広報ニュース

第94号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2019年8月31日)

北アイルランドの造船所労働者、タイタニック号を造った施設を占拠

2019-08-05

タイタニック号を造ったベルファストのハーランド・アンド・ウルフ造船所の労働者が、閉鎖に抗議するために築158年の造船所を占拠している。

インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のユナイトとGMBに加入している130人の労働者が、造船所の国有化を求めている。この造船所は、ノルウェーの親会社ドルフィン・ドリリングが深刻な資金難に陥ったために2018年12月に売りに出され、今のところ買い手が見つかっていない。管財人が今晩発表を行い、8月6日の朝に同社を管理下に置くと予想される。労働者は解雇通知を提示された。

労働者は造船所を占拠するだけでなく、ストーモントの北アイルランド議会前で抗議し、日曜日に造船所でファミリーデーを開催した。イギリス、アイルランド全域のみならず、さらに遠方からも大量の支援・連帯メッセージが届いている。

両組合は、管理後に造船所が売却されて資産を剥奪され、同社の専門知識と熟練労働者が切り捨てられることを懸念している。組合側は、英国政府の造船業保護戦略の一環として、この造船所を国有化することを求めている。ハーランド・アンド・ウルフは英国海軍の契約に入札しているコンソーシアムに加わっているので、同造船所の閉鎖は他の造船所にも影響を及ぼす可能性がある。

ハーランド・アンド・ウルフ造船所はベルファストの産業遺産と産業景観を象徴する施設の1つである。1861年創設の同造船所はピーク時には3万5,000人を雇用し、タイタニックをはじめ数多くの有名な船を建造した。

2003年以降は造船事業を行っていないが、船舶や油田掘削施設の修理・改装は活発に続けており、海底油田、ガスおよび再生可能エネルギー部門に構造工学を提供している。2008年には、当時としては世界最大の潮汐エネルギー発生機SeaGenを製造、その後は沖合ウインドファーム用のコンポーネントやプラットフォームを手がけている。

ユナイトのスーザン・フィッツジェラルドは次のように語った。
「政府がイデオロギー的な偏見を改め、ハーランド・アンド・ウルフを再国有化する時間的余裕がまだある。ハーランド・アンド・ウルフの雇用喪失に伴うコスト、すなわち購買力の低下と税収の減少、給付関連支出を考えれば、再国有化は適切な営利的決定であり、北アイルランドの未来への投資になるだろう」

GMBのマイケル・マルホランドがこう述べた。
「GMB組合員はほぼ24時間ぶっ通しで抗議している――この有名な造船所への愛着はそれほど強い。GMBは、ハーランド・アンド・ウルフを再国有化し、数百人の雇用を守るとともに、世界の造船中心地としてのベルファストの地位を確保するよう要求する」

松崎寛インダストリオール造船・船舶解撤担当部長が次のように述べた。
「この歴史上重要な造船所はベルファストの産業遺産の一部だ。しかし、この造船所は未来のものでもある。再生可能エネルギーへの需要が急増しており、ハーランド・アンド・ウルフ労働者は、この造船所を立て直して再生可能エネルギー部門に供給する専門知識と経験があることを証明している」
「造船所の閉鎖を許容することは極めて無責任だ。この造船所を救済しなければならない」

« 前のニュース  次のニュース »