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第133号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2021年8月23日)

インドの自動車労働者、不安定化と労使関係危機に直面

2021-07-27

【JCM記事要約】

  • 7月23日、インダストリオールの自動車関連加盟組織がオンライン会合に参加し、組合の力を強化するために共同行動を要求した。
  • パンデミック下でも操業が継続され多くの労働者が新型コロナウイルスに感染した他、多くの企業はパンデミックを口実に賃上げを実施せず、労働を免除された契約労働者は、休業日数分の賃金は支払われなかった。また、テクノロジー変革により、自動車労働者が失業の脅威にさらされることが懸念される。
  • インダストリオール南アジア地域事務所・アプールヴァ所長は、政府・使用者は、経済への悪影響とパンデミックを労働者の権利を踏みにじる口実として使ってはならず、労働組合は、協力して戦略を考案する必要がある、とした。

 

2021年7月27日:インダストリオール・グローバルユニオンの自動車関連加盟組織は、7月23日に開催されたオンライン会合で、COVID-19パンデミックで労働者の権利に対する攻撃が悪化し、社会的対話と組合権を弱体化させているという懸念を表明。組合の力を強化するために共同行動を要求した。
                                                      

この会合では、自動車産業のテクノロジー変革と、労働者の権利に対するCOVID-19パンデミックの影響を評価した。インドの自動車産業は二重の打撃にさらされた。すでに低経済成長が業界の売上高に影響を及ぼしていたところへ、2021年4月、5月にCOVID-19の第2波がインドを襲い、感染者が激増したからである。州政府が一般的なロックダウンを実施したが、多くのメーカーは営業を許可され、1次サプライヤーは工場を操業した。

自動車工場で通常どおり働き続けることは労働者の命を危険にさらし、多くの労働者が感染した。多くの自動車工場で労働者が抗議を開始し、シャットダウンと生産現場のCOVID-19安全対策の改善を要求した。多くの企業がパンデミックに乗じて、労働協約で合意した賃上げを実施しなかった。損失が出ていると主張し、労働者の賃金を減らした企業もある。

大量の契約労働者や実習生、訓練工が労働を免除され、パンデミックによる休業日数分の賃金を支払われなかった。多くの労働者が失業して故郷の町に帰った。企業はロックダウン後に活動を再開すると、長い間その会社で働いてきた契約労働者を解雇し、新しい若手契約労働者を低賃金で雇った。国家雇用可能性拡大ミッション(NEEM)が、自動車産業で低賃金労働力として学生を利用する口実に使われている。国中の自動車会社が、正規従業員の採用をほぼ停止している。

ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長が次のように述べた。

「世界中の自動車産業で、排出ガスのないバッテリー駆動の自律走行コネクテッドカーの製造へ向かうテクノロジー変革が、急速に進んでいる。この傾向は、自動車労働者が近い将来、差し迫った失業の脅威に直面することを示唆している。パンデミックは、このプロセスを加速させ、労働者の権利に影響を与えているようだ。組合がこの移行に備え、国際連帯を構築し、労働者の権利を擁護するために組合の力を強化することが重要だ」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長がこう述べた。

「パンデミック下で、安全衛生はインドの自動車労組にとって主要な関心分野になっている。労働者を保護するために、COVIDに適した標準操作手順に従うべきだ。景気減速はすでに産業に深刻な影響を与えている。政府・使用者は、経済への悪影響とパンデミックが、労働者の権利を踏みにじる口実として使われないようにしなければならない。労働組合は、協力して集合的戦略を考案する必要がある

この会合には、ボッシュ、タタ・モーターズ、アショク・レイランド、テネコ、SEG、その他の自動車1次サプライヤーのインダストリオール加盟組合代表が参加した。

写真:タタ・ナノ工場。CC El Auto Perfecto

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