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第83号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年9月30日)

OECD鉄鋼委員会、貿易摩擦と過剰設備を中心に議論

2018-09-19

OECD鉄鋼委員会は結論の一つとして、次の鉄鋼不況が来れば大規模なダンピングにより鉄鋼労働者の雇用が危険にさらされるとした
会合では中国が過剰生産能力を助長していること、米国が一方的に鉄鋼関税を課したことなどが激しく批判された

 鉄鋼の過剰生産能力は全世界で依然5億4,000万トンに上り、次の鉄鋼不況が来れば大規模なダンピングによって鉄鋼労働者の雇用が危険にさらされる。

 これはOECD鉄鋼委員会が出した結論の1つである。この年2回の会合は9月17~18日にパリで開かれ、100人を超える政労使代表が集まった。参加組合にはインダストリオール・グローバルユニオンとともに、インダストリオール・ヨーロッパ、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)、フランスCFE-CGC、英国ユナイトが含まれていた。

 世界の鉄鋼生産能力は、2018年には2015年以来初めて増加すると予想される。今後数年間の能力増加は中東とインドに集中すると見られている。

 中国は過剰生産能力を助長しているとして、会合で政府や業界団体、インダストリオール・グローバルユニオンから激しく批判された。中国の鉄鋼生産は国家的な支援を受けて20年足らずで5倍に増加し、中国製品は海外で市場価格以下の価格で大量に販売されている。

 この会合で中国の業界・政府代表は、中国に過剰設備が存在することを否定。中国は生産能力をすでに1億2,000万トン減らしていると説明し、中国には現在、少なくとも等量の設備能力を削減しない限り新規設備を追加できないという厳格なルールがあると述べた。中国は今、世界の鉄鋼生産の半分を占めている。

 先ごろ一方的に鉄鋼関税を課したアメリカも、会合参加者から大きな批判を浴びた。米国政府代表は、これらの関税は国際貿易ルールに従っており、国家の安全に対する脅威に対応して導入されたものだと答えた。

 参加者は、鉄鋼委員会や鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムなどの多国間組織が、鉄鋼の過剰生産能力を削減するという約束を果たし始めなければならないことに合意した。

 委員会に先立って開かれたワークショップで、TUACのロナルド・ジャンセンが、スウェーデン雇用保障協議会など労働者の権利を支援する労働市場機関は、生産能力縮小その他の産業変化の公平性を高められるようにすることができると(パワーポイントで)指摘した。

「鉄鋼工場が閉鎖されると自殺率が上昇することがある。委員会は、解雇された従業員のメンタルヘルスや、工場閉鎖との関連で必要なメンタルヘルス支援を考慮しているのか」

 このワークショップで、ユナイトの一般執行委員トニー・ピアソンがこのように質問した。

 鉄鋼委員会の2日後、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムが会合を開いた。このグローバル・フォーラムは、OECD鉄鋼委員会と協力して鉄鋼の過剰生産能力危機に立ち向かうため、2016年にG20が設置したものである。

 鉄鋼委員会とグローバル・フォーラムは各国に対し、世界的な過剰生産能力の主な原因である鉄鋼部門への国庫補助金に関する共通の理解を深めるために、協力を促している。鉄鋼委員会は委員長の結語で、市場を歪め、過剰生産能力を助長している補助金その他の政府支援策を速やかに撤廃する必要があると繰り返したが、どの支援策が市場を歪めているかについては合意に至らなかった。

 鉄鋼委員会は国家的な支援に関するガイドライン案も策定し、補助金データベースを開発している。作業の進行は緩慢で、この作業にあたって委員会とグローバル・フォーラムがうまく連携しているかどうかは定かではない。TUACとインダストリオールは、このガイドライン案に関する共同提出物(PDF)を作成した。

 インダストリオールは鉄鋼委員会で、グローバル・フォーラムから労働組合が排除されていることに改めて抗議した。

「鉄鋼労働者はこれらの討議において重要なステークホルダーであり、過剰生産能力は鉄鋼労働者とその地域社会に大きな影響を与えている。鉄鋼労働者も話し合いの席に着くべきだ」とアダム・リー・インダストリオール素材金属担当部長は述べた。

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