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金属労協は、環境対策とともに、家庭生活や地域活動、ワークライフバランスを重視した新たなライフスタイルを構築するという観点から、サマータイム制度導入推進活動を行ってきました。2004年12月2日に開催した第47回協議委員会で、サマータイム制度の早期導入を決議し、昨今盛り上がりをみせる制度導入に向けた機運を逃さぬよう、国会への働きかけや、世論形成の取り組みをさらに強化していくことを確認しました。 そこで今回、本解説コーナーでは、7つのQ&Aを用いて、この問題に取り組む意義を改めて考えたいと思います。
1991年のバブル崩壊以降、わが国は経済の低迷、雇用状況の悪化、地球環境の深刻化、少子高齢化の進行、凶悪犯罪の多発など、様々な問題を抱えており、社会全体に閉塞感が漂っています。このような社会情勢のなか、個々人の「生き方」、「暮らし方」、「働き方」に関する様々な生活シーンを調和させ、家庭や地域を重視しながら、自分なりのライフスタイルを改善し、結果として心の豊かさや生きがいに結びつけるというバランスのとれた生活への志向が高まっています。そこで現在注目を浴びているのがサマータイム制度の導入です。 サマータイム制度は、環境対策とともに、春から秋にかけて夕方の明るい時間が増加することによって、家族や地域社会とのふれあい機会の増加や、野外活動を通じた健康的な生活習慣の確立など、活動の選択の幅が拡大するため、時間を個々人の生活ニーズにあわせて活用でき、結果的に心の豊かさに結びつく制度であると考えられます。
サマータイム制度とは、春から秋にかけて日照時間が増加する時期に、標準時より時間を1時間早めることにより、夕日の沈む時間が遅くなったぶん、明るい夕方の時間を有効に活用しようという制度です。 日本においては、8時半から17時半まで仕事をした一般的な勤労者に当てはめた場合、サマータイム期間中においては十分な日照活用時間が発生し、例えば7月初旬の東京では、7時に起床して、退社後2時間半近くは日照活用時間がある計算になります(図表1)。 また、7月初旬におけるアフター5の日照活用時間は、福岡では30分、札幌では15分程度、東京より長くなります。日本全国、北から南まで、サマータイム制度を導入する時間的メリットは十分にあると考えられます(図表2)。 一般的に、東に行くほど、また、南に行くほど日の入り時刻は早くなります。わが国は、東北から西南へのななめの弓形をしていますので、北海道でも、九州でもサマータイムのメリットを享受できるのです。<ページのトップへ>
札幌商工会議所では、札幌市内の企業・団体など221組織の参加を得て、2004年7月1〜31日の1か月間、日本標準時より1時間進め、生活実態の変化を実証する「北海道サマータイム月間」を実施しました。6,000名がサマータイム制度を体験しましたが、体験者に対するアンケート調査では、従業員の70%(図表3)、経営者の86%がサマータイム制度導入に「賛成」(「北海道サマータイムに賛成」「全国一律ならよい」の計)としており、従業員の「賛成」理由をみると、「退社後の行動の選択肢が増える」(80%)、「家族とのふれあいが増える」(32%)との回答が多く、新たなライフスタイル構築に向けた環境づくりにサマータイム制度が寄与したことが伺えます。 *「賛成」には、「どちらかというと賛成」を含む。また、「反対」には、「どちらかというと反対」を含む。 ・D札幌商工会議所「北海道サマータイム月間アンケート」(従業員向け)の「賛成」は、「北海道サマータイムに賛成」「全国一律ならよい」の合計。 @(財)社会経済生産性本部が全国の知事、市町村等の首長を対象に行った「夏時間(サマータイム)制度導入に関する自治体首長アンケート」 A青年会議所:日本青年会議所が政策モニターを対象に行ったアンケート調査 B滋賀県が県政モニターを対象に行ったアンケート
