広報ニュース

第81号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年7月31日)

変化をもたらすために力を強化

2018-07-05

7月3~4日・クアラルンプールで開催されたIA地域大会で意見を述べる髙倉地域共同議長
様々な視点から優先課題を討議し、情報交換の機会になったと今回の地域大会の意義を述べた

 7月3~4日にクアラルンプールで開催されたインダストリオール地域大会に地域の組合が集結し、勝利と闘争、組合機構で女性と若者の成長を促進する方法を取り上げて討議した。

 アジア太平洋の組合は大きな成果を達成している。例えば、現場におけるグローバル枠組み協定の利用による労働者の権利の保護や、バングラデシュの火災予防および建設物の安全に関する協定が挙げられる。

 「しかし、これらの業績は組織化活動に根差していなければならない」とオーストラリアの組合CFMEUのミシェル・オニール地域共同議長が冒頭に述べた。
 「プロセスの導入は望ましいことだが、それは現場の労働者に直接的な変化をもたらさなければならない。私たちは地域として、インダストリオールとして結集し、変化を生み出すために圧力をかけなければならない」

 代議員は域内の主な闘いと勝利を強調し、迅速かつグローバルな連帯の重要性を力説した。

 オーストラリア製造労組のアン・ドネランが、グリフィン・コールで180日間のストライキと200日間の交渉の結果、今年初めに勝利を得たことについて話した。

 フリーポート・インドネシアと三菱マテリアルが所有するPTスメルティングは、世界の銅の40%以上を生産している。2017年に約300人の労働者がレイオフされた。インドネシアの組合FSPMIのサイド・イクバル会長が、会社側に抵抗するうえで国際連帯が役立ったと語った。
 「貪欲な資本に教訓を与える必要がある。共同行動を起こさなければならない。これは単独ではできない」

 地域大会は、キンバリー・クラークの豪ミリセント工場でCFMEU組合員を支援する連帯決議を採択した。

 この地域では非常に複雑なサプライチェーンで多くの産業が活動しており、パキスタンの危険な鉱業、インドネシアの労働時間問題、南アジアの船舶解撤(しばしば世界で最も危険な仕事と言われる)、フィリピン政府による交渉権削減の試みなど、多くの課題が待ち受けている。

 マレーシアの組合が、特に若年労働者の間で組合加入への関心が低いことに触れた。組合は、この問題に取り組むために登録手続きの簡素化や、外国人労働者の搾取の撤廃を求めている。

 「インダストリオール地域事務所のクアラルンプール移転は、グローバル・ユニオンが目を光らせていることを使用者に分からせる」とゴパール・クリシュナンNUTEIAW書記長が述べた。

 代議員は、自由に労働組合に加入できない韓国のサムスン労働者との連帯表明を求められた。

 ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が、大会出席者にインダストリオール連帯憲章のことを思い出させ、次のように述べた。
 「インダストリオールの最も重要な役割の1つは組合員の動員による国際連帯であり、それが勝利への道だ。そして、当該企業の本社がある国の組合は特別な役割を担う」

 

団結して力を強化

 「域内の加盟組織は率先してサプライチェーン戦略を策定しており、労働者を組織化するとともに、労働によって会社の利益に貢献している労働者の権利の侵害に対してグローバル企業に責任を負わせようとしている」とジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長が述べた。

 インダストリオール加盟組合の団結は力の強化に不可欠である。代議員は、地域全体で国別協議会が時には政治的な違いにもかかわらず団結している例を共有した。

 日本連絡協議会が、国別協議会の結果どのように活動が改善されているかについて説明した。

 インダストリオールはバングラデシュに20の加盟組織があり、うち16組合が衣料部門の組合で、この状況は組合間の競争を助長しかねない。しかしインダストリオール・バングラデシュ協議会は、新しい最低賃金の要求に関して何とか合意に達した。組合は現在、団結して月1万6,000タカ(189米ドル)を要求している。

 地域大会に先立って女性大会が開かれ、インダストリオール・レベルと組合レベルの両方で、どうやって女性参画を改善するかという問題を提起した。地域大会全体を通じて、それぞれの組合で女性問題を取り上げる場を確保することについて討議した。

 フィリピンの組合が、女性の参加・参画に対処する法律や決議の実施は困難な場合があると報告した。それに加えて、認識を変え、男性優位の指導部に女性は平等な権利を持つ価値あるパートナーだと認めさせる必要がある。

 シンガポールの加盟組織が、女性参画の低さの一因は使用者にあると指摘した。使用者は女性を力の源とみなすようにする必要がある。

 日本のインダストリオール傘下組合は、達成すべき数値目標を掲げてワーク・ライフ・バランスを促進するためにアジェンダ2020を採択した。

 「組合でインダストリオールの女性参画目標40%を達成するには、これが必要だ」とJEC連合の安原三紀子が述べた。

 組合の力の強化には、組合加入に大きなメリットを見出しているとは限らない若年労働者の組織化を含めることが絶対に必要である。大会では地域の若い労働組合員たちが、差し迫った問題について活発に発表するとともに、2020年のインダストリオール大会への要求を提出した。

 「この地域大会は、さまざまな視点から優先課題をめぐって討議し、情報を交換する機会となった」と髙倉明地域共同議長が述べた。
 「組織を強化するために引き続き組織化し、組合と産業で活動を推進していく必要がある」

 

貿易・産業政策

  ネオリベラル資本主義が広がる中で、グローバルな貿易・投資が労働者と社会に利益を与えるよう確保する必要がある。そのためにインダストリオールは、最低基準を満たしていない貿易・投資協定に反対するキャンペーンを展開し、その代わりに透明性の高い別の貿易政策を策定しなければならない。

 グローバル・ユニオンにとって重要な問題に関する方針書案が作成中で、今年11月の執行委員会に提出される予定である。

 「アジア太平洋はインダストリオールが最も多くの加盟組織と組合員を擁する地域だが、企業の拝金主義と労働者の権利の侵害が特に目に余る地域でもある。この地域大会は、変化をもたらすために取り組む活力ある組合の団結力を見せつけた」とヴァルター・サンチェスは締めくくった。

« 前のニュース