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戦術委員会確認事項
闘争の評価と課題
要求・回答状況
各種集会
集中回答日
2004年闘争の推進
2003年11月19日
金属労協
CONTENTS
T.2004年闘争をとりまく情勢
U.2004年闘争の基本的な考え方
V.具体的な取り組み
W.2004年闘争のすすめ方
T.2004年闘争をとりまく情勢
@ 日本経済は、日銀の量的金融緩和政策の強化、中国などアジア向けを中心とする輸出の拡大、設備投資の回復傾向などにより、2002年春を底として緩やかな景気回復基調となっています。とりわけ2002年夏には、実質GDPが前年比でプラス成長に転じ、2003年に入ると3%程度の成長率で推移しています。デフレの進行によってマイナス成長が続いていた名目GDPも、マイナス幅が縮小傾向をたどり、2003年4〜6月期には9カ月ぶりにプラス成長(0.6%)となりました。
2003年夏には、名目GDP成長率が7〜9月期に再びマイナス(△0.3%)となったのをはじめ、鉱工業生産指数の前年比伸び率もマイナスとなるなど、一時、景気回復にかげりが見られました。しかしながら、鉱工業生産指数は9月には4.1%とプラスに転じるなど、再び回復基調を取り戻すところとなっています。
デフレの状況も、2002年2月には消費者物価上昇率が前年比で△1.6%に達していたのが、2003年9月には△0.2%までマイナス幅が縮小しており、引き続き改善が期待されています。
一方、為替相場は2002年春以降円高方向に転じており、とりわけ2003年秋には1ドル=110円割れの状況となっています。従前に比べて、輸出産業に対する円高の打撃は小さくなっているものと考えられますが、それでも為替の急激な変動と過度な円高が収益に影響を与えることは避けられないことから、今後の為替相場の成り行きを注視していく必要があります。また、国際協調による為替安定に向けた政府の努力が重要となっています。
景気回復・デフレ改善の背景には、新総裁就任以来、とくに強化された日銀の量的金融緩和政策があります。景気回復傾向を受けて、早くも金融引き締めを主張する声も出てきていますが、景気が多少上向くとすぐに金融引き締めを行うという繰り返しが、90年代の長期にわたる不況を招いてきたことから、物価の動向を慎重に判断しつつも、当面、現行水準での量的金融緩和政策を継続するなど、適切な経済政策の舵取りが必要な状況にあります。
A このような経済情勢のなかで、企業業績は産業・企業ごとのバラツキは大きいものの、全体として回復傾向にあります。日銀短観(全産業)で見ると、2002年度決算では減収増益傾向であったのが、2003年度予測では、全体として増収増益基調となっています。
金属労協集計対象A組合の組織する企業66社のうち、2003年度中間決算の発表されている51社の通期見通し(連結)は、増収予測となっている企業が40社ある一方、減収予測も11社となっています。営業利益でも、増益予測が32社に達しているのに対し、減益は5社となっています。(各社ホームページによる)
B 雇用情勢は、完全失業率、有効求人倍率とも改善しつつあります。完全失業率は2003年1月には5.5%に達していたのが、8、9月には5.1%に低下しています。有効求人倍率も2001年年末から2002年年初にかけて0.51倍に落ち込んでいたのが、2003年9月には0.66倍に回復しています。しかしながら、失業期間の長期化傾向は改善されておらず、また非農林業の雇用者数を見ると、女性は前年比プラスに転じるとともに、臨時雇がむしろ減少し、常雇中心の回復となっているのに対し、男性は依然として常雇を中心としたマイナスが続いています。企業がアウトソーシング化や多様な雇用形態の組み合わせを進めていることや、これと並行して労働基準法、労働者派遣法の改正などが行われていることから、雇用形態の多様化がさらに進行することが予想されます。
