ベラルーシで証拠もなく独立組合指導者2人に有罪判決
2018-08-24
ミンスク市のソベツキー地方裁判所は本日8月24日、2週間の審理を経て法の支配と公正な裁判の原理を損なう判断を下し、インダストリオール・グローバルユニオンに加盟しているベラルーシ通信電子産業労組(REP)の指導者、ゲナディ・フェディニッチとイハル・コムリクを不当に処罰した。フェディニッチは執行委員会の代理委員なので、世界中のインダストリオール加盟組織の間で激しい怒りが沸き起こっている。
「労働組合事件」と呼ばれたこの事件の裁判で、説得力のある証拠はいっさい示されなかった。裁判で提出された証拠のほとんどは、ベラルーシの法的規範に違反して用意または収集されたと見られるものや、2011~2012年の審理対象期間に関係のないものだった。2人の弁護士は最終弁論で両組合幹部の全面無罪判決を要求した。
ゲナディ・フェディニッチの弁護士ナタリア・マツケビッチはこう述べた。(詳細はこちらから→発言内容全文(英語))
「検察当局が提出した証拠はどれも、子細に調べてみれば砂のように粉々に崩れる。それらの証拠は明らかな法律違反によって入手された(すなわち受け入れることができない)か、信頼性にもっともな疑問があるか、今回の容疑とは関係がない」
裁判官はゲナディ・フェディニッチとイハル・コムリクを脱税で有罪とし、罰金4万7,560ベラルーシ・ルーブル(2万3,000米ドル以上)、執行猶予4年、5年間の上級ポスト就任禁止を言い渡した。2人の幹部は過料とともに裁判費用全額も支払わなければならない。裁判官は、組合幹部の財産没収を求める検察官の要求には従わず、2人の私有アパートや土地、車の差し押さえも取り消した。
組合側の弁護士は上訴の準備をしているが、もし判決が維持されれば、ゲナディ・フェディニッチは会長に留任できなくなり、イハル・コムリクも同様の状況に陥る。2人の指導者は多数の規則によって個人的な移動の自由を制限されるので、執行猶予がついたとはいえ投獄とさして変わらない。
評決の発表を受けて「恥を知れ!」という声が上がった。
評決発表日の朝、数十人の組合員と市民社会代表が国家元首に請願書を提出し、組合幹部に対する訴訟の取り下げを要求した。
評決発表中に裁判所の近くでピケラインが張られた。REPの活動家であるブレストのPavel MrochkoやボブルイスクのAlexander Chmyhovをはじめ、最も活動的なピケ隊員が機動隊に拘束された。
インダストリオールは特別ブログで法廷審問を取り上げた。加えて、ほとんどの審問に同国のインダストリオール加盟組織からオブザーバーが出席、その全員が、この裁判は政略的なものであり、検察側が信頼できる証拠をまったく提出しなかったことに同意した。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長とバディム・ボリソフ・インダストリオール地域事務所所長が評決発表に出席した。
ケマル・ウズカンは2人の幹部を「政治犯」と呼び、次のように述べた。「インダストリオール・グローバルユニオンは、この労働組合事件は2人の個人に対する訴訟であるとはいえ、私たちにとっては労働組合自体に対する訴訟、より広い意味では独立労働組合の権利に対する訴訟と考えている。インダストリオールと加盟組織は、この国で労働者の権利を擁護・促進するための闘いにおいて、今後ともREPとゲナディ・フェディニッチ、イハル・コムリクを支援する」
REP会長でインダストリオール執行委員のゲナディ・フェディニッチは、評決についてこう述べている。「ベラルーシ当局は今日の評決によって、自らがこれまでに署名した国際基準を実現しようとしていないことを明らかにした。ヨーロッパ全体が守っている基準に対するこの無関心は容認できるものではないため、私たちは今、ヨーロッパがこれに反応することを期待している」
REPミンスク市支部長でREP会計主任を務めるイハル・コムリクは、今回の評決はREPが実施した活動に対してREPとその指導部に与えられた「報酬」だと言う。「この評決は、ベラルーシが国際・国内法制にまったく配慮していないことを改めて裏付けている。今回の判決は証拠に基づいておらず、その唯一の理由は、REPがベラルーシで見られる無法状態(労使関係など)にとって脅威となっているという政治的な動機だ」
インダストリオールは引き続きベラルーシの状況を監視し、政府間機関への働きかけをはじめ各種の行動によって、ベラルーシの独立労働組合を支援するキャンペーンを拡大していく。