RCEP原文の即時公表を要求
2019-11-07
インドはRCEP貿易協定から離脱したが、残り15カ国は交渉終了と2020年の署名を目指す方針を発表した。
7年かけて28回の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)貿易交渉を重ねた末、2019年11月4日にバンコクで開催された第3回RCEP首脳会議において協定締結が発表されると広く予想されていた。
ところが、インドはかつてない国内抗議を背景に、多くの問題が未解決のままRCEPからの撤退を決定した。
RCEP首脳の共同声明によると、15カ国は全20章の交渉を終了し、2020年に最終案への署名を目指す。整合性の取れた明確かつ関連法に従う協定にするために、原文は法的精査(弁護士による分析)に回された。RCEP加盟国は協力して未解決の問題に取り組む予定であり、インドの最終決定はこれらの問題が満足のいく形で解決されるかどうかにかかっている。
ヴァルター・サンチェス・インダストリオール・グローバルユニオン書記長が次のように述べた。
「RCEP交渉において民主的なプロセスが欠如していることを引き続き懸念している。20章をめぐる交渉が終了したのだから、直ちにRCEP原文を公表し、情報に基づく公の論議を促進しなければならない」
「RCEPは、各国政府が現在および将来の開発ニーズに従って適切な貿易・産業政策を制定する政策余地に影響を与えてはならない。現在の原文にそのような障害があるなら削除すべきだ」
「RCEP加盟国は各国における労働者の諸権利と人権の侵害を傍観していてはならない。RCEPには持続可能な開発に関する章を設け、ILO中核的労働基準を促進して環境を保護する条項を盛り込む必要がある。労働組合が参加する効果的な実施・監視メカニズムへの取り組みを定めるべきだ」
アジア太平洋のインダストリオール加盟組織は、インダストリオールのグローバル貿易・産業政策アクション・プランに沿って、去る6月に地域アクション・プランを策定した。続いて7月、インダストリオール加盟組織は他のグローバル・ユニオン・フェデレーションとともに、民主的なプロセスの欠如や開発政策余地を維持することの必要性といった問題について深刻な懸念を表明した。8月には、G20サミットの組合版であるレイバー20で、公正な貿易制度を要求するために行動を起こした。
労働組合と市民社会は数多くの機会に懸念を強調し、RCEP加盟国政府が労働組合や農家、その他の社会各層との有意義な社会的対話を十分に行わないことは容認できないと述べてきた。
報告によると、インドが提起した問題の中には、輸入急増を抑制する特別セーフガード・メカニズム、専門家の移動、関税削減の基準年の2014年から2019年へのシフト、国境を越えたデータ転送に関するルールが含まれる。インドは「ラチェット」条項と投資・サービスに関する最恵国待遇にも反対した。
RCEPは東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国とパートナー5カ国(オーストラリア、中国、日本、ニュージーランド、韓国)との協定である。交渉が終了した20章は、財の貿易、原産地規則、貿易円滑化、貿易救済措置、サービス、自然人の移動、投資、知的財産、電子商取引、政府調達、競争および紛争処理を対象としている。