(財)社会経済生産性本部が行った平成15年試算によると、サマータイムを導入することで、照明需要を中心に原油換算で年間約93万キロリットル(CO2削減効果40万トン)が削減されると試算されています。これは、「全国民が66日間テレビを一斉に消す電力消費量」、あるいは「国内の全ての鉄道の電力消費量の68日分」に相当します。 一方で、人々がレジャーやその他の野外活動に費やす時間が増加する分、結果的に増エネになるのではとの意見もあり、実際には、サマータイム導入後でなければ省エネ効果の検証は難しいと考えられますが、欧米各国でも、省エネを目的としてサマータイムを導入し、それが今日まで定着していることには留意するべきです。 むしろ大切なことは、ロシアが批准したことで、2005年2月に発行する「京都議定書」を契機に、地球温暖化防止施策の一環として、サマータイム期間中を「省エネ意識向上期間」として位置づけ、国民一人ひとりの省エネ意識を高めていくことで、わが国全体の温室効果ガス削減の相乗効果を図っていくことです。 サマータイム制度によって人々が省エネを心がけるライフスタイルに移行した場合、長期的に省エネ世帯が増加することで、原油換算で年間約71万キロリットルの追加的な省エネ効果になるとも試算されています。<ページのトップへ>
金属産業で働く仲間の2003年の所定外労働時間数は年間253時間となっており、これは1991年以来の高水準です。サマータイム制度は、就業時間後なるべく早く退社し、家庭や地域を重視したライフスタイルを確立するという点で、これまでの働き方自体の変革を求めるものです。 折しも、不払い残業の問題や年休取得率低下の問題も顕在化するなか、労働時間管理の強化に、政府・民間あげて取り組んでいるところであり、サマータイム制度との相乗効果により成果をあげていくようにすることが重要です。 また、滋賀県や札幌市でのサマータイム実証実験においては、一部で「職場の雰囲気によってなんとなく帰りづらい」などの意見も聞かれるところであり、サマータイム制度導入の際には、サマータイム期間中における労働組合の対応ガイドラインなどを策定することも重要です。
(財)社会経済生産性本部が行った平成15年試算によると、サマータイムを導入することで、照明需要を中心に原油換算で年間約93万キロリットル(CO2削減効果40万トン)が削減されると試算されています。これは、「全国民が66日間テレビを一斉に消す電力消費量」、あるいは「国内の全ての鉄道の電力消費量の68日分」に相当します。 一方で、人々がレジャーやその他の野外活動に費やす時間が増加する分、結果的に増エネになるのではとの意見もあり、実際には、サマータイム導入後でなければ省エネ効果の検証は難しいと考えられますが、欧米各国でも、省エネを目的としてサマータイムを導入し、それが今日まで定着していることには留意するべきです。 むしろ大切なことは、ロシアが批准したことで、2005年2月に発行する「京都議定書」を契機に、地球温暖化防止施策の一環として、サマータイム期間中を「省エネ意識向上期間」として位置づけ、国民一人ひとりの省エネ意識を高めていくことで、わが国全体の温室効果ガス削減の相乗効果を図っていくことです。 サマータイム制度によって人々が省エネを心がけるライフスタイルに移行した場合、長期的に省エネ世帯が増加することで、原油換算で年間約71万キロリットルの追加的な省エネ効果になるとも試算されています。<ページのトップへ>
2004年8月6日に、平沼前経済産業大臣を会長とする「サマータイム制度推進議員連盟」が超党派議員108名の参加を得て発足しました。この議連は現在、200名規模の参加を目指しており、2005年3月には、第162回通常国会に参議院の議員立法としてサマータイム制度導入関連法案を提出する予定です。 サマータイム制度導入関連法案は、平成7年に当時の参議院サマータイム議連が作成した「昼間の時間の有効活用の促進のための時刻切替えに関する法律案」がベースとなり、法案が成立した場合、2006年に試行・準備期間、2007年から本格実施、実施期間は4月の第一日曜日の午前2時から10月の第四日曜日の午前2時までになる案が有力であると思われます。 本コーナーでは、改めてサマータイム制度を考える上で、原点に立ち返り、基本的なQ&Aとさせて頂きました。金属労協のホームページでは、サマータイム制度導入に関する詳細な文書・発行物を載せておりますので、本コーナーと併せてご参照ください。 <ページのトップへ> |