こうした状況の下で中長期的なワークシェアリングを推進することによって、社会全体で雇用の維持・創出を図っていくことが重要な政策課題となっています。
C 消費は、2003年度上半期(4〜9月)には、所得環境の改善などにより、全国・勤労者世帯の消費支出の伸び率(前年比・名目)が、ややマイナス幅の縮小する状況となっています。社会保険料における総報酬制の導入と冷夏により、7月の落ち込みが激しかったものの、8月には改善しています。
一方、販売統計でも、小売業のマイナス幅の縮小傾向が続いており、とりわけ家電を中心とする機械器具小売業は、家電リサイクル法施行以来前年比マイナスが続いていたのが、2003年8月に2年5カ月ぶりにプラスに転じています。AV・情報分野の家電を中心として、消費意欲に盛り上がりが見られるところとなっています。自動車小売業販売額も2003年6月から8月まで前年割れとなっていましたが、9月にはプラスに転じ、総じて堅調に推移しています。
しかしながら、2004年1月からの配偶者特別控除の一部廃止などもあり、消費の回復傾向を引き続き維持し、本格的な回復に導いていくための方策が求められています。
D 金属産業にふさわしい賃金水準の実現が課題となっていますが、金属産業の賃金水準は全産業平均との比較では若干上昇しているものの、依然として95%程度の低水準となっています。一方、賃金水準は、毎月勤労統計調査においても2年連続で現金給与総額が低下しているなど、低下傾向が続いています。また、約半数の組合で賃金構造維持分が未確認であるなど、賃金制度整備が不十分となっており、賃金制度整備が課題となっています。一方、一時金水準が年間4カ月を下回る組合が約半数あり、水準の下支えが必要となっています。
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U.2004年闘争の基本的な考え方
2004年闘争をとりまく情勢は、ゆるやかな景気回復基調となっているものの、産業・企業ごとの業績や企業体力、今後の展望にばらつきが出てきています。国際競争が熾烈化するもとで、右肩上がりの経済成長時代には可能であった全産業を横断的に網羅する一律的な賃金引き上げを困難にしており、そうした情勢に的確に対応するJC方針が求められています。
金属労協は、これまで、春季総合生活改善闘争をとりまく環境変化のもとで、「JC共闘の基本的な取り組み方向」を、@新たな共闘軸の構築による総合労働条件改善の取り組み、A個別賃金水準による金属産業の賃金改善、Bミニマム運動の強化による賃金水準の下支え、C大くくり職種別の社会的な賃金水準の形成をめざす取り組み、D公正処遇ルールの確立、E連合金属部門強化の観点からのJC共闘、の6点に整理、確認してきました。
今次闘争においても、これらの基本的取り組み方向を見据えつつ、「ものづくり産業」「金属産業」という共通の基盤に立ってJC共闘の強化に努め、日本の基幹産業である金属産業にふさわしい賃金・労働条件の構築を図っていかなければなりません。また、国際競争力と賃金という金属産業の重要課題については、先進各国における金属産業の位置づけを検証しつつ、将来のあり方を含めて検討をすすめていくことが必要です。
2004年闘争の具体的な取り組みにあたっては、従来以上に個別賃金水準を重視した取り組みを進めながら、すべての組合で賃金構造維持分の確保を図り、さらに産業・企業の状況を踏まえて、賃金・一時金など総合労働条件の改善に取り組みます。
また、春季総合生活改善闘争をとりまく環境変化に応じ、かつ、産業間・企業間の賃金格差の改善と賃金水準の下支えを目的とする「JCミニマム(35歳)」については、35歳の勤労者の賃金を、勤続年数、職務評価などにかかわらず、「これ以下をなくす」ためにも、将来的に社会的な規範力を発揮できる仕組みづくりを強めていきます。
なお、各組合とも「雇用確保」を労働組合の最大の使命として通年的に取り組んできましたが、今後ともその姿勢を堅持していきます。
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V.具体的な取り組み
