グローバル・サプライチェーンにおける拘束力のある協定――労働者の権利を強化して投資家リスクを削減
2025-02-13
今週パリで開催された衣料・履物部門のデュー・ディリジェンスに関するOECDフォーラムで、インダストリオールと労働権投資家ネットワーク(LRIN)は、「投資家の指針と期待:サプライチェーンのデュー・ディリジェンスと拘束力のある協定」を発表した。この文書は、企業がグローバル・サプライチェーンで労働者の権利を尊重することへの投資家の期待を説明。特に、労働組合・労働者代表と企業の間の拘束力のある協定が、どのように基本的労働権を支持し、企業と投資家にとっての関連リスクを軽減できるかを取り上げている。
この指針は、一般的に見られる自発的な営利目的のサプライチェーン・デュー・ディリジェンス「社会監査」モデルの弱点をめぐる投資家の懸念と、拘束力のある代替モデル(繊維・衣料部門の安全衛生のための国際協定など)への関心の高まりを受けて作成された。
拘束力のある協定は、法的アカウンタビリティーから透明性、独立した監視、権利侵害の救済まで、複数のレベルで有望である。インダストリオールは2023〜2024年に、この主題に関する一連の投資家円卓会議を開催した。この活動から、何人かの投資家が、結社の自由に対する権利および団体交渉権に焦点を当てるグローバル投資家ネットワーク、LRINの傘下で作業部会を設置することを決定した。資産管理者、資産保有者、投資サービス提供会社ならびにインダストリオールおよび労働者資本委員会LRINスタッフで構成される作業部会は、この1年でサプライチェーンのデュー・ディリジェンスに関する一連の期待と指針を作成した。この文書は、拘束力のある協定と、そのような協定がグローバル・サプライチェーンの労働権侵害への対処において有望な理由だけでなく、企業と投資家にとってのリスクを削減するかもしれないことも深く掘り下げている。
「私たちは連携と簡略化のために投資家作業部会に加わった――特に膨大で投資家に尻込みさせかねない人権の分野で、すべての投資家が企業に同じ質問をすることが重要だ」
「私たちは投資家として、人権と生活賃金の支払いに関して投資対象企業にトップダウンまたはボトムアップのアプローチを適用することができる。拘束力のある協定による結社の自由と団体交渉の強化は、ボトムアップ・アプローチの一部だ。精度を落とさずに、多様なアプローチを可能な限り連携させて簡略化すれば、最善・最速の結果を達成できると思う」とスウェーデンの年金基金AP2のペッター・フォルスランドは言う。
この指針は今年のフォーラムの最重要点――この部門で義務的デュー・ディリジェンス法を機能させること――とよく合致していた。会議全体を通じて、多数の部門(労働組合、企業、投資家、NGO、政府)の代表が、企業の「競争の場を公平に」し、労働者が救済を受ける権利を確保し、サプライチェーンの環境・人権リスクへの対処にあたって協力と一貫性を奨励するうえで、義務的な人権デュー・ディリジェンスが重要であることを指摘した。
クリスティーナ・ハジャゴス=クローゼン・インダストリオール繊維・衣料担当部長は言う。
「拘束力のある協定は、サプライチェーンで好ましい変化を示すためにますます重要になっている。例えば国際アコードは、250社を超える企業が署名しており、労働者のために安全や労働安全衛生、苦情処理制度を構築するうえで、証明できる改善をもたらしている」
このフォーラムで発言者たちは、人権基準について当事者に責任を負わせ、確固たる苦情処理制度を提供したり、サプライチェーンの事業を透明化したり、企業と労働者の間で有意義な関与を確保したりするにあたり、労働組合と企業の拘束力のある協定が重要であることを強調した。
「年金基金は長期投資家として、デュー・ディリジェンス・プロセスに関して企業に関与しており、私たちの影響力を最も効果的に利用したい。最近の研究によると、拘束力のある協定はデュー・ディリジェンスの結果を改善し、ひいては私たちの投資に実のある財務リターンをもたらす可能性がある」とオランダの年金基金の資産管理会社MNのフランシェ・プッツは言う。
この指針と期待に関する文書は、特に拘束力のある協定が最も進んでいる衣料・繊維部門で、サプライチェーンのデュー・ディリジェンスについて投資家に指針を示す実用的ツールである。この文書は、部門の問題に取り組むように立案されている拘束力のある協定が労働者、企業および投資家に、社会監査のような自発的イニシアティブが想定していない利益を与えるという証拠と、それを支持する論拠を概説している。この文書の関与に関するガイドは、企業に投げかけるべき主な質問を投資家に提供しており、「企業の回答の予想」に関するセクションも設けている。投資家は今後、この指針の実地テストを行い、今年後半に再び会合を開いて経験を共有する予定である。
写真提供:フィリピンの衣料工場。©ILO
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