素材金属部門で人権保護の強化を要求
2024-10-04
労働組合は、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)フレームワークが、素材金属部門で労働者の状況に有意義な改善をもたらすようにすべく努力を強化している。10月3-4日にプラハで開催されたワークショップで、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、世界中から組合代表を集め、この産業が労働者の権利と安全にもたらす悪名高いリスクに取り組んだ。欧州委員会の支援を受けたこの行事は、どうすれば組合は積極的にHRDDプロセスを形成し、企業に責任を負わせることができるかに焦点を当てた。
欧州連合の企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)のような新しい法的枠組みの実施に伴い、多国籍企業は、グローバル・サプライチェーンの人権侵害への対処を求める強い圧力にさらされるようになっている。鉄鋼、アルミニウムなどの必須金属を含む素材金属部門は、複雑なサプライチェーン、危険な作業環境、原料採取における搾取的な慣行が原因で、特に侵害が発生しやすい。
ワークショップ参加者は、HRDDはこれらのリスクへの企業の取り組みを変革できる強力な手段であることを強調した。この部門はますます厳しい監視下に置かれるようになっており、多くのステークホルダーが、労働者の安全衛生保護の改善と、従業員・周辺地域社会両方のための環境保全の強化を要求している
インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の企業方針責任者を務めるアリーン・コンションは、HRDDは企業にとって官僚主義的確認手続き以上のものでなければならないと強調した。
「その目的は、企業が労働者の権利を最優先することによって、活動方法を変革することでなければならない。これには、サプライチェーン全体で団結権・団体交渉権の保護を確保することが含まれる」
欧州全域にとどまらず他の地域でもHRDD法の数が増えている中で、労働組合は、これらの枠組みが実際の行動につながるようにするうえで極めて重要な役割を果たす立場にある。リスク評価からアクション・プランの取り決めまで、HRDDプロセスのすべての段階に参加することによって、組合は労働者の権利を優先させることができる。
パトリック・コレア・インダストリオール・グローバルユニオン素材金属担当部長は、組合の関与の重要性を強調した。
「労働組合が全面的に参加しなければ、デュー・ディリジェンスは空約束に終わる危険がある」
HRDD法が実施される中で組合は、企業に責任を負わせ、人権デュー・ディリジェンスが単に企業を法的リスクから守るだけでなく、労働者を搾取や損害から保護するようにしようと固く決意している。これは素材金属部門ならびにその他の部門における企業責任の拡大と労働者保護の改善に向けた重要な一歩である。
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は次のように述べた。
「企業は、もはや自社の事業で人権を尊重するという義務を無視することができない。組合にとって、これはデュー・ディリジェンス・フレームワークが、特に素材金属のような危険性の高い部門において、労働者のために具体的な真の改善をもたらすようにする絶好の機会だ」
ワークショップでの議論は、組合が企業による遵守状況を監視し、特に労働者が最も高いリスクにさらされている部門で、企業による人権関連の約束が実施されるようにすることの必要性にも重点を置いた。
このワークショップは、繊維、採取産業、自動車部品メーカーなど、危険性の高い部門で組合の能力を構築するためにインダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合が主導する、より幅広いイニシアティブの一部である。今後2年間、同様の行事によって組合指導者に、職場でHRDDを実施するために必要な手段を与える。このイニシアティブの終わりに2026年に大規模な会議が開かれ、組合代表が政策当局と戦略や勧告を共有する。
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記次長は次のように結論づけた。
「労働組合は常に労働者の権利擁護の最前線に立ってきており、HRDDはそのための新しい強力な手段を与えてくれる。デュー・ディリジェンス・フレームワークが、その保護対象である労働者によって形成されるようにすることが、私たちの手に委ねられている」