1.賃金・労働条件
【基本的な考え方】
(1) 賃 金
@ JCミニマム運動の推進
近年、デフレ経済下における企業間競争激化によって賃金水準の低下圧力が高まっており、賃金構造維持分が確保できずに賃金水準が低下するケースがみられる状況となっています。業績格差の拡大によって産業間・企業間の賃金格差が拡大しており、また、仕事の成果を重視した賃金制度への改定によって、個人ごとの賃金の差異が拡大してきています。
このような賃金水準の低下傾向や賃金格差の拡大、また、雇用形態の多様化に対応した均等処遇確立の観点からも、賃金水準の下支えを図る取り組みが必要となっており、金属産業にふさわしい賃金水準の追求と同時に、JCミニマム運動の推進が重要となっています。
2004年闘争においては、2003年闘争で提起した「JCミニマム(35歳)」を、金属産業で働く勤労者の賃金水準の明確な下支えとすべく、35歳の勤労者ならば勤続年数、職務、評価にかかわらず、将来的にこれ以下をなくす運動として取り組みます。また、企業内最低賃金協定の締結によって企業内におけるすべての勤労者の賃金の下支えを図るとともに、法定産業別最低賃金の取り組みと連動させることによって、金属産業で働くすべての勤労者の賃金水準の下支えを図るべく、取り組みを強化します。
各産別は、こうした考え方を踏まえて、それぞれの具体的な取り組みによって、JC全体の取り組みを展開していくこととします。
A 賃金構造維持分の確保と賃金制度確立
現行の賃金水準を維持するためには、制度的な昇給、すなわち「定期昇給(相当)分、昇進・昇格源資など」を現行賃金制度・体系に基づいて実施することによって、賃金構造維持分を確保することが必要です。賃金制度の見直しによって成果主義的な要素が高まる傾向にありますが、年齢ごとの生計費の違いや標準的なスキルパスは存在しており、賃金構造維持分は確保されなければなりません。
さらに、同一銘柄における賃金水準を維持・確保するためには、賃金構造維持分といった引き上げ基準だけの取り組みだけではなく、個別賃金水準を把握しながら、より水準そのものを重視した取り組みを強めていく必要があります。
一方、金属労協全体でみると、賃金体系が制度的に確立されていないところが多い実態にあり、賃金制度整備が極めて重要な課題となっています。賃金構造維持分を確保できないことによって結果として同一銘柄における賃金水準が下がることのないよう、JC共闘全体として、定期昇給制度を含む賃金制度整備を図っていくこととします。同時に、賃金制度整備を通して、配分方式の確立を図ることとします。
2004年闘争においては、個別賃金水準重視や賃金制度整備の取り組みをすすめながら、すべての組合が最低でも賃金構造維持分を確保することとします。
B 金属産業にふさわしい賃金水準の実現に向けて
金属産業の賃金水準は、全産業平均の95%程度となっており、日本経済を支える基幹産業としての金属産業の位置づけにふさわしい賃金水準とはなっていません。わが国の基幹産業にふさわしい賃金水準を追求すべく、今後とも産業間格差改善の取り組みを推進していかなければなりません。
2004年闘争においては、産業間・企業間の賃金格差を考慮しつつ、各産業・企業の状況を踏まえて主体的に賃金水準の引き上げを図ることとします。
(2) 一時金水準の安定確保に向けた取り組み強化
一時金は、生計費の一部という性格と、業績などの成果還元という性格を持っています。近年、業績を反映する傾向が強まる一方、企業業績は、現状・見通しとも格差が拡大している実態にあることから、一時金水準の格差も拡大してきていますが、業績によって過度に一時金の水準が低下することになれば、生活の安定を脅かすことになりかねません。
こうした観点から、2004年闘争においては、厳しさが続く家計の状況を踏まえ、生活の安定確保の観点から、一時金の最低獲得水準(4カ月)の維持・回復を図るための取り組みを展開します。
さらに、業績改善が図られた組合においては、当然の成果還元として一時金水準の引き上げを図ることとします。
