インドの組合、反労働者的な労働法「改革」に全国規模の抗議
2019-08-08
企業に好意的なモディ政権の労働法改革に反対して8月2日にインド全国で大規模な抗議行動が一斉に実施されたことは、インドにおける社会的対話の危機を浮き彫りにしている。
インダストリオール加盟組織傘下の労働者を含むインド全国の労働者が8月2日、全国規模の抗議を求める中央労働組合の呼びかけに応えて街頭に繰り出した。これはモディ政権が今国会で下院に賃金法案と労働安全衛生・労働条件法案を提出したことを受けた行動である。
このたび議会を通過した賃金法は、賃金の設定と支払いに関する4本の個別労働法を併合している。組合によると、この新法は、社会的対話を通して最近達成された進展を台無しにし、最低賃金設定プロセスへの組合代表の参加を妨げている。
組合は年1回の最低賃金改訂を要求したが、新法は少なくとも5年に1回改訂すればよいと定めている。賃金法は、労働監督官の代わりに「検査官兼調整官」を導入することによって検査体制も著しく弱めており、ウェブベースの無作為コンピューター検査制度、管轄区にとらわれない検査、コンピューターによる情報審査を導入している。
労働安全衛生・労働条件法は13本の現行労働法を包含しており、まだ議会を通過していない。両法と労使関係および社会保障に関するその他2本の労働法は、44本の現行労働法を4本の簡単な労働法に併合しようとするモディ政権の措置に含まれている。
現行労働法は元々、労働者の闘いの結果として制定されたもので、さまざまな製造、サービスおよび建設部門の具体的ニーズと労働者の権利保護に取り組んでいる。労働組合は、行き過ぎた労働法の簡素化に反対しており、両法案は組合による反論を完全に無視したと主張している。
中央労働組合はプレスリリースで、政府は現行法を撤廃することによって、「政府の主人である企業に最も従順に仕えて」労働者の権利に甚だしく干渉し、多くの労働者を労働法の適用範囲から除外したと述べた。
インダストリオール執行委員でインド全国労働組合会議議長のG・サンジーバ・レディー博士は次のように述べた。
「インドの労働者階級はモディ政権下で労働者の権利に対する過去最悪の猛攻撃にさらされている。70年以上かけて苦心して築き上げられた社会的対話の制度、伝統および慣行すべてが蝕まれている。労働組合は完全に無視されており、労働法の主目的は事業のしやすさを促進することであるように思われる。これから数日、労働組合運動の団結した抵抗を強化する」
全国行動に参加している中央労働組合は、INTUC、AITUC、HMS、CITU、AIUTUC、TUCC、SEWA、AICCTU、LPF、UTUCと労働者・従業員の独立連合団体・協会である。