HOME
2003年闘争討論集会

鈴木議長挨拶(要旨)

2003年闘争は、 春闘改革の方向を決定づける年

 2003年闘争は、春闘改革の方向を決定づける年である。JCの方針でも中長期の方向を提起しているが、春闘のあり方を考えるには、賃金を決定付ける要素である、@経済成長率、A物価動向、B労働市場の動向、C産業・企業の業績動向、の変化を見据えなければならない。@については、今後中長期的にみると、発展途上国の追い上げ、地球環境問題、消費者意識の変化、少子高齢化など、大量生産大量消費による経済成長の制約要因が増大していること、Aについては、今後かつてのような大幅なインフレは考えにくく、物価と賃金の関係も従来とは変化すること、Bについては、若年者の失業が10%を越えている現状や、4人に1人が非典型労働であるもとでの労働組合の役割、Cについては、パイが小さくなり、企業再編が進むもとでの労働条件のあり方、などが課題である。こうした春闘を取り巻く環境変化に対応できる労働運動を構築していく必要がある。賃金についても、本来は労働協約の一部として決定すべきであることからも、総合労働条件改善として取り組む必要がある。
 2003年最大の問題は雇用問題である。「雇用に関する政労使合意」が行われたが、中期的に低成長が続くのであれば、社会全体として雇用をどのように考えるか。雇用労働者を増やし、失業率を低下させるには、オランダモデルのような均等処遇の確立が必要であり、早急に論議を開始しなければならない。
 国際競争力上からは、日本の高コスト体質の是正が重要な課題である。高コスト体質は、生産性の高低を度外視した春闘方式の弊害ともいえる。春闘のプラス面が機能しなくなっており、他者依存の労働運動から、脱却しなければならない。
 定期昇給の変更は制度改定であり、賃金交渉とは切り離して議論すべきである。制度改定は通年的に行うべきである。
 社会通念の変化から、「格差」についても新たな考え方の整理が必要である。格差には、職種別賃金格差、地域間格差、規模間格差などが考えられる。規模間格差においては、その要因が生産性による格差であれば容認せざるをえないが、メーカーの圧力による不公正取引によるものであれば、メーカーの労働組合の責任を自覚しなければならない。

<このページのトップへ>

<目次に戻る>