公正な裁判の欠如で断たれたブラジルの労働者の希望
2018-09-17
ブラジルは1964~1985年の軍事独裁以来初めて、暗黒の専制政治時代に逆戻りしている。法律制度を悪用して、議会クーデターの背後にいた腐敗したエリートを保護しようとする動きがあり、2016年には合法的に選出されたジルマ・ルセフ大統領が弾劾された。
9月11日、2003年から2011年まで2期にわたってブラジル大統領に選出された金属労組指導者で労働党創設者のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバは、世論調査で国民から強く支持されていたにもかかわらず、出馬の撤回を余儀なくされた。
ルーラ在任中に実施された改革によって大量の貧困者が大学教育を受けられるようになり、社会福祉プログラムのボルサ・ファミリアとフォーミ・ゼロは飢餓と極貧の根絶に効果を上げ、貧困層の圧倒的多数に将来への希望をもたらした。インフレと一律賃上げに加えて実質最低賃金が73%上昇、2,000万人以上の雇用が創出され、失業率は過去最低の4.3%にまで下がった。ルーラはブラジル、ラテンアメリカおよび全世界で労働者のシンボルになった。
2年前から政権を握っている正当性がない政府は、これらの業績の大部分を台無しにし、労働者の権利を攻撃して経済的無秩序を引き起こした。ブラジルの失業率は現在14%前後である。
独立専門家から成る国連人権委員会は8月、ルーラの事例を考慮してブラジル政府に対し、ルーラが大統領候補者として政治的権利を行使できるようにすることを要求した。
現在、10月7日の選挙が近づく中で、72歳のルーラは汚職で有罪判決を受けて獄中にある。上訴プロセスはまだ終わっていないが、当局は憲法と国際基準に違反してルーラに選挙権も被選挙権も与えなかった。
国際弁護士によると、この判決はルーラの立候補資格を否定し、再選への立候補を妨害するために仕組まれたものだった。ルーラに対する証拠のない申し立てや中傷キャンペーンにもかかわらず、ルーラは世論調査で国民から多大な支持を得ている。
ルーラは法的手続きに明白に違反して投獄され、ルーラと彼の弁護士の携帯電話が不法に盗聴された。23回の審問を経て起訴状が発行されたが、70人の証人の中に起訴を支持する証拠を提出できた者は1人もいない。
ところが、右翼勢力は国家主権という美辞麗句を隠れみのに、国内外のすべての法律に違反してルーラをまったく公正に扱わず、選挙への参加を妨害するなどした。
労働党は労働者の主義のために闘い続けることを目的に、新しい候補者のフェルナンド・ハダドを発表した。前サンパウロ市長で学者のハダドはルーラから公式に支持され、現在、選挙前の世論調査でトップに立っている。
インダストリオール・グローバルユニオンと加盟組織を含む国際労働組合運動は、ルーラとブラジル国民に全面的な支援を表明している。5月に開かれた直近のインダストリオール執行委員会は、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領を支持して特別決議を採択した。
この選挙の結果はブラジルの未来を決定づける――この国は膨大な数の国民の利益に民主的に資するか、それとも、どんな犠牲を払っても自分たちが豊かになることだけを目指している新しい寡頭政治を支持する右翼勢力の手中に落ちてしまうのか。