(3) 年間総実労働時間短縮と雇用の維持・確保の取り組みの推進
金属労協は、「年間総実労働時間1,800時間台達成を21世紀に持ち越さない」取り組みを進めてきましたが、未達成のままとなっています。失業率が高止まりとなっているもとで、雇用の維持・確保を図る観点からも、長時間労働を是正し、金属産業で働くすべての勤労者について年間総実労働時間1,800時間台を早期に実現する取り組みが重要となっています。同時に、ゆとりある生活時間の確保によって仕事と家庭(個人生活)を両立する、これからの新たなライフスタイルを構築する観点からも、取り組みを進めていきます。
@ 年間総実労働時間1,800時間台達成に向けた取り組み
2004年闘争では、各産業・企業の実態を踏まえて、年間総実労働時間1,800時間台実現に向けた取り組みを推進することとします。
A 労働時間管理の徹底
近年、長時間労働の拡大や不払い残業の増加などの問題が指摘されています。2003年5月23日には、厚生労働省が、「賃金不払残業総合対策要綱」をまとめ、あわせて「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を策定しています。
金属労協は、労働時間管理徹底の取り組みを推進していきます。
(4) 60歳以降の就労確保
60歳以降の就労確保は、2000年闘争以来、JC共闘の重要な取り組みの柱として金属労協全体で取り組みを継続してきています。それは年金満額支給開始年齢との接続により生計費を確保することを基本に、年齢にかかわらず能力を発揮しながら、生きがいを持って社会を支えるための選択肢として、また、技術・技能の継承・育成による産業・企業基盤強化の取り組みとして提起したものです。
2004年4月には、年金満額支給開始年齢が62歳へと引き上げられることから、一層の取り組みの強化を図ることとします。
(5) その他の取り組み
退職金・企業年金は、退職後生活を支える重要な柱であり、公的年金制度見直しの動向からも、さらに重要性が増しています。近年、退職金・企業年金制度の見直しが図られていますが、退職後生活の安定を基本とした対応を図る必要があります。
職場においては労働災害が増大している状況にあります。労働災害を起こさない職場環境の確立を最優先とします。不幸にして起こった労働災害には、企業に対し責任ある対応を求めます。
また、急速に進む少子化の流れに対して、安心して子供を生み育てられる環境づくりを進めるべく、「次世代育成支援対策推進法」に積極的に対応して、仕事と家庭の両立支援に取り組むこととします。
【具体的な取り組み】
(1) 賃 金
@ JCミニマム運動の推進
@.「JCミニマム(35歳)」の確立
・ 金属産業で働く勤労者(35歳)の賃金の最低到達基準を「JCミニマム(35歳)」として示すこととします。
・ 「JCミニマム(35歳)」は、210,000円とします。
A.企業内最低賃金協定締結の強化
・ 金属産業の18歳最低賃金の金額水準は、149,500円以上とし、全単組の締結をめざします。
B.法定産業別最低賃金の取り組み強化
・ 金属産業に働く勤労者全体の賃金水準の底支えを図るため、法定産業別最低賃金の金額改正、新設に取り組みます。
A 賃金構造維持分の確保と賃金制度確立
・ 金属労協傘下のすべての組合は、同一銘柄における賃金水準の維持・確保を図るため、賃金構造維持分確保の取り組みを強力に進めます。
・ 定期昇給(相当)分込みで取り組む組合については、産別指導のもとで、実態を踏まえて対応することとします。なお、定期昇給(相当)分は、金属労協全体として2%・
6,000円程度とします。
・ 銘柄ごとの個別賃金水準を示すことができる賃金制度確立に向けて取り組みを進めます。
B 金属産業にふさわしい賃金水準の実現
・ 賃金格差の改善については、産業・企業の状況を踏まえて、主体的に賃金水準の引き上げの取り組みを行うこととします。
C 金属労協における標準労働者の目標水準
@.標準労働者の到達目標
