2007年闘争方針に対する産別からの意見・要望

團野事務局長から2007年闘争方針案の提案を行った後、原案賛成の立場から、5産別から意見・要望が出された。これに対して、本部答弁を團野事務局長と加藤議長から行った上、満場の拍手で2007年闘争方針「2007年闘争の推進」を決定した。

電機連合
自動車総連
JAM
基幹労連
全電線
本部答弁


07年闘争から職種別賃金要求方式に移行

成瀬協議委員・電機連合

 2007年闘争の推進案の「U.2007年闘争の基本的考え方」に示されているとおり、日本経済はGDP成長率が今年度及び来年度の見通しとも、名目でも実質でも2%台が予測されるように回復が続いております。また、雇用情勢の面でも、完全失業率は3%台目前、また有効求人倍率は1.0を上回り、大幅に改善してきているところであります。金属産業や個別企業の業績についても、グローバル競争激化のもとで、業種・企業のばらつきの拡大傾向はありつつも、全体としては昨年よりもさらに改善していることはたしかであり、私ども電機産業では、現時点の見通しで増収・大幅増益が予測をされているところであります。

 このように、マクロ経済情勢や産業・企業の業績が回復・改善する一方、勤労者への成果配分は極めて遅れており、それが労働分配率の引き続く低下及び企業規模間・雇用形態間の格差拡大など、いわゆる二極化の進行に結びついていると言えます。さらに、グローバル競争に勝ち抜くための各企業の事業構造改革の推進の中で、長時間労働が常態化してしまっている現実にも目を向けなければなりません。

 こうした情勢認識のもとで迎える2007年闘争で、人への投資と働き方の見直しによって、ワーク・ライフ・バランスと産業の発展を実現するとの観点から、賃金改善による金属産業にふさわしい賃金水準の追求と労働時間を中心とした取り組みを2本柱に、金属全体の取り組みを推進すると提起している推進案は時宜を得ているものであり、電機連合としても、このスタンスに基づき、2007年闘争を闘っていきたいと考えているところであります。

 電機連合は、2007年闘争から新しい職種基準による個別賃金要求方式、いわゆる職種別賃金要求方式に移行します。これは大手企業を中心に従来の年功・年齢重視から仕事・成果重視の賃金体系に制度改定が進展し、また、外部労働市場においては、社会的賃金相場形成の進行が見られるということから、電機産業にふさわしい賃金水準の実現及び同一価値労働、同一賃金の観点から、産業内賃金格差改善や非典型雇用労働者の公正処遇、均衡処遇の取り組みを推進し、社会的な賃金相場形成を目指すためのものであります。

 また、これは金属労協の第2次賃金・労働政策の中でうたわれている大くくり職種別賃金の形成とも連動するものでもあります。電機連合は、この新しい要求方式のもとで、好転するマクロ経済情勢が必ずしも個別企業の業績とはリンクせず、大手を含めて業績にばらつきがあるという現状を踏まえつつも、賃金改善要求に取り組む方向で検討しているところであり、要求基準の策定を進めています。

 また、この新しい要求方式に切りかえる中で、JCが提起をしているあるべき水準を目指す取り組みの視点に基づき、より水準(絶対額)を重視した要求と交渉を推進するとともに、JCミニマム(35歳)と連動し、35歳以上のすべての組合員で月例賃金21万円以下の実在者をなくす新たな取り組みを検討中であるということもあわせて報告しておきます。

 加えて、総実労働時間の短縮の取り組みでは、すべての組合での年間所定労働時間1,800時間台の実現、年休・多目的休暇合計25日付与、労使共同での時間外削減と年休切り捨てゼロの取り組みを強化するとともに、時間外割増率については、電機連合の産別基準である平日30%、休日45%、深夜30%の全組合での達成を目指していきます。各産別とも、現在、2007年闘争における要求と闘争方針の決定に向け検討を進められているところと認識をしておりますが、JCの闘争方針に基づき、相場形成に大きな影響を及ぼす産別が結集する個の金属労協において、広範な組合が賃金改善を中心とするJC共闘に結集する態勢をつくり上げ、このJC共闘を一層強化することを呼びかけますとともに、連合・金属部門の活動を担う立場から、相場波及効果を高めることを強く意識して、連合の他部門の産別との連携もあわせて強め、成果の感じられる闘争としていくことの決意を申し上げ、電機連合の発言とさせていただきます。ともに頑張りましょう。

