エレベーター/エスカレーター労働者、権利を求める闘いに尽力
2021-02-10
<JCM記事要約>
|
2月3日、20カ国のエレベーター/エスカレーター産業から75人の労働者やエンジニア、組合活動家、職場委員が集まり、オンライン会合を開いた。
エレベーター/エスカレーターは依然として最も安全な交通手段の1つであり、この部門の労働者は組合と協力して現状を維持したいと考えている。つまり、生産、設置、保守において利用者・労働者双方の事故発生率を低く保っておくために、安全対策が必要だということである。
ドイツのインダストリオール加盟組織IGメタルのウォルフガング・レム執行委員が、COVID-19パンデミックで国家間の不平等が明らかになっている現状について話した。
マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長が世界情勢に関する最新情報を提供し、労働者と組合が直面する課題に焦点を当てた。
パンデミックがきっかけで、エレベーター/エスカレーター部門では、リモートワークの増加やデジタル化・オートメーションの加速のような変化がスピードアップしており、プラットフォーム労働や外部委託も増えている。この部門は厳しい景気後退に見舞われているわけではないが、点検が下請けに出され、雇用に重大な脅威をもたらしている。外部委託が続けば安全を危険にさらす恐れがある。
討議では、この部門のいわゆるビッグ5にさらに焦点を絞った。すなわち、オーチス、三菱電機、シンドラー、コネ、ティッセンクルップ(2020年にプライベート・エクイティー会社に売却され、現在はTKエレベーターという別会社)の5社であり、世界の生産、設置、修理の約60%を占め、総売上高は合計560億米ドルである。
インダストリオールと加盟組織は、力を合わせて多国籍企業の力に対抗している。これらの努力に沿って、インダストリオールは先ごろTKエレベーターとグローバル枠組み協定を締結した。
日本のインダストリオール加盟組織、日立ビルシステム労組の成瀬大輔委員長が、2019年の一連の重大事故を受けた同労組の活動について報告した。同労組の取り組みのおかげで、会社側は事故再発防止のために作業方式を見直している。
ウォルフガング・ターナーIGメタル書記長が、エレベーター/エスカレーター部門の賃上げ、労働時間短縮、具体的な協約を中心に、進行中の団体交渉について報告した。
フランスの組合からは、使用者による社会的対話への総攻撃について報告があった。率直に発言する活動家が、経営側からますます弾圧されるようになっている。
ノルウェーから、組合つぶしに関する特別な事例が報告された。新しい労働時間監視システムに対する組合の抵抗を抑え込むために、11月に職場委員兼労働組合副会長が解雇されたという。2月に組合側が紛争に勝利し、解雇された労働組合員が復職した。
マーカス・ハンセンHMF会長が参加者に次のように語った。
「これは思わぬ幸運だ! すべての連帯メッセージに感謝する。この闘いで、これまでになく組合を強化することができた。今では労働者の95%が組合員だ!」
会合で行われた討議に基づいて、代議員は共同声明をめぐり議論している。この声明は間もなく発表される。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長がこう述べた。
「ネットワークの専心と連帯を祝福する。この業界の変化を受けて、下請けやリモートワーク、デジタル化の増加傾向のような深刻な課題が前途に待ち受けている。だが、協力すれば明確で強力な答えを提供し、労働者の命と福祉を守ることができる」