広報ニュース

第189号インダストリオール・ウェブサイトニュース

不安定な経済と通商面での緊張の中、鉄鋼業の雇用を守るために強力な行動を要請

2025-04-01


経済的不安定性と地政学的緊張の高まりを受けて、鉄鋼業では長年の課題が悪化している。インダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合およびTUACは、第97回OECD鉄鋼委員会で各国政府に対し、労働者が実質賃金の低下や労働条件の悪化、失業を通してこれらの圧力の矢面に立たされないようにすることを求めている。


OECDデータによると、従来どおり、需要薄と暗い経済見通しにもかかわらず世界の製鋼能力は成長し続けている。世界の製鋼能力は2024年末までに24億7200万メートルトンに達し、今後数年間にさらに増大すると予想される。この能力のほぼ半分が中国にあるが、中国では2020年以降、国内需要の減少で輸出市場向けの生産が増えており、他国に対する圧力が強まっている。

一方、主要OECD諸国間も含めた新しい貿易関税によって不確実性がさらに高まっており、需要と投資にマイナスの影響を及ぼし、全世界で鉄鋼労働者の雇用を危険にさらす可能性がある。

労働組合は、鉄鋼の過剰生産能力と貿易摩擦の高まりは問題の半面に過ぎないことを強調し続けている――もう一方の面は内需の低迷である。OECD鉄鋼委員会の組合代表は、需要を拡大し、労働・環境条件の採用によってより高い基準を設定するために、野心的な包括的産業政策を要求している。組合代表は大企業に対し、グリーンな新技術に利益を再投資し、持続可能な経済成長を推進して他の部門で好ましい波及効果を生み出すことも強く促している。

現在、主要OECD諸国の対応には一貫性がない。アメリカでは、関税引き上げとともに、クリーンエネルギーを縮小しようとする取り組みと、インフレ抑制法の下で承認された産業プロジェクトが実施されている。欧州連合では、防衛支出の財政的柔軟性の増大は、欧州の生産を増やす最善の解決策ではないかもしれない。というのも、大多数の防衛製品がEU域外から輸入されており、米国系サプライヤーとの関係を断つと同時にヨーロッパの軍事生産能力を拡大するには、何年もかかる可能性があるからである。一方、他の緊急の優先事項――社会的一体性のための資金、インフラ・医療・教育への投資など――は、議題でさらに下に追いやられている。

ベロニカ・ニルソンTUAC書記長は警告する。

「鉄鋼の事例が示しているように、不十分な公共投資と低調な個人消費は、通商面での緊張が高まる時期に国内産業をより無防備にする。政府は、財政再建を推進し、公共投資を制限し、労働者保護と労働者の交渉力を弱める労働市場改革によって賃金を下げるのではなく、良質な雇用と労働者の権利を保護しながら国内の回復力を強化する積極財政と的を絞った産業戦略を追求すべきだ」

クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は言う。

「各国政府は、経済・環境・社会目標を整合させる先を見越した産業戦略を採用しなければならない。鉄鋼は経済の柱であり、この部門を保護することは労働者、地域社会、製造業の未来を保護することを意味する」

ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長が締めくくる。

「ヨーロッパの鉄鋼業は岐路に立っている。需要を拡大して投資を確保するための緊急行動がなければ、重要な工業力と質の高い雇用を失う恐れがある。労働者を貿易摩擦と経済的不安定の矢面に立たせることはできない。良質な雇用を保護して公正な移行の約束を果たす協調的なEU産業政策が必要だ」

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/unions-urge-strong-action-to-protect-steel-industry-jobs-amid-economic-uncertainty-and-trade

« 前のニュース  次のニュース »