好循環の確立、産業内格差是正に全力を
愛甲協議委員・自動車総連

 マクロ情勢は方針案と同様の認識であります。個人消費の伸び悩みという懸念材料はあるものの、景気の回復は続いており、物価もプラスに転じていること、あるいは労働需給も失業率が3%台に迫るなど、順調に改善し、一部には逼迫感も生じているなど、賃金引き上げを考える上で、状況としては昨年に比べて悪くなっていない。むしろ取り巻く環境の改善が拡大していると言える状況と受けとめています。

 自動車産業としては、産業内でばらつきはありますが、海外を中心に拡大が継続し、全体で見れば収益は高い水準と言えます。そうした中、職場では高水準の生産対応に伴って非典型労働者が増加する一方、拡大が続く海外生産へも支援を行うなど、フレキシブルな職場体制づくり、あるいは品質の維持・向上、さらなる原価低減など、着実に成果を生み出しており、組合員は従来より一段高い働き方で職場を支えています。

 自動車総連は、2002年に多くの組合がベアゼロという極めて厳しい結果となった以降、産業内外の格差是正のため、基本的にはベースアップに取り組む必要があるとの認識で取り組み、メーカーなど、主要組合の取り組みが一部にとどまる中、みずからの賃金実態を見つめ直し、賃金水準の向上・格差是正の観点で主体的にベースアップや個別賃金の取り組みを要求し、獲得する組合も多く出てきました。

 2006年は外部環境も改善を見せる中、自動車総連全体として賃金改善を求めるとの姿勢のもと、各組合が自社の賃金実態や職場の努力、頑張りを踏まえ取り組んだ結果、全体の8割近くの914組合が賃金改善分を要求し、前年の倍増となる425組合が改善分を獲得するなど、大きな前進であったと認識しています。

 その一方、賃金改善分の獲得が全体の3割にとどまっていることや、賃金カーブ維持分の確保ができない組合もあることを踏まえれば、自動車総連が課題として掲げる産業内の格差是正が図られたとは判断できない状況であります。

 これらを踏まえて、2007年の取り組みに向けて、自動車総連としては、自動車産業で働く者が生み出した付加価値の高さに見合った賃金水準への改善、競争力の源泉となる優秀な人材の確保につながる産業としての魅力アップ、労働の質の向上が月例賃金に適正に反映され、それがさらなる労働の質向上につながるという好循環・好サイクルの実現、拡大傾向にある産業内格差是正への取り組み、こうした観点を基本とし、それぞれの単組が自社の賃金実態を踏まえ、明確な要求根拠を持ち、こだわりのある取り組みを行っていくという、これまでの取り組みを拡大、定着させていきたいと考えております。

 自動車総連としては、今回のJC方針を踏まえた検討を進めており、今後も議論を加速させていき、来春に向けてよりよい成果を得る決意で取り組んでまいりますので、JC本部としても、力強いご支援をお願いいたします。以上、自動車総連としての意見表明とさせていただきます。 
賃金改善と共に労働時間への取り組みも強化
木住野協議委員・JAM

 過日の連合討論集会では、連合・木会長は、今日、労働運動が直面している危機的な状況という表現を用いて、2007年春季生活闘争において、労働組合が何をしなければならないかを訴えられました。それはすなわち可処分所得と労働分配率の低下傾向に歯止めをかける、長時間労働の増加傾向に歯止めをかけるなど、そうした取り組みを通じて労働組合の存在意義を示せという趣旨であったと思います。JCの今回の提案でも、その認識は全く一致していると受けとめるところであります。JAMもまた同じ観点に立って、2007年闘争に臨んでいきたいと考えています。

