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第178号インダストリオール・ウェブサイトニュース

190号条約批准のための闘いは続けなくてはならない

2024-06-20

2024年6月20日:6月は、職場における暴力とハラスメントをなくすための国際労働機関条約(ILO 第190号条約)の採択から5年目にあたる。この画期的な条約は、組合がジェンダーに基づく暴力との闘いを前進させる重要な機会であり、インダストリオールと加盟組合は批准に向けて精力的にキャンペーンを展開している。


この条約が採択されると、インダストリオールは、職場の世界に暴力やハラスメントが蔓延しているため、批准を求めるキャンペ ーンを緊急に展開する必要があることを認識した。ILO 第190号条約 は、こうした問題の根絶を目指す初の国際基準であり、ジェンダーに基 づく暴力やハラスメント(GBVH)を含む暴力やハラスメントのない職場環境に対するすべての人の権利を謳っている。この条約は、既存の国内法の不備にも対応している。

グローバル・ユニオンは、ILO 第190号条約の実施を支援するツールキットを立ち上げた。この「訓練者訓練」ツールキットは、労働の世界における暴力とハラスメン トを撤廃する重要な戦略として団体交渉を促進するために不可欠なツールを、世界中の何千もの組合に提供するものである。

この共同ツールキットを補完するために、インダストリオール はすぐに使える訓練モジュールを開発し、アジア、中東・北アフリカ、ラテンアメリカ、サハラ以南アフリカで、ILO 第190号条約の実施を通じて、職場や組合で GBVHを防止・対処する方法について、約300人の労働組合指導者、職員、役員を訓練した。

インダストリオールのILO 第190号条約ャンペーンの一部には、ジェンダーに基づく暴力やハラスメントに取り組むために企業と協力することが含まれている。2022 年、インダストリオールは H&M グループおよびスウェーデンの組合 IFメタルと協力して、サプライチェーンにおける GBVHの防止・発見・対処のための確固とした方法を開発した。取り組みには、労働者と管理職の意識向上と必要なツールの装備、H&Mグループの現地生産事務所と労働組合との合同訓練セッションを通じた問題への対処・解決のためのプラットフォーム構築などが含まれる。このイニシアティブは、1,500を超えるH&Mグループのサプライヤー工場で働く約150万人の縫製労働者に影響を与えている。最近、関係者はトルコの6つのサプライヤー工場でGBVHガイドラインを試験的に実施した経験を共有し、コミットメントを強化した。

2023年11月、インダストリオール執行委員会はGBVH、女性差別、性差別に関する新しい方針を承認した。この方針は、GBVH、女性差別、性差別の根絶を強調し、インダストリオールと加盟組合内で尊厳と尊重の文化を育むことを目指している。これには、これらの問題について組合員を教育し、ILO 第190号条約の規定に準拠させることも含まれる。関連する苦情に対処するための明確な手順も確立され、今後数カ月以内に指導部やスタッフが方針実施に関する研修を受けることになっている。

インダストリオール加盟組合は過去5年間、ILO 第190号条約批准のために懸命に闘ってきた。

ナイジェリアでは、労働組合、市民社会組織、労働者支援団体を巻き込んだ持続的なキャンペーンと社会的対話によって、2022年に批准に至った。偏見や法執行力の弱さに起因する過少申告が蔓延しているにもかかわらず、労働組合は、GBVHを恒常化 させる慣行をなくすために、特に男性が支配的な職場で第190号条約啓発キャンペーンを継続している。

フィリピンでは、4年間のキャンペーンを経て上院が第190号条約を批准し、批准37カ国目となった。キャンペーンでは、書簡の送付や政府高官との面会など、広範なロビー活動が行われた。第190号条約に関する教材やポジション・ペーパーを作成し、重要な労働行事の中でキャン ペーンを取り上げた。

アルゼンチンも組合の努力によって批准を達成した。労働総同盟(CGT)の女性労働組合家 連合グループのスポークスパーソンであるバネサ・シリー副代議員は、職場暴力の撤廃を提唱するうえで、100を超える組合からなる組合間ネットワークが果たした役割の大きさを強調した。

インドネシアの女性委員会は、インダストリオールから第190号条約に関する訓練を受けた後、ゼロ・トレランス方針を策定した。インドネシアの組合は使用者と社会対話会議を開き、80 社以上がこのゼロ・トレラ ンスに署名した。これらの方針はすべての労働者を対象としており、苦情処理チー ムの結成、被害者が苦情を申し立てる権利の確保、安全・プライバシー・精神的サポ ートの提供などが含まれている。

こうした取り組みの結果、労働組合はILO 第190号条約原則を交渉協約に盛り込んでいる。例えば、インドネシアの女性エンパワーメント・児童保護省は2024 年3月、西ジャワのPTエボルツィオーネ・タイヤ(ピレリ・グループ)に セーフハウスを開設した。同社とインダストリオール加盟の化学・エネル ギー・鉱山労組(CEMWU)は、2021年に暴力とハラスメン トに関する ゼロトレランス・ポリシー に署名したが、これは第190号条約の未批准にもかかわらず、実施に向けた重要な一歩となった。

「第190号条約の採択以来、44カ国が第190号条約を批准しており、職場における暴力とハラスメントの撤廃に向けた世界的なコミットメントが高まっていることを示している。加盟組合は、批准を達成するために実によく健闘した。また、ILOの批准がなくても、職場でILO 第190号条約を実施するための行動を起こしている。世界中で安全で尊重される労働環境を確保するために、キャンペーンを継続しなければならない」

とアルメル・セビー・インダストリオール・ジェンダー部長は言う。

 

【原文記事URL】

https://www.industriall-union.org/the-fight-for-ratification-of-c190-must-continue

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