展させるために、政府は労働組合の見解を考慮に入れる必要がある」

 鉄鋼、エネルギー、自動車、電機・電子、衣料・繊維、皮革、化学、エネルギー、鉱業、セメント、船舶解撤およびインフォーマル・セクター労働者など、多様な分野を代表しているインドのインダストリオール加盟組織が経験を共有し、さまざまな持続可能性問題や労働安全衛生問題について議論した。また、インダストリオールのグローバル枠組み協定(GFA)に「公正な移行」の原則を盛り込むべきことも示唆した。この行事には、ナショナルセンターのAITUC、CITU、HMS、INTUCおよびNTUIの全国指導者が参加した。

 コロンボのワークショップでは、スリランカ政府に関与するための組合戦略の策定に焦点を合わせた。参加組合は、スリランカのような低~中所得の発展途上国には「フリーサイズ」のアプローチは適していないと強調した。持続可能性と公正な移行を確保し、雇用創出・開発の差し迫った必要に取り組むために、スリランカは適切な政策余地を必要としている。参加組合は、インドの持続可能な産業政策案を起草し、全国労働組合の合同プラットフォームで広域的な支援を確立することを決議した。さらに、一貫して政府に持続可能な政策を提案すると同時に、一般組合員の認識を促すことも決定した。

 アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長が述べた。
 「南アジア地域の産業政策への持続可能なアプローチが今必要とされている。すべてのレベルで社会的対話を強化し、政策問題に関する労働組合の意見を採り入れる有意義な制度構造を構築すれば、公正な移行と持続可能な産業政策の達成に役立つ」

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