原子力ルネサンスで労働者と安全性に関する問題を提起
2025-03-27
地政学的な不安定性が高まり、エネルギー変革が進み、脱炭素化加速への社会的圧力が強まる中で、インダストリオール・グローバルユニオンが調整する国際原子力労組ネットワーク(INWUN)が3月25日に東京で世界会合を開催した。
この会合は、原子力部門の現状を国際的に評価し、公正で安全なエネルギー移行の形成における労働組合の役割を強化するプラットフォームとなった。
インダストリオールのダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・エネルギー担当部長が、開会の辞で世界のエネルギー状況の概要を示し、再生可能資源の成長にもかかわらず化石燃料が今もエネルギー生産を支配していると述べた。原子力エネルギーは労働・社会面で重要な課題をもたらしているが、信頼性の高い低排出エネルギーを提供する可能性があるため、いくつかの国々で新たに関心を集めている、と彼女は述べた。
このところ原子力開発が勢いづいていることが強調された。3月中旬に産業の垣根を越えたグループ(グーグル、アマゾン、メタ、国際金融機関14団体、原子力企業140社および31カ国を含む)が、2050年までに世界の原子力発電能力を3倍にする計画への支持を誓約した。このシフトは、特にエネルギー集約型データセンターからの電力需要の高まりに対応すると予想される。
電力総連の河野一生会長代理が、2011年の福島原発事故後に国民の信頼を回復しようと努力しながら、より厳しい安全基準の下で原子炉を再稼働する日本の取り組みを発表した。日本は次世代の原子力技術にも投資し、原子力サプライチェーンも回復させている。
壬生守也電力総連会長が各国からの参加を歓迎し、福島第一原子力発電所への現地視察を含む交流の価値に留意した。
「原子力は、人権重視の民主的な方法で取り扱うべき技術だ」と会長は述べ、国際的な組合対話を維持することの重要性を強調した。
ウクライナ代表団が、戦争の残酷な影響、すなわち施設の占拠、労働者の誘拐、ドローン攻撃、継続的な国際基準違反について報告した。このような状況にもかかわらず、ウクライナの組合は活動して労働者を代表し続けている。
インダストリオール原子力部門のバレリー・マトフ共同議長が次のように述べた。
「原子力部門が新たなルネサンスを経験しているという確証を得た。現在の世界情勢を考慮に入れて、私たちの間で情報交換を強化することが非常に重要だ。ウラン部門の開発のためにも新たな後押しがほしい。このハイレベル会合に関してインダストリオールと日本の同僚にお礼を申し上げる」
各国の発表で、各地域の多岐にわたる問題が明らかになった。
- アルゼンチンは、民営化の脅威に対する懸念、RA-10やCAREMといった戦略的プロジェクトの停止、技術的主権の浸食を報告した。
- フランスは原子力の復活を強調し、EPR2やSMRのような今後のプロジェクトを挙げた。この部門は2034年までに10万人の労働者を雇用すると予想され、組合は労働条件と訓練、組合代表を中心に保護を強化するよう要求している。
- モンゴルは、ウラン埋蔵量を利用して国際投資を引きつけ、平和的な原子力開発を支援するための新しい規制の枠組みを概説した。
- 南アフリカは、石炭の代わりにSMRのようなよりクリーンで信頼性の高い資源を導入するという複雑な問題を取り上げた。
- イギリスは深刻な熟練労働者不足を報告し、2043年までに16万人の労働者が必要になるとの予測を示した。廃炉努力の資金不足は、安全性と雇用の安定をめぐる懸念をもたらしている。組合は国家技能戦略とサプライチェーン支援を要求している。
- スペインは、2027〜2035年にすべての原子炉を閉鎖する計画を再確認した。しかし、電力会社は延長を働きかけており、予定どおりに閉鎖されれば電力料金が家庭向けで最大23%、産業向けで最大35%上昇する可能性があると警告している。
福島原発事故の記念日
3月26日、代議員は福島の東日本大震災・原子力災害伝承館を訪問したのち、2011年の災害後に原発事故の対応拠点として再利用されたスポーツ複合施設、Jヴィレッジに滞在した。この現場はその後修復され、地域復興のシンボルとなっている。
翌日は福島第一原発への技術視察を行い、進行中の廃炉努力(廃棄物管理、汚染水処理、溶解した核燃料の除去という課題など)について専門家から詳しい説明を受けた。これは先例のないプロセスであり、30〜40年かかると予想される。1号機、2号機および3号機に約880トンの溶解燃料が残っている。
会合の終わりに、INWUNネットワークを拡大してウラン採掘労組も参加させ、会合と会合の間の協力を強化することが要求された。安全衛生、青年訓練、工場閉鎖の影響を受ける労働者への支援が、緊急の優先事項として確認された。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/nuclear-renaissance-raises-worker-and-safety-issues
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