持続可能な海事産業のために団結
2021-11-02
【JCM記事要約】
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2021年11月2日:インダストリオール・グローバルユニオンの造船・船舶解撤アクショングループは、今後12カ月間の部門活動を採択し、公正な未来に向けて持続可能な海事産業を促進するために団結することで合意した。
10月29日に開催された会合には、18カ国から約50人の労働組合代表が出席した。神田健一共同部会長が開会の辞を述べ、次のように語った。
「この部門はCOVID-19によって深刻な混乱に陥っている。ロックダウンが原因でサプライチェーンの崩壊が発生し、海運業が低迷している。まだ船腹過剰が続いている。環境面の課題が深刻さを増しており、私たちは安全問題とデジタル化にも直面しているが、この変化の波に乗れば安全でグリーンな職場で成功することができる」
アイリーン・ヨー・チョー・ジェク共同部会長は次のように言及。
「この部門は前年同期よりも良好な状況にあり、新しい船が建造され、水素燃料推進や保守用ドローン、自律システムなどの新技術が導入されている。グリーンな海運業こそが未来の姿だ――雇用を守り安全性を高めるためにも、組合員にこうした未来に備えさせる必要がある」
ノルウェーで世界初の自動運航ゼロ・エミッション船舶「ヤラ・ビルケラン」が建造され、年内に就航予定である。プラグイン・ハイブリッド客船がすでに運用されている。
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のエルスペス・ハサウェイが、ヨーロッパの組合は公正な移行の推進に非常に積極的に取り組んでおり、一定の成功を収めていると述べた。新たに確立された海事技術部門のEU技能協定は、今後5年間に産業全体で20万人の労働者に訓練を受けさせることを目指しており、向こう10年間に23万人の新規労働者を採用する計画を立てている。この部門(特にクルーズ産業)はCOVIDによって大打撃を受けたが、欧州連合には意欲的なグリーン海運業計画がある。国際海事機構は2050年までに排出量50%削減を目標に掲げており、EUは2050年までにネットゼロを目指している。
松崎寛書記次長が、この部門が直面している世界的傾向の大要を説明し、現代重工業と大宇造船海洋の間で進行中の合併紛争をめぐる懸念に触れた。韓国金属労組(KMWU)によると、この合併が成功すれば、新会社は世界の造船業を支配し、不十分な労働慣行に基づいて大規模な整理統合がもたらされる。
松崎書記次長は、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准に向けた進展について語った。現在17カ国が条約を批准しており、最低基準の15カ国を超えた。しかし、船舶解撤の大部分がバングラデシュとパキスタンで行われているため、両国による批准が重要である。
インドのビジャーダール・ラネーが条約の効果について説明した。インドは条約の基準に従い始めてから、施設が改善され、安全性が向上している。インダストリオール-FNV共同船舶解撤プロジェクトは、労働者向けに安全マニュアルを作成し、数千人の新規組合員を勧誘することに成功した。
松崎書記次長は公正な移行の重要性についても強調し、モデル例としてオーストラリア電機労組の労働協約の公正な移行に関する条項を共有した。松崎書記次長は2022年の部門活動計画を発表し、この計画には、バングラデシュ、パキスタン両国政府に香港条約批准を求めるロビー活動、船舶解撤部門と船舶解撤労組への女性参画の改善が盛り込まれている。この部門は公正な移行とグリーン・リカバリーの促進にも焦点を当てる。
会合は、向こう12カ月間の部門活動を承認した。主な焦点は以下のとおりである。
- 新しい労働組合ネットワークを創出・開発
- 発展途上国に焦点を当てて造船・船舶解撤両産業で労働安全衛生訓練を実施
- ジェンダー平等促進の優良事例を研究
- 香港条約の要件を満たすためにバングラデシュ、パキスタン両国政府へのロビー活動を強化
写真:© Yara / Knut Brevik Andersen, Wilhelmsen Ship Service
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