*集計対象A組合(1,000人以上)の賃金水準に基づき、取り組み目標として設定
・高卒35歳・勤続17年・技能職を309,000円以上
・高卒30歳・勤続12年・技能職を266,000円以上
A.標準労働者の最低到達目標
*金属産業における賃金格差の圧縮を図るため、全単組の到達をめざす水準として設定
・上記、標準労働者の到達目標の8割程度
(2) 一時金水準の安定確保に向けた取り組み強化
・ 一時金の要求は、年間5カ月を基本とします。
・ 年間総賃金の安定確保に向けて、一時金に占める固定的支出を念頭に、最低でも年間4カ月を確保することとします。
(3) 年間総実労働時間短縮を通じた雇用の維持・確保の取り組みの推進
@ 年間総実労働時間1,800時間台達成に向けた取り組み
・ これまでの基本的な考え方を堅持し、各産別・単組の実態を踏まえ、年間総実労働時間1,800時間台実現に向けた取り組みをすすめます。
A 労働時間管理の徹底
・ 出退勤管理の方法や労働時間の把握方法について労使協議を図るなど、労働時間管理徹底の取り組みを行います。
(4) 60歳以降の就労確保
・ 年金満額支給開始年齢が62歳に引き上げられることを踏まえ、これまで確認してきた3原則を基本に、強力に取り組みを展開していくこととします。
(60歳以降の就労確保の3原則)
・働くことを希望する者は、誰でも働けること。
・年金満額支給開始年齢と接続すること。
・60歳以降就労するものについては、引き続き組織化を図ること。
(5) その他の取り組み
@ 退職給付制度の整備
・ 退職金、企業年金などの退職給付制度の改定を行う場合は、制度改定によって給付水準が低下することのないよう、等価転換の原則を基本とした制度改定を行うこととします。
・ また、産業・企業の実態を踏まえて、退職給付水準の引き上げに取り組むこととします。
A 労災ならびに通災付加補償
・ 金属産業に働く者の死亡ならびに障害等級1〜3級(退職)の付加補償水準として到達すべき3,200万円に未到達の組合は、当面3,200万円への引き上げをめざした取り組みをすすめます。
・ 通勤途上災害についても、労災に準じて取り扱うことを基本に、取り組みます。
B 仕事と家庭の両立支援
・ 仕事と家庭の両立支援を図るため、「次世代育成支援対策推進法」に基づいて使用者に義務付けられた行動計画について、労使話し合いの場を持つなど、各産業の実情に応じて取り組みを行います。
2.政策・制度、産業政策の取り組み
【基本的な考え方】
金属労協はこれまで、わが国経済の本格的再生のためには構造改革が不可欠であるが、政府がデフレを前提とする従来の「デフレ克服」政策から、「デフレ解消」政策に転換し、量的金融緩和の拡充などによりデフレを解消して景気回復を図らなければ、構造改革が進まないとの主張を展開し、対総理要請などの働きかけを行ってきました。
2003年春以降、金属労協の主張する方向で量的金融緩和政策が展開されたことなどを背景に、実体経済はゆるやかな景気回復基調にあり、デフレも全体として縮小傾向となっています。
一部には、すでに金融引き締めを求める声も出てきていますが、多少、景気が上向くとすぐに金融引き締めを行うという繰り返しが、90年代以降の長期にわたる不況を招いてきたことから、物価の動向を慎重に判断しつつも、当面、現行水準での量的金融緩和の継続を図り、景気の腰折れ回避に最大限努力するよう、政府に求めていきます。
円相場は2002年春より円高方向に転じていますが、とりわけ2003年秋以降、1ドル=110円割れとなり、今後の成り行きが懸念されるところとなっています。従前に比べて、輸出産業に対する円高の打撃は小さくなっているものと考えられますが、それでも過度な円高が収益に影響を与えることは避けられないことから、政府に対し、為替安定に向けた努力を求めていきます。
雇用情勢については、失業率がやや低下傾向となっていますが、いわゆる「正社員」の減少が続いており、また若年男子の就職状況なども改善が遅れていることなどを踏まえ、これまでの「雇用対策3本柱」に加え、若年層を主たる対象とした適切な雇用対策を確立し、その実現を求めていきます。
