インダストリオール世界大会新執行部を選出
2021-09-16
【JCM記事要約】
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2021年9月16日:当初は南アフリカのケープタウンで開催される予定だったが、COVID-19パンデミックが原因で、第3回インダストリオール世界大会はジュネーブのテレビスタジオからのバーチャルイベントになった。9月14〜15日、100カ国以上から集まった3,000人を超える代議員とオブザーバーが大いに議論を戦わせ、新指導部を選出し、向こう4年間の意欲的なアクション・プランを採択した。
世界の組合と労働者は、いくつかの危機、不平等の拡大、労働形態の変化、気候変動、そして目下のところパンデミックに直面している。労働者は、これらの危機を切り抜ける道を築き、労働者が代償を払わなくてすむようにするために、強力な組織を必要としている。
第3回インダストリオール世界大会は、今後4年間に全世界の鉱業・製造業・エネルギー部門の組合の優先課題に影響を与えるため、世界の労働組合運動にとって重要な会合だった。バーチャルミーティングということで、より多くの人々が参加できた。大会には、100カ国以上から3,000人を超える代議員とオブザーバーが出席した。
この会合は当初の予定どおりに南アフリカで開催されたのではなくバーチャルで実施されたが、音楽や歴史的なポスターやビデオ等により、大会全体を通じてアパルトヘイトとの闘いの精神がみなぎっていた。代議員たちは、黒人労働者がアパルトヘイト国家と悪質な上長の力に対抗するために組合を結成し、勝利を収めた経緯を改めて思い起こさせられた。彼らは今日の労働運動にどんな教訓を示しているだろうか。
代議員は、書記長を辞任したヴァルター・サンチェスに名残惜しげに別れを告げた。
新指導部のオンライン選挙が実施された。アトレ・ホイエ前書記次長が書記長に選出された。ドイツIGメタルのイェルク・ホフマン会長が、引き続きインダストリオールの会長を務める。ケマル・ウズカンが書記次長に再選され、松﨑寛前インダストリオールICT電機・電子/造船・船舶解撤部門担当部長とクリスティン・オリビエ南アフリカNUMSA(全国金属労組)国際書記が加わった。
各インダストリオール地域から6人の新副会長も選出された。
- アジア太平洋――髙倉明、日本
- ラテンアメリカ・カリブ海――ルシネイデ・バルジョン、ブラジル
- 中東・北部アフリカ――アブデルマジド・マトウアル、モロッコ(2021-2022)、ハシュメヤ・アル・サーダウィ、イラク(2022-2023)、サレハ・カンディル、モロッコ(2023-2024)、ハビブ・ハザミ、チュニジア(2024-2025)
- 北米――アンナ・フェンドレイ、アメリカ
- サハラ以南アフリカ――ジョセフ・モンテセッツェ、南アフリカ
- ヨーロッパ――ガルビネ・エスペホ、スペイン(最初の2年間)、マリー・ニルソン、スウェーデン(次の2年間)
労働者の権利をめぐる闘いに勝利
イェルク・ホフマン・インダストリオール/IGメタル会長が、オープニングスピーチでワクチンの公正の必要性について語った。パンデミックで数百万人が収入を失い、あまりにも多くの人々が亡くなり、人権と労働者の権利が悪化し、差別と分離が広がっている。貧困国はワクチンへのアクセスがごく限られている。
「これは極めて不当だ。全世界で公正にワクチンを配布する必要がある」
大会代議員が次の4年間のアクション・プラン案を討議する中で、アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は加盟組合からの情報の必要性を強調した。
「1年中日々労働者の権利が踏みにじられており、また攻撃されている。私たちにはOECDや国連機関、そして多くの政府によって承認されたこれらの権利が尊重されると期待する十分な権利がある。私たちは、多国籍企業が生産プロセス全体に対して完全な独裁的権力を振るうことを阻止する組織的勢力だ。どうやってこの権利闘争に勝つか?」
クリスティン・オリビエ書記次長が、組合の力の構築について話した。
「基本に立ち戻り、労働者が運営する民主的組合を構築し、期待に応える必要がある。多国籍企業とのグローバル協定をはじめ、締結する協定はすべて労働者の権利を向上させなければならない」
松﨑寛書記次長が、グローバル資本への対抗について概説した。
「多国籍企業に労働者の基本的権利の尊重を求めるだけでなく、拘束力のある義務を課すために、より強力な国際的手段が必要だ」
ケマル・ウズカン書記次長が持続可能な産業政策に関する討議の口火を切り、次のように述べた。
「グローバルな労働運動には気候変動やデジタル化、インダストリー4.0など、仕事の未来に影響を与えるメガトレンドに立ち向かう歴史的責任がある。私たちは公正な移行を要求する」
大勢が発言して大いに議論を戦わせたあと、大会代議員は労働者の権利向上や強力な組合の構築、グローバル資本への対抗、持続可能な産業政策に関する意欲的なアクション・プランの採択に進んだ。
連帯はインダストリオールの中核を成すものであり、大会はいくつかの決議を採択した。アルジェリア、ベラルーシ、韓国、エスワティニ、インドネシア、ミャンマーの労働組合指導者が、労働者の権利に対する大規模な攻撃が原因で労働組合活動が麻痺している各国の窮状について話した。
カイン・ザー・ミャンマー製造労働者連盟(IWFM)会長が、ミャンマーに関するグローバル・ユニオン行動デーに合わせて、ミャンマーに関する決議を提出した。
「私の国は残忍な国軍に支配され、働く男性や女性、活動家が殺されたり投獄されたりしている。今こそキャンペーンを強化すべきときだ。ミャンマーの労働者は、今までにもまして皆さんの援助を必要としている。連帯と支援に感謝する」
ベラルーシのマクシム・パズニアコウが大会出席者に、ベラルーシで恐ろしい弾圧が続き、所属組合の同僚の多くが収監されていることを伝え、国際組合運動の支援がいかに重要であるかを強調した。
オーストラリアAMWUのエイミー・ブレースガードルが青年に関する決議を取り上げ、次のように述べた。
「多くの組合指導者が技能を伸ばし、労働者の目的に取り組めるようにしてきた構造が変化している。若年労働者は、しばしば最も厳しい権利侵害にさらされている。労働者の権利を向上させるために世界大会は青年決議を可決し、組合機構で若年労働者の活動の場を広げるべきだ」
世界大会は、アフガニスタンに関する決議や、他のグローバル・ユニオンとの協力に関する決議、強力で団結した活発なインダストリオール・グローバルユニオンの構築に関する決議、組合機構で性差別とジェンダーに基づく暴力に取り組むための決議も採択した。
ブラジルCNTMのモニカ・ベローゾが、パンデミックが女性の不安定な状況を悪化させている実態について話した。
「私たちは仕事の世界における暴力とハラスメントに対抗するために、ILO第190号条約の批准を求めて闘わなければならない。平等なくして未来はない。世界の労働者階級に、インダストリオールにおける女性のリーダーシップは世界の労働組合運動の未来にとって極めて重要だというメッセージを送る必要がある」
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