インタビュー:アトレ・ホイエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長
2022-06-01
2022年6月1日:2021年9月の第3回インダストリオール大会で、アトレ・ホイエが書記長に選出された。ノルウェー出身のホイエは、2016年のリオ大会で書記次長に選出されたため、すでに5年間インダストリオール指導部に加わっていた。
インタビュー
『グローバル・ワーカー』第1号(2022年6月)より
インタビュー:アトレ・ホイエ
文:ペトラ・ブランマーク
どのように労働組合でのキャリアを開始したのか?
「大学卒業後、ノルウェーの労働組合総連合LOで働いた。欧州問題と持続可能な開発に関するアドバイザーを数年務めたあと、合同産業労組に国際担当書記として移った。当時、合同産業労組はいくつかのグローバル・ユニオン・フェデレーション(ITGLWF(国際繊維被服皮革労組同盟)、ICEM(国際化学エネルギー鉱山一般労連)、IMF(国際金属労連))に加盟していた。私は1990年代に3団体すべての執行委員会に出席し始めた」
あなたは2016年に書記次長に、その後2021年に書記長に選出された――立候補を決めた理由は?
「私はIMF、ICEMおよびITGLWFの統合によるインダストリオール結成プロセスに、非常に積極的に取り組んだ。統合に関する最初の決議が可決された2005年のウィーン大会で、私は動議委員会に加わっていた」
「2016年にリオで開催された第2回インダストリオール大会の前に、引き続き活動したいが、今後は違うレベルで働きたいと感じた。私はインダストリオールが理想の構造だと本気で信じており、活動に貢献したいと思っている」
「書記次長を5年務めたあと、変革が必要であり、自分は変革の実施に助力できると思った。より透明で包括的な組織を創出するために書記長に立候補した。全員が自分も参加していると感じ、アクション・プランに対して責任を感じてほしい」
あなたの優先課題は?
「私の主な優先課題は、必要な基盤を構築し、インダストリオールが職務を遂行できるようにすることだ。技術的な話に聞こえるかもしれないが、ジュネーブ本部、地域事務所、加盟組織を含めて組織全体が、戦略と実施を背景に一致団結する必要がある」
「これは活動方法を変える必要があることを意味する。執行委員会で、また加盟組織と、よりオープンに、より徹底的に討議する必要がある。結果を達成するには全員を参加させる必要があり、そのためには、人々に当事者意識を持たせる必要がある」
「インダストリオールにとって最大かつ最重要の任務は、基盤となる基本的労働組合権、すなわち団結権および団体交渉権を提供することだ。それは労働者たちに、安全な職場や差別からの自由など、他のすべての基礎を提供する」
インダストリオールはどうやってこれを達成するのか?
「使用者と政府に、団結権・団体交渉権を実施させなければならない。すべての活動で、これらの基本的権利を念頭に置かなければならない――能力強化に焦点を当て、組合が組合員に接触しようとするのを助け、企業に組合を受け入れさせ、ILO基準適用委員会、OECD、国際金融機関、WTOなど、貿易と産業について議論するすべての場で、団結権を議題に盛り込ませなければならない」
「現在、個別事件と国内法違反の両方に関して、消火活動に力を入れている。労働者の権利が侵害されているという連絡が毎日入ってくる。それを受けて、法令遵守を確保するために工場の所有者、工場から調達している企業、政府に接触し、国際支援を求めている。自社の事件が国外でも知られていることを使用者が知ることが圧力になり、効果を発揮する」
「大会は、拘束力・強制力のある協定に向かって進まなければならないという明確なメッセージを送った。私たちはUNIグローバルユニオンとともに、ハーグ裁判所による仲裁メカニズムを開発した。そのメカニズムは国際アコード(安全衛生に関する協定)に導入されている。これは他の協定にも適用できる。グローバル枠組み協定に組み入れるべく努めていく。利用できる手段を利用し、国際アコードのような新しい手段――10年前には誰もが不可能と考えていたであろう手段の構築に取り組む必要がある」
「労働組合の組合員になり、力を合わせて使用者と政府に抵抗することがいかに重要であるかを、人々に理解してもらわなければならない。私たちはインダストリオールが運営するプロジェクトによって、膨大な量の能力強化活動を実施している。前大会期間には、団体交渉、女性、安全衛生、青年に関する1000件の活動に7万5000人の組合員が参加した。参加者たちは、職場に戻って学んだことを活かし、同僚の向上を手助けすることができる。そして、私たちはプロジェクトを通じて68万人の新規組合員を組織化した」
COVIDでインダストリオールの戦略目標は変わったか?
「戦略目標はこれまでどおり重要だが、例えば衣料産業の賃金窃盗を受けて、世界的な社会保障の必要性がより明らかになった」
「社会保障制度がある国の人々は、かなりうまくパンデミックを切り抜けた。しかし貧困国では、職場の閉鎖で毎日失業者が出て、貧しい人たちがますます貧しくなった。公共交通機関が閉鎖されたので、移民労働者は故郷に帰ることができなかった」
「現在のサプライチェーン・モデルは、低賃金労働力と責任回避の上に成り立っており、労働権がまったくなく、社会的保護もほとんどない国々に生産を移転している。社会的保護がなければ、社会は崩壊してしまう。社会的保護は公の問題だが、それが実現されるまで、生産国で社会保障を強く要求するために企業と協力する必要がある。貧困国にとって社会保障制度の確立には多大なコストがかかるので、つなぎの解決策が必要だ」
インダストリオールの前途に待ち受ける最大の課題は?
「組合にとって最大の課題は、明日のために労働者にとって魅力的な存在になることだ。1000人の大規模職場は、おそらく明日の職場ではないだろう。明日の職場は、もっと小さく、より急速に変化しやすい。人々はますます個人に重きを置くようになっており、50年前に人々を引きつけたことが明日も同じというわけではない」
「加盟組織は適応する必要があり、私たちは支援することができるので、これは議論すべき重要な問題だ。アクション・プランは私たちに世界の変革を求めている。これは明らかに書記局だけで実施できることではなく、私たちが代表している5000万人の人々とともに行わなければならない」
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