COVID-19下の南アジアで驚くべき労働法攻撃
2020-12-19
<JCM記事要約>
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南アジア諸国全体で労働法に対する攻撃が強まっており、結社の自由と団体交渉権をはじめとする労働者の権利を弱体化させている。南アジアのインダストリオール加盟組織は、労働者の権利を保護するために国家レベル・国際レベルの連帯構築を呼びかけている。
COVID-19パンデミックと封じ込め対策は、南アジアの労働者に深刻な影響を与えている。地域全体で、各国政府がまちまちの危機対策を講じた結果、労働者は賃金を奪われ、無給状態に置かれ、労働法が実施されず、生計を失い、多くの場合、誠実さを疑う不安定労働者の削減で、将来への希望がない状況にある。
12月4日にインダストリオール南アジア事務所が開いた地域ウェビナーは、地域の労働組合が労働者の権利を擁護するために必死に闘っていることを強調した。この会合には、インド鉄鋼・金属・機械労連のサンジャイ・バダブカール、スリランカ自由貿易地帯・一般サービス従業員組合のアントン・マークス両インダストリオール執行委員が参加した。
インド、パキスタン、スリランカ、バングラデシュならびにネパールでは、労働者の権利に悪影響を及ぼす労働法改正の動きがあった。
サンジャイ・バダブカールはこう説明した。
「インド政府による労働法の変更は、適正な議会の基準や手続き抜きで可決された。抜本的な労働法変更は、不安定雇用を奨励し、常用労働者の採用を制限し、団体交渉に影響を与え、スト権をほとんど奪い、インドの労働者がパンデミックに起因する社会的・経済的ショックにさらされやすくする。これらの労働法の変更は、インドが国際的な討議の場で労働者の権利の基本的原則について表明した約束を守っていない」
アントン・マークスが付け加える。
「スリランカの使用者は、労働時間の延長、労働条件の変更、政府の承認を得ない一方的な従業員解雇など、労働者や女性労働者の利益に反する労働法の変更を数多く提案し、労働法の停止まで要求した」
インドとスリランカの労働組合運動は、反労働者的な政策提案に猛反対した。インドでは、組合が全国的なストライキや抗議行動を実施した。スリランカの加盟組織は、ロックダウン期間中に労働者への賃金支給を確保すべく闘った。しかし政府・使用者は、労働法の変更を要求し続けている。両指導者は南アジアの加盟組織に対し、連帯支援を広げて労働者の権利を擁護するよう呼びかけた。
パキスタンの組合代議員は、労働監督の中止案と労働法が実施されていない状況に対する懸念を表明、州の境界を超えて労働法を段階的に統合していくとともに、全国レベルの社会的対話を制度化する必要があると強調した。
バングラデシュの組合代表は、既製服部門などで労働者の権利が削減されていることを強調した。労働法を扱う政府三者構成委員会では、労働者代表がしばしば脇に追いやられており、これは同国の社会的対話に損害を与えている。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「民主主義と民主主義的な制度が大々的に攻撃されている。COVID-19は天災だが、政府の対応は政治の産物だ。政府は使用者と共謀して、労働者の権利と法的保護の成果をすべて解体しようとしている。賃金、社会保障、労働安全衛生、労使関係に関連する法律が、労働者の基本的権利を奪う形で修正されている。インダストリオール・グローバルユニオンは、他のグローバル・ユニオン・フェデレーションと戦略的に協力しながら、国家・地域・国際レベルで一緒に団結と連帯を構築し、労働者の権利に対する攻撃に抵抗しようとする加盟組織の取り組みを支援するために専心している」
南アジアの加盟組織は、地域間コミュニケーションの強化、共同戦略の考案、労働者の権利を擁護するためのさらなる行動の実施を決定した。
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