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第85号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年11月30日)

無責任なアルミニウム――アルコアが全世界で労働者攻撃を拡大

2018-11-02

スペインのアビレス製錬所

 アルコアは、責任を持ってアルミニウムを生産しているという同社の主張に反して、このところ世界中で労働者に対する攻撃をエスカレートさせている。

 米国系企業アルコアは10月17日、スペインに所有する3つのアルミニウム製錬所のうちアビレスとラコルニャの2カ所を閉鎖すると発表、これにより700人の労働者がレイオフされる。アルコア欧州従業員代表委員会(EWC)は、アルコアがヨーロッパの情報・協議規則に違反し、事前にEWCと協議せず、EWCに適切な情報を提供していないことを批判した。オランダを拠点とするEWCは、閉鎖とレイオフを阻止するためにオランダで裁判を起こした。

 アルコアは、スペインの2工場は効率が悪く、誰も操業を望んでいないと主張している。スペイン政府と組合は、集団解雇プロセスを遅らせ、工場を購入して雇用を守ってくれる会社を見つける時間を与えようとしたが、同社はこの試みを無視した。

 アルコアのアルミナ精錬所3カ所とボーキサイト鉱山2カ所で働いているオーストラリア労組(AWU)の組合員1,600人は先ごろ、アルコアとの20カ月に及ぶ交渉で強制解雇なしという保証を確保できなかったため、52日間のストを行った。同社は解雇の脅しを使い、労働者を威嚇して不確かな仕事に基づく新しい条件を飲ませようとした。

 アルコアが新たな提示をした時点でストが終結し、組合はその案を組合員投票にかけた。労働者の過半数がこの提示に反対票を投じ、あるAWU役員はその理由として、最近の職場復帰の際に組合員が粗末に扱われたことを挙げた。アルコアはオーストラリア政府機関に、同社がAWUと締結している現行労働協約の解除を申請している。

 アルコアによる職場の閉鎖は、同社が労働者と地域社会、環境に対する攻撃をやめることを保証するものではない。アルコアは2015年にスリナムでアルミナ精錬所を閉鎖し、国民経済に大きな打撃を与えて数百人を失業に追い込んだ。これはアルコアが2033年までスリナムでアルミニウム事業を継続するという同国政府との合意に反していた。

 アルコアは2015年以降、同社による環境汚染の遺産への対処などのために、秘密裏にスリナムからの撤退に関する代替協定を交渉している。先ごろ撤退協定案が公表されたが、スリナムにとって不公正であるという理由で、技術専門家にも市民社会組織の連合(アルコア従業員を代表しているインダストリオール加盟組織C-47を含む)にも強く拒否されている。

 C-47は、協定を再交渉するとともに、アルコアが元従業員への年金支給を調整し、元労働者を困窮させているスリナムの通貨の大幅な下落を埋め合わせるよう求めている。

 アルコアはカナダ・ケベック州のベカンクール製錬所で、全米鉄鋼労組の組合員1,030人を10カ月近くロックアウトしている。ロックアウトが9カ月目に入ったころ、この製錬所の単位生産当たり労働コストが北米のアルコア工場全体で最も低いにもかかわらず、アルコアはロックアウトされた労働者にさらなる譲歩を再度要求してきた。

 「合意に達したいなら、相手の話に耳を傾け、好機を利用し、相手が態度を変える意思を示したときに妥協を受け入れる必要がある。アルコアはそのいずれもしていない」とアラン・クロトーUSWケベック州責任者は述べた。
 「インダストリオール加盟組織は数十年前から世界中でアルコア労働者を代表しており、同社との交渉は往々にして厳しい。しかしアルコアが今ほど、多くの異なる国々で同時に労働者と地域社会を攻撃したことはかつてなかった」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。
 「アルコアは自らを自動車メーカーその他の消費者向けブランドに責任を持ってアルミニウムを提供する企業と位置付けようとしているが、同社の実際の慣行を見るとそうではない。インダストリオールはアルコアに対し、持続可能性を重視しているという主張に恥じない行動を取り、労働者に対する攻撃をやめるよう求める」

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