2018年ILO総会で労働者の権利を擁護
2018-06-14
5月28日から6月8日にかけてジュネーブで開催された第107回国際労働総会では、仕事の世界におけるジェンダーに基づく暴力に関する条約やILO条約違反など、労働運動にとって重要な問題をめぐり議論した。
ILO総会は、「持続可能な開発目標を支持する効果的なILOの開発協力」に関する全体討論を行い、ILOの将来の開発協力ビジョンを形成することを視野に入れて、2018年以降のILO開発協力戦略についての指針を与えた。
インダストリオール・グローバルユニオンは、貧困と飢餓から平等、クリーンエネルギー、気候行動、ディーセント・ワークと経済成長、平和と公正に至る17の目標を支持して、次のように発表した。
「必要なものは計画である。道徳的に正当化できる唯一の対応は、労働者に公正な移行を保証すること。労働者に、この緊急に必要とされる転換を支持してもらいたければ、労働者のためになることを盛り込まなければならない」
仕事の世界サミットが開かれ、政府やソーシャル・パートナー、著名な専門家が参加して最も重要な問題を検討し、平和と強靱性のためのディーセント・ワークに取り組んだ。
インダストリオール・グローバルユニオンはこう述べた。
「私たちは製造・エネルギー・鉱業部門の労働者として、関連産業と雇用においてデジタル化と(各種の破壊的な先端生産技術の呼称である)いわゆるインダストリー4.0の影響をすでに強く感じている。職場のデジタル化が進む中で、いくつかの権利を勝ち取らなければならない。
- 地方・地域・全国・国際レベルにおける労働者代表の情報・協議権
- 教育・訓練に対する権利
- 職場と家庭における一定水準のプライバシー権」
公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言をフォローアップして、社会的対話と三者構成原則をめぐり重要な討議が行われた。
インダストリオールは述べている。
「社会的対話には労働における基本的権利の完全な尊重と実施が必要だが、大変残念で腹立たしいことに、世界のあらゆる場所で労働者の権利の侵害が増えている傾向が見られる」
政労使代表が集まり、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する将来の文書の性質や適用範囲について交渉した。政府側が支持したおかげで、委員会は勧告によって補足される条約を支持している。
基準適用委員会(CAS)
基準適用委員会での報告によると、ハイチでは過度に高い目標と長時間労働が見られ、まさに賃金泥棒にほかならない不当に安い超過労働手当が支給されており、メキシコでは労働者が公正な組合選挙を要求したために殺害されたり、脅されたり、解雇されたりしており、ナイジェリアではシェルに雇用される不安定労働者が組合を結成しないと約束する書簡への署名を強制され、ベラルーシでは組合権を行使した組合が刑事罰の対象となり、ボツワナの鉱業部門では交渉も補償もなしに大量レイオフが実施された。
ブラジルは、団体交渉権に関する第98号条約の違反でCASに提訴された。ブラジルのナショナルセンター6団体すべてが声をそろえて、正当性のない政府が可決した退行的な労働法改革を糾弾した。インダストリオールはグローバル・ユニオンのPSI、ITFおよびEIとともに、この労働改革が1億人の労働者に悪影響を及ぼすことを非難した。これに対してブラジルの労働大臣は、ILO専門家委員会は信頼できないと主張、ブラジルを「政治的動機によって選び出された悪意のあるリスト」に載せたとして同委員会を非難し、出席者全員の反発を招く結果となった。
ブラジル、メキシコ両方の事例で、労働者側スポークスパーソンはスペシャル・パラグラフとILO直接接触ミッションを要求した。報告書は、両国政府は11月の専門家会合のためにILOに折り返し報告しなければならないと結論づけた。つまり、両国は2019年も引き続きCASの検討対象リストに掲載されるということである。
インダストリオールは加盟組織を支援して、ウクライナにおける労働監督の解体、ミャンマーにおける機能的な組合の結成に対する制限、アルジェリアでインダストリオール加盟組織Snategsの迫害に至った結社の自由と言論の自由に対する残酷な弾圧を非難した。
インダストリオールはCASで労働時間に関する総合調査にコメントを寄せた。インダストリオールは次のように結論づけている。
「労働者の権利の侵害に終止符を打たなければならない。このような状況を続けることはできない。これは進歩と社会的公正を達成するために共同で取り組む場であり、これらの労働権・人権の侵害を直ちに終わらせなければならない」
「労働における基本的原則および権利を尊重しつつ、協調的アプローチによってディーセント・ワークを促進する必要がある。私たちは世界の製造・エネルギー・鉱業部門の労働者としてコミットメントを再確認し、政府・使用者にも同じことを要求する」
基準適用委員会(CAS)の報告書(原文)はここで参照できる。