パキスタン火災被害者への補償
2013-01-17
ドイツのディスカウント衣料チェーンKiK Textilenは、パキスタン労働者教育調査機関(PILER)と、パキスタンのアリ・エンタープライズ工場の火災被害者に対し総額100万米ドル(約8,860万円)の補償を支払うことを合意した。
アリ・エンタープライズの主要バイヤーの一つだったKiK Textilenは、2013年1月5日、パキスタン・ボルディア町で発生した繊維工場の火災被害者に対し、総額100万米ドル(約8,860万円)を支払い、長期の補償計画を策定し、パキスタンにおける労働者保護の向上に取り組むことを合意した。
パキスタンの労働組合の要求と、インダストリオールやClean Clothes Campaign(NGO)を含む国際団体からの支援によって、補償プランが実施されることとなった。
PILERとKiK Textilenの合意によると、補償は2段階で支払われる。第1段階では、遺体の損傷が激しく特定不可能であるため、政府から一切補償を受けとっていない被害者の遺族に支払われる。KiKは火災での重傷により障害者となったり雇用を失った労働者に対しても補償したいとの考えを表している。その他の労働者は次の段階で支援され、補償金額は使用者、バイヤー他社などすべての関係者との合意を経て決定されると述べた。
PILERはシンド州高等裁判所(SHC)に補償プロセスを促進するため申立てを行った。その中で、裁判所内に補償プロセスを監督し、すべての必要事項を決定する独立した委員会の設置を求めている。シンド州高等裁判所は1月15日、アリ・エンタープライズ経営者に対し、5,000万パキスタンルピー(512,000米ドル、約4,535万円)の補償を支払うよう通知した。また、シンド高等裁判所法務官に対し、工場火災に関する委員会調査報告書を提出するよう指示した。 PILERの声明によると、ドイツのバイヤーKiKはアリ・エンタープライズ被害者への補償の対話だけでなく、パキスタン労働者の職場の安全体制に関する長期計画の策定にも関与している。
為替レート:1米ドル=88.6円(2012年1月23日現在)