クロアチアの造船労働者、賃金不払いめぐりスト
2018-08-24
クロアチアの造船会社ウルジャニクで、財政難の同社が7月の賃金を支払わなかったことを受けて労働者4,500人がストを実施している。
労働者はプーラのウルジャニク造船所とクロアチアのアドリア海沿岸リエカの5月3日(3. Maj)造船所でスト中である。両造船所の3組合で構成される闘争委員会は声明を発表し、給料の支払いと同社経営陣の辞任を要求した。
両造船所で労働者を代表するクロアチアのインダストリオール・グローバルユニオン加盟金属労組SMH-ISはクロアチア政府に対し、再建計画が完了するまで短期的に介入して給料コストを負担するよう要求した。
クロアチア政府は同社が既存の注文に応じられるよう支援するために政府が融資を引き受けることについて欧州委員会に承認を求めており、SMH-ISはこの申請を支持した。インダストリオール・ヨーロッパはEUクロアチア政府代表部および欧州委員会と協力し、賃金支払いを確保するうえでの融資の重要性を強調した。欧州委員会は1月、9,600万ユーロの融資保証を承認し、数千人の雇用を守った。
ウルジャニク経営陣が立案した再建計画には、海運王Danko Končarが所有するKermas Energija社によるウルジャニクへの2,400万ユーロの投資が盛り込まれている。これによってKermas Energija社は過半数株主になる。Kermas Energija社はすでに投資額の半分を支払っており、ウルジャニクが一部の債務を返済して生産を維持できるようにしたが、給料を支払うには不十分である。
国有のクロアチア復興開発銀行(HBOR)からの融資が予想されているが、まだ実現には至っていない。再建計画については欧州委員会の承認を得なければならない。両造船所の労働者は、融資取引をまとめて残金を支払い、雇用を守れるようにすることを求めている。
Siniša Kosić SMH-IS会長はクロアチアのテレビニュースのインタビューで、資金不足を埋め合わせ、生産を維持して雇用を守れるようにする必要があると強調した。
「生産を再開するには資金が必要だ。5月3日造船所とウルジャニクには満たす必要のある注文があり、それらの注文を履行すれば新規資本……が得られる」
「この決定的に重要な2カ月を乗り切る方法があるはずだ」
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長は、SMH-ISへの連帯書簡で次のように書いた。
「ウルジャニクの労働者が給料を受け取り、彼らの雇用が保護されることが極めて重要だ。造船はクロアチア産業の土台となっている。この仕事は地域経済にとって欠かせない複雑なサプライチェーンにおける熟練雇用だ」
「これらの造船所の持続可能性を確保する長期戦略を見つけることも重要だ。同社が次から次へと危機に見舞われる中で労働者は苦しんでおり、政府は公的資金を民営産業に貸し続けることができない」
世界で最も古い造船所の1つであるウルジャニクは1856年にオーストリア・ハンガリー海軍のために設立された。ウルジャニクは2013年、クロアチアの欧州連合加盟に先立って民営化され、新たに設立された会社が5月3日造船所も取得した。同社はリエカ地域とプーラ地域で6,500人の雇用に責任を負っている。ウルジャニクの組合組織率は50%弱である。