こうしたなかで、ものづくり産業の基盤強化、行政改革、財政構造改革、規制の整理・撤廃、税制改革、社会保障制度改革など、わが国が直面する構造改革に取り組み、わが国経済の本格的再生を図ります。
【具体的な取り組み】
(1) 景気回復の腰折れ回避に向けた政策の実現
景気回復傾向が拙速な金融引き締めによって腰折れすることのないよう、物価の動向を注視しつつ、当面、現行水準での量的金融緩和の継続を求めていきます。具体的には、マネタリーベースの前年比伸び率を、当面、20%程度で維持していくよう、引き続き政府に要請していきます。
為替の急激な変動と過度な円高が、景気回復に打撃を与えることのないよう、国際協調に基づく為替の安定を図ります。あわせて、中国経済の安定と国際金融体制の安定を図るため、中国の人民元についても、完全変動相場制移行に向けて、国際的な環境整備と中国政府への働きかけを行っていくよう政府に対し求めていきます。
(2) 雇用対策3本柱の実現と若年者雇用の創出
景気回復のなかにあっても、雇用保険の抜本的拡充、「コミュニティ・スキルアップ・カレッジ」の全国展開、「美しい日本再生事業団」の創設という雇用対策3本柱の重要性は変わっていません。政府に対し、引き続きその実現を求めていきます。あわせて、若年者に対する長期雇用の創出に向けた政策を確立し、実現を図ります。
(3) わが国経済の本格的再生に向けた構造改革の推進
国内ものづくり産業の基盤強化を図るべく、ものづくり基本法の具体化に向けた取り組み強化を政府に対し働きかけていくとともに、金属産業労使会議や日本経団連との懇談などの場において、国際競争力強化の具体的な方策に関し、労使の意見交換を深め、合意形成をめざしていきます。さらに、戦略的なものづくり教育構築の一環として、小学生にものづくりや科学の楽しさを直接訴えかける活動を展開します。具体的には、ものづくりや科学分野の工作・実験などを小学生とともに行う、「ものづくり教室(仮称)」を労働組合として開催していきます。
さらに、わが国経済の本格的再生に向け、構造改革の推進を図ります。具体的には、
○郵政3事業民営化
○道路関係四公団の民営化
○公共事業改革
○公的年金改革をはじめとする社会保障制度改革
などに関し、金属労協としての発言をさらに強化していきます。
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W.2004年闘争のすすめ方
1.闘争日程の大綱
闘争日程の大綱としては、以下のとおりとしますが、具体的日程は闘争情勢を踏まえながら、戦術委員会、中央闘争委員会で決定します。闘争の山場の設定については、これまで同様、JC共闘としての集中回答の枠組みを堅持していくこととします。
(1) 要求前段の取り組み
@ 政策・制度要求
金属労協は、2003年7月に、「デフレの解消と当面の景気回復」「雇用保険の抜本的拡充」「産業インフラの高コスト是正」「ドーハラウンド、FTAの交渉促進」「税制改革」「社会保障制度改革」「行政改革、財政改革、規制の整理・撤廃」の7つの柱を中心に、「金属労協 2003年政策・制度要求」を取りまとめ、10〜12月にかけて、内閣府、厚生労働省、総務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の各府省および民主党に対して、懇談・要請を行っています。
A 労使会議等の開催
2003年4月、第10回金属産業労使会議のもとに産別書記長・書記次長と13企業の課長等による「事務レベル会議」を設置し、金属産業の国際競争力強化に向けた課題について議論を深めました。2003年11月26日開催の第11回金属産業労使会議に、この論議経過の報告を行い、引き続き論議を進めて行くこととしました。
2003年12月9日には、日本経団連との懇談会を開催し、国際競争力の強化、企業行動規範の取り組みについて、意見交換を行います。
