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第183号インダストリオール・ウェブサイトニュース

MENAの組合、デュー・ディリジェンスの課題に対処

2024-12-10


中東・北部アフリカ(MENA)地域の労働組合は、サプライチェーンで人権および労働者の権利に関するデュー・ディリジェンスを実施するために、より強力な措置を要求している。インダストリオールが11月13-14日にチュニスで開催した地域ワークショップで、組合指導者は説明責任、実施の不足、連帯の必要性に関する差し迫った問題を強調した。


このワークショップには、モロッコ、チュニジア、エジプト、ヨルダン、バーレーン、イラク、レバノン、パレスチナ、それにドイツ、フランス、ノルウェー、オランダなど欧州諸国からの参加者が出席した。

ヌールディン・タボウビUGTT書記長が、協力の重要性を強調した。

「国境を越えて組合間のネットワークを強化し、労働者の権利を擁護するための手段を開発することは、連帯と社会的公正を強化する。経済的・社会的権利は基本的自由と切り離すことができない。この地域、特にチュニジアにおけるインダストリオールの努力は非常に貴重だ」

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、より公正なサプライチェーンの創出におけるデュー・ディリジェンス法の役割を強調した。

「デュー・ディリジェンスの手段と最近成立した法律によって、労働組合は企業に、労働者に関連する倫理的・法的な基準や慣行に対して責任を負わせることができる。これらの拘束力のあるルールの狙いは、労働・環境条件の尊重を確保すると同時に、搾取を防止すること。これらの基準の実施は労働組合にとって、基本的権利、特に結社の自由と団体交渉権を確保するうえで重要だ」

参加者は、MENAで活動している多国籍企業の説明責任が限られていることに懸念を示した。この地域の法律は、しばしば適正な労働条件を保証しておらず、労働組合権を支持していない。報告から、劣悪な安全衛生条件と労働者代表の法的承認の欠如が浮き彫りになった。

アーメド・カメル・インダストリオールMENA地域事務所所長が、この地域への欧州による投資が増える中で、この不備に取り組むことの緊急性を強調した。

「各国の状況が異なるにもかかわらず、ネットワーク構築と共同労働組合行動は、基準向上と対話促進に具体的な進展を達成している。世界生産ネットワークで労働者を擁護するために、強力な手段と法律が必要だ」

ヨーロッパの労働組合代表は、デュー・ディリジェンス法への各国の取り組みを共有した。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のフィリップ・デュシャンが、透明性と説明責任を促進する法的枠組みにおけるEUの進展を概説し、組合が提言努力でこれらのメカニズムを活用することを奨励した。

他の発言者たちが各国のモデルを発表した。

フランス:ブノア・オスタータークFGMM-CFDT執行委員が、労働者保護を強化するための基礎として組合員数の増加を強調した。

ドイツ:IGメタルのクラウディア・ラーマンが、児童労働・強制労働を含む違反に取り組むために、ドイツのデュー・ディリジェンス法に基づいて利用可能な訴訟の選択肢を強調した。

オランダ:FNV政策アドバイザー(国際問題担当)のビビアン・バエッセンが、7本のデュー・ディリジェンス関連法案提出をめぐるオランダの経験を説明し、労働者の条件改善、団体交渉の実施、人権の保護におけるその役割を強調した。

ノルウェー:カトリーネ・ファウスケLOノルウェー国際局次長が、法令遵守、苦情処理制度、世界的な労働者の連帯に重点を置くノルウェーの方針を強調すると同時に、訓練プログラムとサプライチェーンにおける言葉の障壁の解消の必要性を取り上げた。

サロウアン・スミリ・チュニジア石油・化学一般労組(UGTT)書記長が、実施強化の必要性を力説した。

「欧州の法律は人権・労働組合権の尊重を義務づけているが、MENA諸国では、これらの基準が無視されていることが往々にしてある。この欠陥を補うために真摯な行動が必要だ」

ハビブ・ハザミ・インダストリオール副会長兼チュニジアFGTHCC-UGTT書記長が次のように述べた。

「欧州のデュー・ディリジェンス法は、グローバルサウスにおける労働者擁護の突破口を開く。チュニジアで活動している欧州企業との紛争に取り組むために、すでにこれらのメカニズムを活用している」

タハール・ベルベリUGTT民間部門担当書記次長が述べた。

「インダストリオールと協力できて光栄だ。この協力は、特にグローバル化が労働状況に重大な影響を及ぼしている中で、地域の労働組合活動を後押ししている。気候変動、第4次デジタル革命、人口動向および人口高齢化は、労働者・労働組合が直面している最大の課題だ。労働組合員は訓練やネットワーク構築、世界的な労働者の連帯のレベル向上を通して、周到に準備する必要がある。そのようなわけで、このワークショップは実に重要だ」

ワークショップの最後に、MENA地域で労働者の権利を推進するための統一ロードマップが発表された。これには、多国籍企業の事業をめぐる調整の強化、人権デュー・ディリジェンスに関する意識向上キャンペーン、主要部門(自動車、航空宇宙、石油・ガス、化学、ICTなど)における的を絞った行動が含まれている。

加盟組織は地域・国家レベルでデュー・ディリジェンスに関する活動を拡大し続け、域外の姉妹組合や市民社会、援助してくれる支持団体と協力しながら、さらに能力を強化していく。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/unions-in-mena-tackle-due-diligence-challenges

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