 そうした観点から、JAMは2007年闘争においても賃金改善に取り組みます。2007年闘争に向けては、2,500円以上の要求を組織内に提起するところであります。加えて、JAMの時短に関する指針に基づく取り組みを2007年闘争の一環とし、労働時間に関する取り組みの強化を目指していきます。

 そうしたスタンスに立ちながら、2007年闘争においても最も重要と考えていることは、大手から中小に至るあらゆる単組が、その交渉力を最大限に発揮できるようなJAM全体の共闘体制の強化であります。2006年闘争においては、JAMを代表してJC共闘に参加した10単組がJAM全体を牽引し、大きな効果を発揮してまいりました。その経過と成果を踏まえ、2007年闘争においても、JAMはJC共闘への参加を通じて、JAMとしての共闘体制の強化を図っていきたいと考えています。

 以上、2007年闘争に臨むJAMの基本的なスタンスについて報告し、JCのご指導をお願い申し上げます。

07年は個別年度、一時金と格差是正中心に取り組む
稲葉協議委員・基幹労連

 基幹労連は、2010年の産業・雇用・労働のあるべき姿、いわゆる産業・労働政策として、中長期的な観点から、アクティブビジョン2010を昨年策定しました。こうした中で、2006年闘争より2年サイクルの取り組みということを実施してきておりまして、2007年闘争は個別年度としての位置づけをしており、一時金と格差改善を中心に取り組むことにしています。

 こうした状況の中で、2007年の取り組みとなりますが、連合・JCの春季生活闘争という枠組みのもとで、格差改善などを中心に具体要求や取り組み内容、そして進め方について取りまとめていくことにしています。

この金属労協の2007年闘争の具体的な取り組みにおいては、ワーク・ライフ・バランスを2本柱の1つの柱として取り組むことが大きな特徴となっています。基幹労連としては、こうした労働の質にかかわる取り組みにつきましては、通年的な取り組みということで対応してきた経過があります。今回の金属労協の推進案にもある通り、このワーク・ライフ・バランスの取り組みについては極めて重要であると認識をしており、基幹労連としても、今回はAP07、いわゆる2007年の取り組みにおいて、産別一体の取り組みとして実効ある改善を目指して、産別の具体方針をつくり上げていく所存です。

 しかし、取り組むに当たり、課題も少なくないということもありますし、また長期的な視野も持った上で取り組まなければならないと認識しているところです。そうした意味でも、先ほど事務局長からありました下地づくりといった観点も十分踏まえた上で、具体的な改善に向けた取り組みが求められていると考えているところです。

 基幹労連としましても、JC共闘を大切にしながら、安定・安心・信頼の確立に向け、基幹産業の発展と基幹産業にふさわしい労働条件の確立、そしてワーク・ライフ・バランスの実現を目指して、中核産別として役割を積極的に果たすべく、精いっぱいの取り組みを展開する決意であることを表明させていただき、基幹労連を代表しての発言とさせていただきます。


JC共闘の一員として最大限努力
門馬協議委員・全電線

 電線業界においては、国内需要の持ち直しと事業構造改革の進展により、総じて見ると改善傾向にあると言えますが、事業規模や製造品種の違いなどにより収益状況に違いが見受けられます。大手の中間期決算結果についても、連結・単独ともに事業規模や製造品種の違いにより、収益状況に違いが見受けられている状況です。

 一方、通期予想ですが、自動車関連部門、エレクトロニクス関連部門については、引き続き好調に推移しています。収益面においても全体的に回復基調にあると判断をしているところですが、銅価の先行き、それから情報通信部門の需要に不透明感が強まっているといったところなど、電線産業はいまだ難しい状況下に置かれているという認識です。

