アジア太平洋の組合、持続可能な労働者中心の産業政策を要求
2024-11-11
アジア太平洋では近年、産業が大きく成長している。しかし、製造業への投資が増加している一方で、労働者は不平等の拡大、急激なインフレ、賃金の停滞、不安定雇用、労働者の権利に対する攻撃の激化に苦しんでいる。このような懸念を受けて地域の組合は、高賃金の確かな雇用を保護・創出する措置と持続可能な雇用の保証を盛り込んだ、持続可能な産業政策の課題を追求している。
11月4日に開かれた今年のアジア太平洋地域テーマ別会合と11月3日の執行委員会では、持続可能な産業政策に焦点を当てた。世界中でエネルギー移行が進むに伴って労働者と労働組合の課題が増えると予想されるため、組合指導者は、この地域で緊急に持続可能な産業政策を提唱する必要があると述べた。
アジア太平洋執行委員会の議論では、仕事の世界における課題と併せて、域内の多くの国々で民主主義が減退し、組合が政府と社会的対話を行うことが困難になっている現状に検討を加えた。ミャンマー、バングラデシュおよびインドネシアの組合指導者が、大規模な労働権侵害についてだけでなく、政府による労働者の権利攻撃に対抗して実施された組合の行動についても詳しく説明した。
金子晃浩インダストリオール副会長・地域共同議長が次のように述べた。
「2024年には地域の多くの国々で選挙があり、労働者に大きな影響を与えている。政府との社会的対話を続け、要求を強く打ち出さなければならない。バングラデシュでは、大規模な抗議がきっかけで政権交代があった。労働者の権利を保護・向上させるために闘いを続けなければならない――目標を達成するために、もっと多くの労働者を組織化する必要がある」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長、アシュトシュ・バッタチャリア南アジア地域事務所所長、ラモン・セルテーザ東南アジア地域事務所所長が、行動とキャンペーンならびに2025年の第4回インダストリオール大会に関する報告を発表した。
アジア太平洋女性委員会のジェニー・クルシェル共同議長が、インダストリオールの規約とアクション・プランにおけるジェンダー主流化の要点を参加者に伝えた。共同議長は、グローバル青年特別作業部会が若い女性の参画拡大に尽力していることも称賛し、若い女性をインダストリオール執行委員会にオブザーバーとして参加させることを支持した。
青年代表が活動の最新状況を伝え、若者参画を増やして加盟組織内部ならびにインダストリオール機構の全レベルで多様な統合を確保するために、加盟組織に支援を訴えた。
プリハナニ・ボエナディ・インダストリオール・アジア太平洋共同議長が次のように述べた。
「組合機構で女性と青年の参画拡大を確保しなければならない。女性と青年は労働組合運動の未来であり、彼らの声を議題に取り入れる必要がある」
持続可能な産業政策に関するテーマ別会合で、組合指導者は、製造業への投資が増えているにもかかわらず、労働者は急激なインフレ、賃金の停滞、不安定雇用、労働者の権利に対する攻撃の激化で、これまで以上に苦しんでいるという懸念を共有した。指導者たちは、世界中でエネルギー移行が進むに伴い、これらの課題の悪化が予想されると強調した。
ケマル・ウズカンが、産業政策のさまざまな側面と、この問題に関するインダストリオールのキャンペーンの大要を説明し、次のように述べた。
「既存の制度に異議を申し立てるだけでは十分ではない。公平かつ公正な世界のための解決策も考え出さなければならない。1つは、労働者の利益を中心に据えた持続可能な産業政策の策定だ。計画を立案し、あらゆるレベル――世界、地域および国家――で実施しなければならない」
グローバル・サプライチェーンにおける労働者の権利確保と、労働者の権利促進に向けた貿易協定のセーフガードメカニズムの強化に関するパネルディスカッションでは、インド、バングラデシュ、インドネシア、日本およびオーストラリアの組合指導者が、各国の貿易と製造業の状況について話した。課税、貿易協定の労働者の権利条項、サプライチェーンの透明性、ILOの中核的労働基準の批准、各種の法律による多国籍企業への責任賦課の問題をめぐって討議した。
参加者は、国家レベルの持続可能な産業政策を求めるキャンペーンの必要性を主張し、情報交換と共同戦略策定のために貿易に関する地域プラットフォームの設置を決定した。