バングラデシュの船舶解撤場で続く安全上の危機
2019-05-29
今年に入ってから、バングラデシュの船舶解撤場の事故で少なくとも8人の労働者が死亡し、35人が負傷している。2017年以降の死者数は約47人である。
最近の一連の事故は、バングラデシュの船舶解撤産業が大規模な安全上の危機に瀕していることを示している。
- 5月28日にゴールデン・アイアン船舶解撤場の火災で労働者5人が負傷した。2人は重度の火傷で入院している。
- 5月20日にバティアリ・スチール船舶解撤場で労働者1人が感電死した。
- 5月15日、シタクンドのマヒヌール船舶解撤場でガスボンベが爆発して火災が発生、労働者2人が死亡した。この事故では4人が負傷し、入院している。事故当時、現場では70~80人の労働者が働いていた。
- 2月26日、ハビブ・スチール船舶解撤場で労働者1人が死亡。
- 2月18日、サゴリカ造船所で石油タンカーが爆発し、2人が死亡した。
- 1月28日、SSコンフィデンス解撤場で1人が死亡。
使用者の怠慢に不十分な検査、当局による安全対策の実施不足、安全な船舶解撤方法に関する訓練の不備、労働者が適切な保護具を入手できない状況が、これらの事故の大きな原因である。
松崎寛インダストリオール船舶解撤担当部長は言う。
「使用者と政府当局者の怠慢が一因で事故が頻発しており、2018年のバングラデシュ・シップリサイクル法を厳格に実施する必要がある」
「バングラデシュ政府が、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准・実施に向けて、もっと迅速に行動することを重ねて要求する」
アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。
「船舶解撤労働者の生命が危険にさらされている現状は容認できない。インダストリオールは使用者と政府に対し、適切な安全対策を確実に実施するよう求める」
インダストリオール加盟組織のBMFとBMCGWFは、船舶解撤労組フォーラム(SBWTUF)のメンバーとともに5月19日にチッタゴンで集会を開き、一連の事故に抗議するとともに、船舶解撤産業における安全対策の改善と適切な労働者訓練を要求した。