 このような状況を踏まえた上での春闘の取り組みになるわけですが、取り組みに当たり、3点ほど留意点があると考えています。1つは、景気回復が継続し、デフレ脱却間近と見られている日本経済の現状。2つ目は、産業・企業における景況感の違いや電線産業内での企業収益二極化の実情。そして3つ目に、連合・JCにおける具体的な取り組み方針に対しての産業実態に即した具体的水準の設定であります。

 組織論議としては決定していませんが、これからを十分に考慮していく中で、多面的な角度から日々状況変化を把握しつつ検討を進めていきたいと考えています。

 まず雇用については、これまでも申し上げてきましたとおり、最重要課題であるとの認識のもと、雇用の安定確保に向け引き続き継続的な取り組みを推進していく考え方であります。

 賃金については、これまで組織内部の諸会議において、取り巻く情勢、産業、企業実態やそれぞれの単組動向などの状況把握を行う中で検討を行っています。特に賃金改善への対応については、JC方針を踏まえながら、今後、十分な組織論議を行う中で具体的な取り組みを決定していきたいと考えていますので、ご指導をよろしくお願いしたいと思います。

 また、一時金の取り組みについては、生活水準の維持・向上を図るための年間賃金の一部として、組合員の生活を守る観点から主張していきたいと考えておりまして、これまでの政策を基本に十分な組織論議を加えながら決定していきたいと考えています。

 以上、電線業界の状況と春闘への取り組みを中心に考え方を述べさせていただきましたが、今後につきましても、組合員の生活の維持・向上のためにも全電線として、JC共闘をよりどころに産別として精いっぱい取り組んでまいりたく、JC共闘の一員として、最大限努力することを申し上げ、方針に賛成の意見といたします。<ページのトップへ>

本部答弁:JC共闘の団結で成果ある闘争の展開を
【團野事務局長】

 すべての産別から意見を頂戴しました。
 9月5日の定期大会の運動方針の提起の際には、多くの組合から強烈な課題やご意見もいただきました。この協議委員会においては、闘争方針ということで久方ぶりに各産別から全面支持のご意見を頂戴したと受けとめをしているところであります。JC方針を踏まえて産別として取り組みを推進していく、そのような決意を含めた意見をいただいたと受けとめる次第であります。来年の1月から2月の初旬にかけて、各産別においてそれぞれ中央委員会が開催され、闘争方針が決定されると認識しております。それぞれの産別におきまして、JCの考え方を踏まえ、またはそれ以上に運動の内容付加、強化をいただきながら、JC共闘全体が成果ある取り組みにつなげるようにぜひご協力をお願いを申し上げておきたいと思います。 06年闘争に続いて、金属労協としては、07年についても取り組みを続けるということであります。大変厳しい交渉になることが想定されますが、金属全体の取り組みを強化することによって成果に結びつけていく、そのようなことをお願いしながら総括的な見解とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
本部答弁補足:加藤議長

 本日午前中に基幹労連のほうで、2006年闘争の回答に基づいて、今後の調整状況についての現状について報告があったと聞いております。まだ私も、詳細なところの調整は聞いておりませんけれども、基幹労連で2007年は中間年と言いましたが、2006年の交渉結果に基づいて、聞くところによれば、おおむね1,000円強の財源投入があるということが労使で調整が進んでいるとのことです。このことは現下の状況、個人消費を増やしていかなければいけないという、我々の配分を求めてきた考え方の中で、2007年4月からそういうものが実施されるということについては、私たちのこれから取り組む要求についても、そういうものも十分に生かしながらやっていけると考えていきたいと思いますので、また詳細な内容については今後さらに注目をしていきたいというふうに思っているところです。

 5産別の、JCの方針について、それぞれがそれに賛成する形で行っていただきましたこの意見表明で、團野事務局長からも申しましたように、これからそれぞれの産別、そして単組といった形で進んでいくわけでありますので、ぜひとも今表明のあった産別見解に基づいた検討が幅広くなされることを期待しまして、私からのコメントとしたいと思います。
<ページのトップへ>