B 2004年闘争シンポジウム、2004年闘争中央討論集会の開催
2003年11月12〜13日には、「2004年闘争シンポジウム」を開催し、2004年闘争の取り組み方向、「第2次賃金・労働政策(仮称)中間まとめ」について、各産別の理解を深めました。
また、2004年1月13〜14日に、「2004年闘争中央討論集会」を開催し、闘争方針の理解促進と直近の情勢把握を行います。
C 日本経団連・経営労働政策委員会報告への対応
12月に予定されている日本経団連「経営労働政策委員会報告」に対して、金属労協としての見解を表明するとともに、団体交渉対策資料として「2004年闘争ミニ白書」を作成していきます。
(2) 要求討議と集約
各産別・単組は、協議委員会後ただちに要求策定に着手し、2月中旬までにはそれぞれの機関手続きを経て集約することとします。
(3) 要求提出と団体交渉の強化
要求提出は速報対象組合を中心に2月第3週までに行い、ただちに団体交渉を開始することとします。また、金属労協として、統一交渉ゾーンを設定し、交渉日程を可能な限り揃え、共闘の相乗効果を高めていきます。
各産別は、統一交渉ゾーンを中心に産別交渉、巡回折衝など産別レベルでの取り組みを強化し、各単組の交渉を支える取り組みを行うこととします。また、3月初旬に開催する2004年闘争推進集会については、有意義な集会となるよう検討をすすめていくこととします。
(4) 闘争の山場の設定と全体の解決目標
闘争の山場については、共闘全体として最大の効果を引き出せるよう、連合とも十分な調整のうえ、具体的には戦術委員会において決定します。
金属労協は、従来より3月月内解決をめざして取り組みをすすめてきました。2004年闘争においても、各産別としてより求心力を高め、金属労協全体として3月月内解決の取り組みを更に強化し、中小組合を含めた相乗効果を追求していきます。
(5) 回答が受け入れがたいものであった場合の対応
回答が受け入れがたいものであった場合、すばやく闘争態勢を確立できる体制を整えておくことが、経営側への圧力を高め、納得ある回答の引き出しにつながる観点から、そうした対応の強化を図ります。
2.闘争機関の配置
2004年闘争を推進するにあたり、闘争指導機関として次の委員会を設置します。
(1) 戦術委員会
闘争全般にわたる戦略・戦術の立案と推進を目的にした、闘争の最高指導機関として設置します。その構成は三役会議構成員とします。
(2) 中央闘争委員会
闘争全般にわたる戦略・戦術の実践を目的として設置します。その構成は常任幹事会構成員とします。
(3) 書記長会議
戦術委員会の指示に基づき、戦略・戦術の具体的内容の検討、相互の連絡調整を目的として運営します。
3.組織・広報活動
(1) 地方組織との連携
春季生活闘争の推進に向けて、地方ブロックや県単位の研修会を開き、JC共闘の情報交換と相互理解および諸活動の実践を図るとともに、産業政策や最低賃金の取り組みに関わる研修会の開催についても、積極的に地方ブロック、あるいは金属部門連絡会と調整を行いながら推進していきます。
(2) 広報活動の推進
JC共闘の効果を最大限発揮するため、闘争の進捗にあわせて一体的な広報活動により闘争全体の盛り上げを図ります。また、「JC共闘FAXニュース」も活用効果を一層高めるべく充実を図ります。さらにホームページを活用した情報提供についても、より強化していきます。
4
.他組織との連携
(1) 連合・金属部門連絡会との連携強化
金属労協は、連合・金属部門連絡会の活動を実質的に担う組織として、各種会議ならびに行事を積極的に展開し、2004年闘争の成功に向けて役割を果たしていきます。
(2) 化学エネルギー鉱山労協(ICEM-JAF)との連携
化学エネルギー鉱山労協との共闘は、これまでの両組織の連携を重視しつつ、闘争の節目ごとに担当者会議を開催し、闘争の成功に向けて、ともに民間産業に働く仲間として連携を図っていきます。
以 上
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